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スゴイ! 勢いを「実効」に結びつけてしまった!!・・天皇杯四回戦・・グランパスvsアントラーズ(2−1)・・(1999年12月19日、日曜日)

「エッ?!」

 グランパスが、本当に「勢い」を逆転ゴールに結びつけてしまった・・(後半43分の、呂比須から福田へわたった同点ゴール、ロスタイムCKの、平野から呂比須の一発ヘディング逆転ゴール・・)

 チカラが同じ程度同士の対戦で、一点ビハインドを追い付こうと怒濤の勢いで攻め込む・・。私は、そんな展開で、実際に「勢いを逆転ゴール」に結びつけてしまったゲームを見たのは久しぶりでした。

 普通だったら、あれだけ守備ブロックを開けているから、一発のカウンターでリードを広げられ、敗北・・というのがパターンなんですが。それだけグランパスの「スピリチュアル・エネルギー」のレベルが高かったっちゅうことですかネ・・

 とはいっても、グランパスの攻めで、アントラーズ守備陣を完璧に崩したシーンはほとんどありませんでした。勢いよく押し込んではいるが、それもアントラーズが守りきろうとしているから・・、それに、クリエイティブな攻めの中心アクター、ストイコビッチもケガでいなくなってしまっている・・・なんていうのが私の印象だったんです。また逆に、アントラーズのカウンターが、常に危ないシーンをクリエイトしていましたしね。ところが・・

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 前半は、完全に拮抗したゲームでした。ただ「一発の危険度」では、アントラーズの方が上。前半に作り出した両チームのシュートチャンスのうち、相手守備ラインを崩した完璧なゴールチャンスは、アントラーズ、平瀬の二本だけだったのです。

 アントラーズの場合、堅実、忠実な守備力には定評があります。それに、ビスマルク、マジーニョという「世界のチャンス創造能力」がうまく組み込まれているのですから、リーグでの彼らの順位は不可思議そのもの?!

 アントラーズの「一発危険度」ですが、それには、フィニッシャーが必要になります。いくら彼らが「チャンスの芽」を芽吹かせても、周りがついてこなければ・・ということなのですが、この試合では、平瀬が十二分にその役割を果たしていました。

 平瀬の、ココゾ!!の爆発フリーランニングには、何度か鳥肌がたったものです。

 前半19分の、決定的スペースへのフリーランニングも良かったんですが、特に前半41分の、ビスマルクからの確実パスを受けたマジーニョが「タメ」た瞬間の、相手守備ライン沿いに爆発した(斜めの)フリーランニングは特筆モノでした。もちろんラストパスを出したマジーニョも素晴らしかったんですが・・。とにかくこの試合では、平瀬の「クリエイティブなムダ走り」が目立ちっぱなし・・。オリンピック予選を通じた彼の成長の証といったところでした。

 アッそうそう、これは得点にはなりませんでしたが、後半19分の平瀬の「ボールがないところでのプレー」も取りあげなくちゃ・・。それは、ビスマルクが仕掛けたカウンターのシーン。ドリブルで突進するビスマルク。そしてセンターサークルを越えたところで、一度「タメ」ます。その瞬間でした。40メートルは離れた逆の左サイドで、平瀬が、スバッと音がするくらいの鋭い動きのフェイントから、左サイドのタテのスペースへフリーで抜け出たのです。そこへ、これも測ったような「世界レベルのサイドチェンジパス」を正確に合わせるビスマルク。

 結局、平瀬が持ちすぎたことで(ボールがイレギュラーしたのかも・・)、グランパス守備陣にボールを奪い返されてしまいましたが、それはそれは、「鳥肌が立つ」くらいに美しい攻めではありました。

 もう一人、私が注目した選手がいました。それはグランパスの山口。一時期は「日本を代表するボランチ」と言われた彼でしたが、シーズン中盤までのグランパスの不調で、彼自身のパフォーマンスも、チームの悪い雰囲気に「呑み込まれ気味」になっていました。それでも私は気になってはいたんですが・・

 それが、この試合では、読みベースのクリエイティブ守備、攻撃の起点プレー、そして攻撃でのフィニッシュシーンへの頻繁な登場と、久々のグッドパフォーマンス。確かにスピードは不足しています。それでも、相手攻撃の「次」を読んだ守備、ボールを奪い返した地点からの「攻撃の起点」としての優れたゲームメークなど、彼の、アタマを使ったクレバープレーは、そのマイナスを補って余りある・・と感じ、ちょっと嬉しくなったものでした。

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 以上、インプレッションを簡単にまとめてみました。

 ところで湯浅ですが、天皇杯の決勝を、ラジオ文化放送で解説します。二年ぶりなんですが、さて・・。まあ、期待していてください・・・




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