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レッズvsアントラーズ(2−0)・・ホームのレッズが勝利したけれど・・(1999年7月20日)

この試合をどのように表現したらいいんでしょう。両チームともにミスが多すぎる・・、クリエイティブなムダ走りが少な過ぎる・・、ドリブル突破などの「リスクチャレンジ」が少な過ぎる・・、だから「美しいチャンス」がほとんど出てこない・・、これではコメントのしようもない・・?!

 まあ、レッズは監督交代によって最終守備ラインのシステムが大きく変更になった・・、アントラーズには、主力の選手がいない・・、そして座っているだけでも汗が噴き出してくるほどの蒸し暑さ・・などという要因はあったのですが、それにしても・・

 ちょうどコパアメリカのハイレベルなサッカーを見た後だったから、そんな印象をより強くした・・?! まあそうなのかもしれなませんが、とにかく、一つのステーション(ボールホルダー)で費やされる時間の長いこと、長いこと・・(たしかに後半の最後のほうはかなりの頻度でアクティブな仕掛けが出てくるようにはなりましたがネ・・)。

 彼らは、ボールを受ける前には、何も考えていないんでしょうか。「パスを受ける前から次のプレーに対するイメージを仲間と共有する(イメージシンクロ!!)」ことが、美しく高質なサッカーのエッセンスであり、それがなければ「世界」への足かがりを掴むことさえできないのに・・。

 レッズの「スリーバック」ですが、私が聞いた範囲では、最終守備ライン中央の中村は、モダンな「前気味リベロ」として機能すべき・・というハズだったのですが、フタを開けてみたら、完全に「スイーパー」。最終守備ラインに完全に吸収されてしまっています。そして最終守備ライン全体は、受け身の「ファイブバック」になってしまっているのです。そして彼らが意図したのかどうかは分かりませんが、中盤をアントラーズに制され、受け身に守ってカウンター・・(たしかに、前半15分のベギリスタインの先制ゴールは素晴らしかったのですが・・)

 モダンサッカーでは、リベロを置いても、「ライン・ディフェンス」のようなクリエイティブなサッカーを展開できるもの。相手トップを確実にマークするストッパーを統率する中村は、攻撃でも、守備でも、最終守備ラインに吸収されるのではなく、その前を基本ポジションとする「前気味リベロ」として機能する・・、それでも肝心な時には、カバーリングポジションや、インターセプトポジションに入っている・・、はたまた攻撃でも起点になる・・ってな積極サッカーを展開しなければ・・

 レッズは、ある程度は確実に守れているようには見えましたが、それも基本的には受け身。「相手の次のプレーを読む(それが美しいインターセプトのベース!!)」とかいった「クリエイティビティー」が感じられず、ちょっと寂しい思いをした湯浅でした。

 モダン守備の「基本的な発想」は、「受け身」ではなく、自らが「主体」になることです。相手のボールの動きを制限しながら、次のボールの動きを的確に予測し、インターセプト、集中プレスなどで効率的にボールを奪い返して一気に相手ゴールへ迫る! それなんです。全員が、「リスク・チャレンジ」に対する積極的な姿勢でプレーすれば、彼らのサッカーのレベルが、何段階もステップアップすること請け合いなんですが・・。

 試合後、ア・デモス監督が、「まず選手たちの特性、能力などを観察した上で、どんなシステムがもっとも適しているのかを見極めたい。それが4−4−2になるのか、4−3−3になるのか・・それはまだ分からない。この試合に限っては、ファーストステージでの、33点という失点の多さ、またノックアウトシステムであることを考えてシステムを組んだ・・」と言っていました。まあ、最初だから、とにかく「確実に」、そして徐々に「クリエイティブな守備」へ移行していこうということだったのでしょう。これからの彼の手腕に期待しましょうかネ・・

 ちょっと疲れ気味の湯浅、今日はこれまでにします・・




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