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オリンピック予選・・日本代表vsネパール代表(5-0)(1999年6月14日)

またまた「しっかり守ってカウンター」というゲーム戦術の相手に対し、どのように崩していくかということがテーマの試合です(基本的にフィリピンよりはチカラは上)。

 予想通り、ネパールでは八人が「専業ディフェンダー」のように機能し、日本代表が完璧にゲームを支配するといった展開。フムフム・・パターンとしてはフィリピン戦と同じだけれど、あの試合のように、(試合の流れの中で)うまく相手のウラを突けるのだろうか・・

 などと考えているうちに広山の先制ゴール(相手の自殺点)。そして(本山からのパスを受けた)小野のロングシュートでの追加点。前半の最後には(稲本の素晴らしいタテパスを受けた)平瀬のサイドネット直撃のゴール。後半に入ってからの、(小野に代わった中村からのラストスルーパスを受けた)吉原のボンバー(爆撃機)シュート。そして、またまた中村の、クリエイティブな能力を証明するような素晴らしいラストパスを受けた(これまた)吉原のシュート(この最後のゴール・・中村のタメからの正確なタイミングのラストパス、吉原のウラスペースへの爆発的なフリーランニングなどが合いまった美しいベストゴール!!)。でも全体的には・・

 日本代表は、中盤でどんどんと「攻撃の起点(フリーのボールホルダー)」ができます。それでも(相手のチェックが厳しいこともあって)、そこからの「仕掛け」がうまくいきません。

 相手は、(ボールサイドで)常に「守備での数的優位」を保てています。どうして・・。それは、日本選手たちの、ボールがないところでのプレー(フリーランニング)がアクティブではないこともそうなのですが、ネパールの中盤守備が、(監督がシュピットラーというドイツ人ということもあるのでしょう)気持ちいいほど日本の「ボールがないところでの選手たち」をピタッ、ピタッとマークしてしまうのです。そんな「マン・オリエンテッド(基本的に人を見る)」なマーキングがうまく機能していることで、日本選手たちの「ボールがないところでの動き」が鈍くなり、結果としてボールの動きもカッタルくなってしまったともいえます。

 ドイツの典型的な守備方法は、まず人を見る、特にボールがないところでの(パスを受ける)動きをしっかりとマークする。そして、相手がボールを持っても安易にアタックして、「置き去り」にされることを極力避ける・・という「確実・堅実・忠実(みんな同じ意味の形容詞?!)」なもの。シュピットラー監督は就任してからまだ二ヶ月ということですが、(自チームの基本的なチカラに関する詳細な分析をベースに)このようなトーナメントでの最も重要なポイントだけは、確実に伝授したということなのでしょう(だから、地元の香港を2-1と下すことができた!!)。

 カッタルいサッカーを展開していた(させられていた?!)日本代表ですが、後半に中村と吉原が入ってから、かなりアクティブな「動き」が出てきます。

 彼らの運動量の多いプレーに周りが刺激されたのです。つまり、「ヨシッ、動いてボールに多く触れば、『その次(つまり動いた選手へパスが出ることで出来るウラスペース)』で決定的なチャンスができるに違いない!」というイメージを、選手たちが持てるようになり、「二人目、三人目」の動きを誘発したということです。

 全体的に納得できない内容だったとはいえ、いまはチームを固定していく段階ですから、様々な(プレイヤー&ポジションの)組み合わせを試すというトルシエ監督の姿勢には共感します。そのうちに最高の「メンバー&ポジションの組み合わせ」が決まってくることでしょう。最終予選へ向けて・・

 さて次は、「最強」と予想されるマレーシア戦。楽しもうじゃありませんか・・




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