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日本フル代表??これでは・・日本代表vsイラン代表(1−1)・・(1999年9月8日)

この試合、日本のフル代表としては、前日のアンダー22の試合結果からも、また「世代交代は必至・・」という雰囲気を沈静させる意味からも、存在感をなんとか示したいところです(ベストメンバーではありませんがネ・・)

 もう一つの私の興味は、「ライン・スリー」というトルシエ監督の守備戦術にもあります。昨日の韓国戦では、中盤省略のロングボールを多用されたことで、最初の頃はうまく機能しなかったわけですが、中盤の組み立て、またドリブラーが多いイラン戦では?・・興味が尽きないところではあります(ラインスリーですが森岡を中心に、『臨機応変』にある程度うまく機能していたので割愛・・)。

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 立ち上がりですが、中盤の「核」として期待された奥、三浦がうまく機能しない日本フル代表のボールの動きは、カッタるい・・カッタるい・・。沈滞気味なんてもんじゃありません。イランの守備戦術が、韓国同様、まず人を見るという確実・忠実なモノだから、フリーな選手が見つからず、後方で無為にボールを動かすだけ・・という展開が続きます。

 それならば、マークされていてもいいから、どんどんとタテの選手の足元に、ズバッという鋭く正確なパスを出し、そこからの、ダイレクトを織り交ぜた素早い展開を狙うなど、アイデアを出さなければ・・。リスクが伴わない攻撃なんて、この世に存在しないのです。

 例えば、こんなシーンがありました・・。左サイドでボールを回し、右サイドの伊東へサイドチェンジのパスがまわってくる。ただ、素早いコンビネーションプレーのチャンスにもかかわらず、その「ボールが飛んでいる間」にアクションを起こす「周りの選手」が一人もいないのです。結局、パスをトラップした伊東は、再び組み立て直さなければならない・・。とにかく、そんなカッタるい展開が何度も繰り返されるのです。一体、何をやっているんダ!!

 イランのサッカーもパッとしないのですが、それでも肝心なところでは、ドリブル勝負、タメからのスルーパス(もちろん決定的なフリーランニングも!!)、決定的なロングパストライなど、しっかりとリスキーな勝負を挑んできます。勝負所を心得ている・・ということなんでしょうが、それに対して日本の攻撃は、まったくと言っていいほど「チャンスになりそうな気配」が見えてこないのは一体どうしたことなんでしょうか・・

 得点を奪えるのは、先制ゴールのような「偶然のチャンス」しかない?! それでは、あまりにも寂しすぎる・・

 呂比須、城のツートップ、二列目の三浦、奥の「ボックス」もほとんど機能せず(アクションが起こされず・・)、ボールは例によって「前のアクションを待つ」ディフェンスブロックだけで回される・・これでは・・

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 後半、福西に代わり澤登、呂比須に代わり柳沢、守備ラインの秋田に代わり服部が登場。そして三浦が右のサイドに入り、伊東が中盤で澤登とコンビを組むという布陣になりました。

 そして両チームのサッカーに、少しずつではありますが「ダイナミズム」が出てきます。要は、より多くの仕掛けシーンが出てくる気配が濃厚になってきたということですが、それでも日本の仕掛けは「単発」。それに対しイランの仕掛けは「二段・三段ロケット」という趣の「厚み」があります。

 17分、ほとんど活躍することができなかった城に代わり、私が大期待する久保の登場です。このままの「試合内容」で終わってしまえば、全体的な雰囲気も「今のフル代表は終わった・・」ってなものになりかねない。ここは一つ、「内容」をワンランクもツーランクも引き上げて欲しいモノなんですが・・

 その久保が早速、魅せてくれました。21分、左サイドでボールを奪い。ドリブルで一人かわし、中へ切り込みながら、左サイドライン沿いにいた澤登へパス。澤登は、中央でフリーになっていた柳沢へ、そして彼は、そのセンタリングをダイレクトで、後方から回り込むように走り込んできた久保へ。そして久保は、これまたダイレクトでシュート!!

 ・・と、そんな素晴らしいプレーに、「ヨシ!これからだゾ・・」と思っていた23分。川口のハンドから、ダエイにスーパーフリーキックを決められ同点にされてしまいます。

 ただ、イランがゴールを決めたことで、そこからのサッカーは、もう闘い、仕掛け合い・・ってな雰囲気になってきます。やっと本来のサッカーらしくなってきたナ・・。それまで、ほとんど消えかけていた奥がドリブルで突っかける。澤登がサイドを駆け上がる。それでも、こんな「ダイナミズムのぶつかり合い(決してノーガードの殴り合いではありませんヨ・・)」になったら、本来のチカラが上のイランに分があるのでは・・

 案の定、日本チームが、これまたフルパワーで押し上げてくるイランの勢いにタジタジなり、心理的な悪魔のサイクルに入り始めます。ちょっと息を吹き返したかに見えた奥、澤登も沈黙。彼らにとってはここが正念場なのに・・。全ての「既成概念」を断ち切り、吹っ切れた心理で勝負を挑んでいかなければ、観ている方だけではなく、選手たちの心の中にも悪い印象だけが残ってしまう。そして・・

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 日本選手たちのプレーから、「オレが仕掛けていってやる!!」という気概を感じた方はいたでしょうか??

 三浦がボールを持つ。前にスペースがあるから、どんどんと突っかけていけるのに、出てきたプレーは、「安全な」横パスだけ。そしてその場に突っ立つだけなど、後のプレーに参加する意志をまったく感じない・・。スペースがあるのに、「後ろでパスを受けるため」に突っ立っている奥。もちろんチーム全体の雰囲気が低調なのに、彼らだけに「チームのダイナミズム源泉プレー」を要求するのはアンフェアというものですが・・どうしても目立ってしまって・・

 試合後に、トルシエ監督が、「いまの日本で注目されているのはオリンピック代表だから・・」と述べていました。フル代表に対する注目度が低くなっている・・だから・・

 でも、だからどうだっていうんでしょう。ラモスだったら、柱谷だったら、「冗談じゃないヨ。オレたちが日本のフル代表なんだ。よし、そのことを観ているヤツらに思い知らせてやる・・」ってな具合に、ギンギンに「燃えるプレー」を魅せてくれたはずです。それが、この試合で出てきたプレーは・・

 プロは「個人事業主」。でも、自分のアイデンティティー、自信をベースにした「自己主張(周りに自分の価値を認めさせること)」がなければ、個人事業主として、仕事をとってくることなんてできません。

 今日グランドでプレーしていた選手たちは、そのことをどう感じていたんでしょうか。もちろんサッカーはホンモノのチームゲームですから、一人だけ頑張っても「笛吹けど踊らず・・」ってな具合に、チーム全体のダイナミズムを高揚させることは難しいことこの上ありません。それでも、一人ひとりが意識を高く持てば、グラウンド上のいたる所で、「冗談じゃネ〜〜よ。フザケルナ、もっと闘うんだ!!」なんていう声が上がったはずだと私は思うのです。

 この試合の「(様々な意味合いを含む)内容」が、フル代表の選手諸君にとって、骨身にしみる教訓になったことを願って止みません。彼らは、基本的には、日本を代表するチカラを持った優れた選手たちなのですから・・




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