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ギリギリの心理戦・・アビスパが勝利を収める(アビスパ対フロンターレ・・3-2)(1998年11月19日)

いま、一部参入決定戦、アビスパ対フロンターレの試合を見終わったところです。まさに興奮の心理戦争というにふさわしいゲームでした。

 両チームともに、心理的に一歩も引かず、最後の最後まで極限の戦いを展開しました。たしかに「J」トップチームと比べれば、技術的、戦術的には見劣りします。ただ両チームの闘う姿勢には、久々に、心の底から自然とわき出てくるような感動を味わったものでした。

 特に、JFLで二位になり、アビスパサポーターの大声援がこだまする敵地においても、相手をギリギリの剣が峰まで追い込んでしまうような立派な戦いを展開したフロンターレに大拍手です。

 たしかに総体的なチカラではアビスパの方が上。ただそのギャップを「心理パワー」で十二分に補ってしまったフロンターレ。最後まで諦めない必死のチェイシング。「どんなカタチでもいい。絶対に何らかのフィニッシュまで行くぞ!!」・・そんな気迫。見ている者に感動を与えるに十分なスーパーパフォーマンスではありました。

 ただ、フロンターレが(試合内容としては順当に)2-1とリードした後、バーに当たるシュートなど、アビスパを突き放してしまうような決定的なチャンスを何度か作り出したにもかかわらず、それをモノにできないシーンが続きます。そのとき、これまでの私の経験から湧き出てくる、あるイメージが脳裏に浮かんできたのです。

 それは、「ア〜、今日のフロンターレには『アンロジカル(要はツキのこと)』な要素が欠けている」・・そんなイメージです。

 サッカーではよくあることなのですが、チャンスをモノにできないプレーが続いた場合、いくら内容的に勝っているとはいえ、結局は勝負に敗れてしまうということがよく起こるものです。これも、悪戯好きのサッカーの神様の為せるワザ。必然と偶然が織りなすドラマ・・それがサッカーというわけです。

 そして案の定、最後の最後でアビスパに同点ゴールを許し、延長での「V-ゴール」につながれてしまいます。今日の試合では、内容的には、少なくとも互角のプレーを展開したフロンターレ。彼らの来シーズンに期待しましょう。何といってもこれからは、「J-2」で上位二チームに入れば、自動的に一部昇格になるのですからネ。

 ですから、チーム作りにおいて中長期的な視点が重要になってきます。来年は二部、そしてワールドカップが開催される2002年には、一部で、上位三チームに入る・・。そんな長期的視点で、しっかりとした選手補強や戦術的コンセプトなどをベースにしたチーム作りに取り組むことが必要なのです。

 長期的に見れば、サッカーが大衆スポーツ文化として、しっかりと社会に根付いていくことはたしかなことなのです。

 さて・・、こんな「悲劇と歓喜のドラマ」を繰り返しながら、一部参入決定戦は続きます。フィジカル(身体)、テクニカル(技術)、タクティカル(戦術)、サイコロジカル(心理)、そしてアンロジカル(ツキ)。それらすべての要素のトップレベルの戦いであるチャンピオンシップとは「ひと味」違うギリギリの心理戦を、これからまだ何試合も見ることができる。今から楽しみで仕方がありません。




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