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冬休み明けのドイツ、ブンデスリーガ始まる・・(1998年2月5日)

 一ヶ月の「冬休み」が終わり、1998年1月31日に、ブンデスリーガが再開されました。

 この、ブンデスリーガの冬休みは、10年以上も前に導入されたのですが、ドイツの冬の寒さを知っている私は、それが当然の措置だったと感じます。私がドイツに留学していたころ、真冬でもブンデスリーガがやられていたわけで、その寒さといったら・・。たまには、雪の上でもリーガの試合が行われていました。ちなみに、「白黒ボール」が開発されたのは、雪の上でも「ボールを識別し易く」するためだったとか・・。スタンドに陣取るサポーターのエキサイティング度が、寒くなればなるほど高揚するのは当然といったところです。

 さて、第21節です。トップをはしるカイザースラウテルンが、アウェーで、1997年の「UEFAカップ・チャンピオン」、シャルケ04(現在リーグ五位)と「1-1」で引き分けです(現在、46ポイント)。それに対し、二位に付けるバイエルン・ミュンヘンは、ホームで、ハンブルク(現在最下位)を「3-0」と撃破しました(現在、44ポイント)。これで、トップのカイザースラウテルンと、二位ミュンヘンとのポイント差は「2」までに縮まったことになります。

 リーグ開幕当初、(開幕戦)アウェーで前年チャンピオンのバイエルン・ミュンヘンを敗っただけではなく、その後も連勝街道を突っ走るなど、センセーショナルなスタートを切ったカイザースラウテルン。彼らは二部からの昇格組だったわけで、その話題性は近年にないものでした。またその監督が、「あの」オットー・レーハーゲル氏(元のブレーメン、バイエルンミュンヘン監督・・リーグ優勝監督)ですからシーズン当初は彼らの話題で持ちきりだったというわけです。ただその勢いも、ここに来てブレーキがかかり始めました。というよりも、バイエルン・ミュンヘンが、本来のチカラを出し始めたといった方が正確な表現かもしれません。

 この二チームを追いかけるのは、ホームでデュイスブルクと引き分けてしまったシュツットガルトと、アウェーで(対カールスルーエ)、これまた引き分けてしまったレーバークーゼンです。現在三位のシュツットガルト(36ポイント)と、四位のレーバークーゼンは、これでまた、トップグループとのポイントを縮めるチャンスを棒に振ったことになります。ドイツのメディアは、レーバークーゼンのクリストフ・ダウム監督が(私の旧友で、ドイツ屈指の名監督という名声を馳せています・・私のホームページ「外国」を参照してください)、「これで、ダウムもサジを投げるのでは・・」ってな具合のニュアンスで報道していました。ただそこはクリストフ。これで諦めるはずがありません。またレーバークーゼンは、今年のヨーロッパチャンピオンズリーグでも、ベスト「8」に残っています。これからの巻き返しに期待しましょう。

 最後に、下位争いを見てみましょう。ブンデスリーガには「二部」もあります。つまり、下位のチームは、自動的に「二部」へ降格してしまうということなのですが、優勝争いだけではなく、骨肉のドラマが展開される下位争いにも、(地元の人々だけではなく)ドイツ全国の注目が集まります。さて下位チームの状況ですが、第21節が終了した時点での最下位は、名門のハンブルクです。優勝したこともある、元のリーグの顔ともいえるクラブが最下位・・。このままでは、来年は二部でプレーしなければならなくなります。100万都市、ハンブルクに一部のチームがなくなってしまうというわけで、大変な事態なのですが、どこまで彼らが踏ん張れるか・・、注目です。それに対して、リーグ前半は下位に低迷していた、これまた名門のケルンは(ここも100万都市・・ケルンは、ブンデスリーガ一部から降格したことはありません)、やっと調子を取り戻しつつあるようです(第21節は、ホームで、メンヘングラッドバッハに「3-2」と勝利を収めました---現在14位)。ドイツの大都市といえば、もちろんベルリンですが、そこには昨年まで一部のチームはありませんでした。それが、今シーズンからヘルタ・ベルリンが一部に復帰し、大活躍をしています(現在9位)。ベルリンには、ヒットラーで有名な「ベルリン・オリンピックスタジアム(7万人収容)があり、ヘルタの試合が行われる日には、そこが満員の観客で埋まってしまうのです。200万人を超える人口を考えると当然ですよね。これから、ドイツの顔(東西ドイツの統一で、ベルリンが首都に復帰します)になる最大都市、ベルリン。そこを代表するクラブである「ヘルタ・BSC・ベルリン」にはことのほか頑張ってもらいたいモノです。

 ドイツでは、サッカーは「生活文化」として確立しています。確かに二部に落ちてしまった場合は、経済的に苦しくはなりますが、それでも、決して「地元ファン」が「おらが町(地域)のチーム」を見捨てることはありません。二部リーグの試合でも、何万人もの観客を集めてしまうこともザラなのです。「J」でも、自動昇格・降格システムがはじまります。確かに、いまの日本のサッカー文化環境では、二部チームの経営はかなり苦しくなるに違いありません。ですから、彼らには、地元の人々と結びつく努力を惜しまず、地域社会との結びつきを大幅に深いモノにして欲しいと思うのです。プロサッカーの経営ベースが「ゲートマネー(入場料収入)」であることには変わりはありませんからね・・(その他の「バブル・メディア価値の環流」に期待することは馬鹿げていますし、サッカー自体の「ソフト価値」も、まだ確固たる経営基盤の一つにはなっていません)。

 ハナシをブンデスリーガに戻して、今回のコラムを締めたいと思います。これで、ブンデスリーガの残り試合数は「13試合」ということになりました。サッカーですから、このままトップ「2」の優勝争いに絞られてしまうはずがありません。これからもエキサイティングな「下克上・ポイント争い」が展開されるに違いありません。私も、できる限りブンデスリーガを追いかけてレポートしようと思っています。ご期待あれ。




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