今回の海外遠征は、ドイツでのコーチ国際会議がメインだったのですが、それ以外にも、私のビジネスミーティングなども絡み、かなりハードなスケジュール。ただ最後の数日間は、ハワイでのバケーションということにしました。
ただ、純粋にバケーションのつもりだったハワイだったのですが、どうしても足は、地元の人々が「サッカー」に興じるグラウンドの方角へ向いてしまって・・。先週は全てのコラムを休むつもりだったのが、結局は、ハワイ人のサッカーを見てインスパイアーされたテーマに筆を伸ばすことになってしまいました。このことについては、今週号の「ヤフースポーツ2002クラブ」を参照してください。
と、そのコラムを書き上げたまでは良かったのですが、そこで私のコンピューターがダウンしてしまって・・。結局、帰国した土曜日(サッカー観戦を除いて・・)、そして日曜日の全日を「コンピューター修復」に当てざるを得なくなってしまった次第(大容量の、外付けハードディスクと修復プログラムなどを買い込み、私のパワーブック内蔵ハードディスクを初期化し、プログラムを入れ直す作業・・)。今は、日曜日の深夜なのですが、とにかく少しはコラムをアップしなければ・・とコンピューターに向かっています。
----------------
さて、軽くレイソル対セレッソについて・・
ファーストステージでの話題を独占したセレッソ。その勢いで、彼らのサッカーが発展し続けると思っていたのですが・・
結局は、レイソルのホームで「4-0」の惨敗。その結果のほとんどが、「確立していない守備システム」にある・・見ているほとんどの方々がそう感じたはずです。
要は、(ライン気味の)フォーバック、プラス二人のボランチ(田坂とユン・ジョンファン)、それにノ・ジュンユンと西谷、そして森島までもが積極的に絡んでいたファーストステージでの「組織的で堅実な守備プレー」が、完全にバランスを欠いてしまっている・・ということです。特に、ユン・ジョンファンが「前に重心が掛かりすぎ」、そして田坂のところでも、相手攻撃を止めることができていない・・
そんなセレッソ守備ブロックの不安定さは、ボールホルダーに対するチェックだけではなく、ボールがないところでのマークがうまく機能していないため、つまり、重要な守備の勝負所を抑え切れていないために、「周りで守備に絡む」味方の守備プレーにも首尾一貫性を欠いてしまっているということです。
中盤からの守備が安定し、ボールを奪い返したら、どんどんと前へ上がってくるレイソル選手たちを、セレッソの、特に中盤の選手たちがつかみ切れていないのです。そして、中盤の選手たちが、タテへ抜け出るレイソル選手たちに付いて戻らないから、どうしてもセレッソ最終守備ラインの人数が足りなくなってしまい、最終勝負シーンでのマークが甘くなってしまう・・。シンプルなワンツーで守備ブロックが簡単に置き去りにされてしまったり、簡単なサイドチェンジで、逆サイドで走り込んだレイソル選手がまったくフリーになってしまうような場面を何度目撃したことか・・
先制ゴールは、北島からの横パスを受けた大野からのダイレクトパスが、右サイドを抜け出していた渡辺へ通って生まれました(ここでも渡辺へのマークはまったくなし!)。二点目は、右サイドでキープした加藤から最前線の北島へパスが通り、そのままパスアンドムーブで抜け出した加藤に、ベストタイミングでのリターンパスが通ってズバッ! 特にこのシーンでは、最初にキープした加藤にプレスをかけていた三人のセレッソ選手たちが、パス&むーぶでダッシュした加藤を、まるで初めからマークする気がないように、簡単にフリーで走り抜けさせてしまいます。完璧に足が止まり、ボールウォッチャーになってしまうセレッソの首尾ブロック選手たち・・これでは・・
ここまでで勝負は決してしまいました。その後は、前後左右のバランスを崩したカタチで攻め上がるセレッソに対し、中盤の高い位置でボールを奪い返したレイソルが、何度もシンプルなカウンター攻撃を決めて、決定的なチャンスを作り出してしまう・・という展開が続き、終わってみれば、レイソルが「4-0」で完勝。
後半のセレッソは、ペリクレスが入るスリーバックに変え、やっと守備に落ち着きが戻ってきます。要は、基本的には「前気味リベロ」として機能していた田坂が(彼はめったなことでは攻め上がらない!)、最終守備ラインの「中央部分」の人数が増えたことで、本来のボランチのプレーに集中できるようになったのです。前半のセレッソの守備では、確実に「後方の中盤守備」に人数が足りませんでしたからネ(ユン・ジョンファンが上がりすぎていた・・後半は彼が攻撃の二列目としてある程度は機能した・・)。
セレッソの建て直しは、まず選手たちの守備意識を見直すことからはじめなければ・・。ファーストステージで、彼らの美しく危険な攻撃がうまく機能していたのは、選手全員に「忠実な守備意識」が徹底していたから他なりません。そのためには、まずシンプルな(明確なリベロを入れた)スリーバックで、意識の調整をするのが得策かも・・
それにしてもレイソルの攻撃のコアである北島と大野。注目されてはいたのですが、オリンピック候補に選ばれたことで、彼らの「心理的なダイナミズム」が何倍にもふくれ上がっているように感じます。北島の「発展」は前シーズンから注目されていたのですが、大野の、ボールがないところでの「仕掛けに対する意識」の向上には目を見張りました(それまでの、ココゾの勝負所でのサボリプレーは目に余っていましたからネ・・)。オリンピックという「刺激」がなければ、クリエイティブな無駄走り・・というサッカーの本質的な部分に対する意識が向上しないのは問題ですが、彼ほどの才能なのですから、このまま「良いサッカーに対するイメージ」を発展させていって欲しい・・と節に希望する湯浅なのです。
----------------
さて「J」。20日ほど留守にしている間に、リーグの(今のところの!)主役が見えてきました。
外国でもインターネットで追いかけてはいたのですが、とにかくアントラーズの復調が目立ってしまって(もちろん結果的にですよ・・。まだ彼らのサッカー内容をしっかりとは見ていませんから・・)。もともとチカラを持っているチームなのですが、若手を中心に、自分たちのサッカーを取り戻しているように感じます。
ベベトという「大問題」がクリアされたから・・?! とはいっても、ベベトを使い続けたトニーニョ・セレーゾに対する不信がぬぐい去られるハズはないのですが・・
選手たちが「大人」だから・・?! ジーコという「ストロングハンド」がいるから・・?! はたまた、トニーニョ・セレーゾと選手たちが「ジックリ(そこには多くの意味が包含されている?!)」と話し合ったから・・?!
そこいらあたりの「チーム心理マネージメントプロセス」に対する興味は尽きません。一度、アントラーズに詳しいジャーナリスト仲間に聞いてみることにしましょう。「心理・精神的な大問題」があったチームを再生させるのはそんなに簡単な作業ではありませんからネ・・
主役のもう一人は「FC東京」。サッカーマガジンの「1/4コラム」でも書いたのですが、彼らの試合内容からすれば順当な結果としか・・。今週の水曜日、国立でジックリと「内容」を見せてもらいましょう。
最後の主役、ガンバ。しっかり守ってカウンター・・という戦術が、ハードな走り込みトレーニング(集中力アップトレーニング)によって、かなりうまく機能するようになったと聞きます。一時は「クビ」も取りざたされた早野監督。なかなかやるじゃありませんか。
さて、面白くなってきたじゃありませんか・・