それでも、準々決勝が行われる、ナント、リヨンへの「TGV」の予約をするために、パリの「リヨン駅」までは一度ホテルから出かけました。
今回のパリ滞在では、初めて鉄道駅を訪れたのですが、非常にキレイになっていることがまず目につきます。
私がパリの鉄道駅に最後に行ったのは、かれこれ15年前(その後はもっぱらクルマと飛行機での移動ですから鉄道利用の機会は皆無でした・・)。そのころは、とにかく暗く汚いイメージしかなかったパリの鉄道駅が(フランス鉄道ファンの皆さん、ゴメンナサイ)、それはそれはキレイになっているのです(とはいっても、いろいろな店が雑然と混在しているところは変わっていませんがネ・・でも、それもいい?!)。驚き、感心する湯浅でした。
もしかしたら「あの」フランス公共交通機関にも顧客志向という発想が根付きはじめたのだろうか・・(フランスの鉄道はまだ「国鉄」ですよネ)。今度帰国したら、私のフランス人の友人と、そのことについて話してみましょう。
キップを販売する窓口もキレイ。私が行ったのは、日本では「緑の窓口」にあたる特急券売場だったのですが、そこの作業手順も非常にスムーズです。
まず受け付けで用件をいい(長距離チケットか、ホテル予約もしたいのか・・など)、受け付けカードを受け取り、あとは自分の番号が呼ばれるまで(天井近くに設置されたディスプレーに、カウンターの番号とともに表示されます)、キップ販売カウンター前の、これまたキレイな待合い室でそのまま待つか、近くのカフェーでコーヒーを飲んでいてもいいといった具合です。
キップの販売カウンターですが、自分の順番が近くなったので、その前で待っていたところ、二つのカウンターが同時に空きました。右は若い美人、左のカウンターの担当は「元美人」です。「お願い。右のカウンターの彼女・・オレのことを呼んで!!」。
でも・・無情にも・・。それでも、私の担当になってくれた左カウンターの彼女は、非常に親切。それに、よく見たら、ホントは非常に美人。逆に、右カウンターの彼女は、何やら客ともめてしまっているようです。その大声が響きます。
フランス語ですから、何をしゃべっているのか分かりませんが、その表情と仕草から、両方ともかなり興奮している様子。ア〜〜、左側の彼女でよかった・・。勝手な湯浅でした。
クルマを運転していると、よく自分勝手な運転をする小型バイクや自転車の「彼女たち」に、「何やってんのヨ!!」と理不尽に怒鳴られてしまうことがあるのですが、その右カウンターの彼女と、そんな「暴走族」のイメージが重なり、一人で「クックッ」と含み笑いの湯浅でした。
ということで前置きが長くなってしまいましたが、今日は、ドラマチックだったイングランド対ルーマニアの試合についてです。
この試合を見ていて、何かドイツ対ユーゴスラビアの試合のイメージが重なってしまいました。というのも、この試合が、ものすごく「ウマく、美しい」サッカーを展開するルーマニア(ユーゴスラビア)に対し、確かに細かなパスをつなぐなど、サッカーが美しくなっているとはいえ、まだ何か無骨で、ダイナミズムだけが目立ってしまうイングランド(ドイツ)といった構図だったからです。
ハジ、イリエ、モルドバンなどの攻撃主体プレーヤーたちだけではなく、守備的な中盤選手、はたまた守備主体プレーヤーなど、ルーマニアチームの全員が、ホントに「ウマイ」のです。
こんなにウマイ選手たちが集まった場合、どうしても個人プレーにはしり過ぎてしまうものなのですが、そこはアメリカワールドカップで小型センセーションを巻き起こした強者たち。個人プレーとチームプレーが、うまくミックスしたサッカーを展開します。特に中盤での守備がいい。そしてボールを奪い返した後には、(たまには停滞してしまうとはいえ)かなりスムーズな「ボールの動き」を演出してしまうのです。
フランステレビの解説者も、ルーマニアの素晴らしいテクニックに、「オーララ!!ファンタスティーク!!」というコメントを出し続けます。そんな芸術家の集団と戦うイングランド。確かに全体的なチーム力、長丁場のトーナメントを戦うための経験(『フォーム』のペース配分)など、総合力では確実に上ですが、「芸術点」では確実にルーマニアの方が一枚も二枚も上手です。
そのルーマニアが、ペトレスクのスローイン、ハジのダイレクトの浮き球パス、そしてモルドバンの素晴らしいボールコントロールからの「ドカン!」シュートで、先制点を奪ってしまいます。この時、イングランドナンバーワンのディフェンダー、アダムスも「ボール・ウォッチャー(ボールばかりを見て、マークすべき相手から視線が外れてしまっている状態)」になってしまっていました。
その後、交替出場した「若き天才」、オーウェンのシュートで一時は同点としたイングランドでしたが(一時は逆転するか・・と思わせるほどの勢い)、最後は、ペトレスクの「老獪な競り合い」からのシュートで決勝点を奪われてしまいます(ペトレスクの手の使い方が老練)。
私にとっては、負けたとはいえ、イングランドはまだ優勝候補です。それは、ベッカム、ゲリー・ネビル、オーウェンといった「若き才能」がワールドカップデビューを果たし(オーウェンは二度目の登場)、これからの「大会期間中におけるチームの成長」が多いに期待できるからです。
メラー、ヘスラー、ハマン、ツィーゲ、クリンズマンといった「主力たるべき」選手たちが完全に『フォーム』を崩しているドイツと比べたら、イングランドの状況は、負けたとはいえ、比べものにならないくらい「ポジティブ」だとすることができまそうです。
どうしても最後は「ドイツ」にこだわってしまう湯浅でした。
明日(23日)は、サンドニ競技場で、イタリア対オーストリアの試合を観戦します。この日から、全ての予選グループの最終戦ということになります。つまり、やっと「一発勝負」の試合が見られるということです。
予選リーグは勝ち点制ですから(勝ちが「3」点、引き分けが「1」点、そして負けは奈落の「0」点です)、最終戦で、それまでリーグトップだったチームが、ボトムに落っこちたり、ビリだったチームがトップになったりします。その関係で、リーグの最終戦は、いつも各グループの「トップツー(一番強いと考えられる二チーム)」同士のカードが組まれるのです。そして、各グループの最終戦2試合が、(一方の試合の結果を待って戦い方をコントロールすることが出来ないようにするため)「同時」に行われます。
さあ、勝ち点と「得失点差」、また「総得点」を計算しながら(表を作っておくのがいいですヨ)明日からの「モノホン勝負」のゲームを楽しみましょう。
私が見る、明日の「B組」では、勝ち点「4」のイタリアが、同じく「2」オーストリアと、また「2」のチリが、「1」のカメルーンと、同時に、他会場で対戦します。このグループでは、全てのチームにまだ予選リーグ突破の可能性が残されているんだよネ。ヨシ、楽しむゾ・・。