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スペインリーグで噂の「セルタ・ビーゴ」・・見ましたヨ・・(1999年2月3日)

BSが放送した、スペインリーグ序盤の、レアル・マドリッドとセルタ・ビーゴとの試合を見ました。テレビ観戦とはいえ、セルタの「チームとしての」高いポテンシャルは十分に伝わってきます。さすがに、いまスペインリーグで話題のセルタ・ビーゴ。世界のスターを集めたレアル・マドリッドに、「これゾ、チームゲーム」というサッカーで、サンチャゴ・ベルナベウ(マドリッドのホームスタジアム)の地元ファンを沈黙させてしまいました(2-1で、アウェーのセルタが勝利)。

 この試合でまず目についたのが、セルタの「理路整然」としたサッカー。後半の大攻勢が象徴しているように、個人の能力をベースにした総合的なチーム力では明らかにレアルの方が上です。ただ、集中を切らさない堅実な守備をベースに、ボールを素早く、広く動かすだけではなく、ココゾという場面では、しっかりと個人勝負を仕掛けていく・・。そんな、ロジカルでスマートなセルタのサッカーに、心底惚れ込んだ湯浅でした。

 まず何といってもセルタの守備。

 基本的には、受け渡しの「ポジションバランス・オリエンテッド守備システム(ゾーン守備ともいいます)」ですが、とにかくそれは「忠実」の一言。フリーでボールを持つレアルの選手がまったく出てこないだけではなく、パスを受けることができる周りの味方も、すぐに完璧に「タイト(密着)マーク」されてしまいます。結果として、パスを受けたレアルの選手たちは、例外なくボールを持ちすぎ、初めから狙われている「次のパスの受け手」のところで、簡単にボールを奪い返されてしまうのです。

 レアル選手たちがボールをこねくり回し過ぎだった?? イヤイャ。私は、どちらかといえば、セルタの守備が良かったからだと考えます。セルタ選手たちの、「自分がボールを奪い返すんだ!」という高い意識に(無限の集中力に)大拍手です。

 またセルタは、攻撃でもスマートそのものという展開を見せます。全員が、「目指すサッカー」に対する完璧に一致するイメージを持っているのです。彼らの攻めで、ボールの動きが停滞すること(無為にボールを持ちすぎること)は本当に希。一人ひとりの技術もしっかりしていますから、後方から押し上げる味方も「確信」をもって飛び出してきます。それはそれは、心地良いことこの上ないサッカーではありました。

 一人ひとりの能力が高くても、それをチームの総体パフォーマンスとしてまとめ上げる作業は簡単ではない・・。後半、オランダのスター、セードルフを交代させたことでリズムを取り戻したレアルに、そんなことを感じていました。

 その交代は、マドリッド、ヒディンク監督(元オランダ代表監督)の手腕の高さを証明していたのですが、それでも、個人的な能力では秀でているセードルフを外さなければチームとしてうまく機能しなかった・・という事実は残ります。

 個人的な能力が高くなければ、チームの総体パフォーマンスには限界が出てきてしまう。ただ、(スター扱いの選手も含め・・)能力が高い選手ばかりを集めたら、逆にチームとしてまとめ上げる作業は困難を極める。サッカーって、本当にホンモノのチームゲームなんだな・・。この試合を見て、そんなことも再認識していた湯浅でした。




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