不満の最たる部分は、もちろん攻撃での「仕掛け」。正月のイタリア戦では、相手のフィジカル、戦術的な強さに完璧に押さえ込まれ、一種の「心理的な悪魔のサイクル」に入ってしまい、どうしようもない状況になってしまったのですが、今回は、本当に「自分主体の仕掛け」をフルに展開できる相手なのに、またまた「足元パス」ばかりで、本当の意味での「仕掛け」が見られたのは、ほんの数回という体たらくでした。
この試合は、フレンドリーマッチ。「試合のテーマ」以外は、特別な「ゲーム戦術」を計画する必要なんてないのに・・。そしてその「テーマ」のなかでもっとも重要なことは、戦術的なプレーの徹底以外では、「自由にならざるを得ない」というサッカーの基本的な性質をベースにした「心理的な姿勢」でなければ・・。そうです、「自由なリスクチャレンジ」です。
とにかく「進歩」するため、また「自信」を深めていくためには、リスクにチャレンジしていくしかありません。それなのに、この試合でのアンダー19日本代表は、中盤から一人が「仕掛け的」なプレーをはじめても、反応するのは最前線の一人くらい。周りの二人目、三人目の選手たちの積極的なフォローがほとんど見られません。彼らは、互いのポジションバランスを(次の守備に備える?!)・・なんて、攻撃の最終段階でも考えているんですかネ・・。本当にイヤになってしまう・・
「クリエイティブなムダ走り」という普遍的な概念があります。これは、フットボールネーションではアタリマエの発想。優れた選手であればあるほど、この「概念」を大事に「実感レベル」でキープしようとします(それがなければすぐに淘汰の憂き目に・・)。もちろんそこでは、「コーチ」による「心理マネージメント」も重要になってきますがネ・・
「クリエイティブなムダ走り」。ボールがないところでの「リスクチャレンジ」とでもいいますか、「オレが、あのスペースでパスを受けて仕掛けてやる!」、「オレが、シュートまでいってやる!」、そんな「自分主体の積極性」。それがほとんど見られない。確かに、最前線の「佐藤寿人(ジェフ)」の積極的なムダ走りには感銘をうけましたし、代表の二得点ともに彼が決めたのも当然の成り行きだと感じます。また、左サイドバックの駒野(サンフレッチェ)が何度もトライした、最終局面での単独ドリブル勝負も魅力的でした。でも全体的に見た場合・・
攻撃(最終段階)での、ボールを持ったときの仕掛け、ボールがない状況での仕掛け。それについては、もう何度も、何度も書いてきましたから、以前のコラムを参照してください。その「仕掛け」が見られない。見ている方は、フラストレーションのオンパレード・・ってな具合です。何せ、前にスペースがあるのに横パスを出したり、コイツさえ抜き去れば、決定的なセンタリングやシュートまでいける! という絶対勝負の状況でも「逃げ」の横パスやバックパスしたり・・なんていうのでは、ホント、試合をするだけ「時間のムダ」・・なんてことまで思ってしまって・・
私がいっているのは、攻撃の最終段階のこと。彼らが構成する中盤プレーでは、たしかに比較的うまくボールは動いていました。ただそれも、次の「仕掛け」を意識した・・というものではなく、とにかく「攻撃エリア」を移動させよう・・という「目標意識」が前面に押し出されていたように感じます。
攻撃の目的は「シュートを打つこと!!」。そしてそのための当面の目標は、相手が嫌がる(つまり本気でアタックしてくる)「スペースで、ある程度フリーでボールを持つこと」。そのために、フリーランニングでスペースへ入り込んでもいいし、ドリブルで相手を抜き去ってもいいんです。とにかく、「攻撃の最終段階で、決定的なスペース」を意識していない(ということは、本来の攻撃の目的も意識していない?!)プレーが目立ってしまって・・
攻撃で、退屈な「発想」の(安全・ノンリスク)プレーしかしない「ステレオタイプサッカー」・・。それでは何も生まれませんし、進歩のキッカケをつかむことすらできません。これは、明らかに選手たちの「(意識的な)姿勢」の問題。それを司るのが、「心理マネージャー」としての監督の、もっとも重要な仕事の一つなんですが・・
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この試合の後に行われた「キリンチャレンジ2000」、オリンピック日本代表対、同ニュージーランドの試合レポートは、今週の金曜日にアップされる「Yahoo Sports 2002 Club」で書くことにします。そちらもよろしく・・