トピックス


これで自力二位もなくなってしまった・・・ウズベキスタンvs全日本(1-1)(1997年10月11日)

確かに、戦術的、体力的には日本の方が「少しは」上ですが。そんなに大きな差があるわけではありません。第一戦の「6-3」という「結果」からだけで「勝てるハズ・・」というのでは、「肉を切らせて骨を断つ」闘いを甘く見ていると言わざるを得ません(選手も含めた、全日本の『現場』にそんな雰囲気があったとは思いたくありませんが・・)。第一戦のプロセス(試合内容)からすれば、全力を出し切らなければやられてしまう相手であることは誰の目にも明らかだったように思います(全日本が「全力」を出し切っていなかったとは思いたくないのですが・・)。

とにかくこれで、自力二位もなくなってしまいました。今週試合のなかったUAEの結果次第で、またチャンスが復活するかも・・という状況になってしまったわけです。五試合を終わって「一勝一敗三引き分け」。勝ち点は「六」。当面のライバルであるUAEは、四試合で、すでに勝ち点「七」。「魔物が棲むワールドカップ予選」。それに期待するしかなくなってしまったことが残念でなりません。

今日のウズベキスタンの守備は、まるで「別人」のようでした。「マークのズレ」が、ほとんど起きないのです。それは、最終守備ラインのストッパーが、決められた相手(カズ&城)をしっかりとマンマークしていたからです。そのことは、ロペスが入った後半も変わりませんでした。守備ラインが中途半端に上がってバランスを崩していただけではなく、(特に中盤での)マークもいい加減だった第一戦とは、(守備に限れば)まったく違うチームになったといっても過言ではありません。それでも、「二列目」で動き回り、たまには最前線のカズや城を追い越して飛び出していく森島には、前半、何度か決定的なチャンスがありました。前回とは比べモノにならないくらい、「自分からマークを探す」ような積極的な守備を見せていたウズベキスタンの中盤守備でしたが、それでも森島の広範囲な動きをつかみ切れなかったのです。ただそんな森島のチャンスも生かせず、逆にロングシュートを決められてしまいます。

全体的に見て、日本チームの攻撃における「ボールの動き」は「緩慢」そのもの。それは中盤での、選手たちのモビリティー(積極的な『ボールのないところ』での動き)が欠如した結果でした。確かに、森島は頑張りました。それでも「中田」とはまったく違うタイプの選手ですから、それが影響したのでしょう。とにかく、そんな消極サッカーでは、相手の守備ラインを崩すカタチを演出できないのも道理です。一人ひとりが、味方の足元へ「安全に」パスをつなげれば、「ホッ」と、その都度、胸をなでおろしているように感じられてなりませんでした。もちろん、密着マークされていたり、最前線が「本当に」詰まってしまっている場合は別ですが、ボールを持ち、チャンスとなったら、「オレがシュートまでいくんだ!」という気持ちで、積極的に「仕掛け」ていかなければなりません。タイトにマークされていてもいい。とにかく、最前線のカズや城の「足元」にパスを出し、自分は、そのままフルスプリントで「次の」パスを受けることが出来る位置へ移動する。そして次の展開へもっていくか、自分がそのまま「勝負」してシュートまでいくか・・。もちろんそれは「リスク」ですが、リスクにチャレンジしないサッカーで勝とうなどと考えるのはおこがましい限り。それは、日本にとって、絶対に勝たなければならない試合だったハズです。

また全日本チームの守備も、どちらかというと「受け身」。あれだけ、ゲーム全体が「間延び」してしまっては、「パスがくる瞬間」を狙って「タイトにマーク」というのも難しいでしょうがネ。それにしても、中盤でどんどんとフリーでボールを持つ相手が出てきてしまうことは問題でした(積極的にマークを探していない==パスコース読むような守備が出来ていない)。

後半途中から入った中田。積極的にプレーすることで刺激を与え、チーム全体がアクティブになりました(もちろん負けている状況で、あれだけオフェンシブな布陣を敷いたのですから、当然ですが・・)。彼を中心に、ボールがうまく回りはじめたのです。とはいっても、それも中盤まで。とにかく最前線の動きがなさすぎます。彼が「ある程度フリー」でボールを持っても、前線の選手たちは、「足元」でパスを受けようとしかしません。一人が戻り気味に動き、もう一人は「決定的なスペースに走り抜ける」。また、最前線の選手が動いたことで出来たスペースに、別の「二列目」の選手が、どんどんオーバーラップする。ボールを奪われたら、その場から「全力での守備参加」。失敗しても、何度も、何度も繰り返す。それが、「本当の勝負の試合」に臨む態度です。そんな積極的な「ボールのないところでのプレー」が出てこないのです。これでは、勝負のパスを出そうと、ギリギリのタイミングまでキープする中田が「ツブされてしまう」のも道理といったところでした。

「皮肉」な結果でした。それまでのロスタイムは、日本チームにとって「魔の時間帯」。それがこの試合に限っては「ラッキーな時間帯」になったのですからね。もしかすると、この試合を境に、日本チームに「ツキ」がもどってくるかもしれない・・。来週の週末に行われるUAEの試合結果が気になる・・。フィジカル(技術・戦術・体力的なキャパシティー)、サイコロジカル(精神力)、そして『アン・ロジック(ツキ?!)』。その「三要素」が揃わなければ勝ち抜けないのがワールドカップ予選なのです。

テレビ中継の技術が、あまりにも稚拙だったため、試合の分析も限られたものにならざるを得ませんでした。ご容赦あれ・・。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]