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アジアユース選手権・・内容は課題満載だったけれど、大熊ジャパンが世界への扉をこじ開けたことには(来年のワールドユース出場権を獲得したことには!)素直に大喜びの湯浅です・・(2004年10月3日、日曜日)

ヨ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜シッッ!!!!!!!!!! ヤッタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!!!!!!!!!! フ〜〜ッ・・アドレナリンが身体中を駆けめぐる・・。

 「よかった・・感無量です・・でも試合内容は良くなかった・・とにかくこれからです・・今日は最高の感動を分かち合って欲しいけれど、また明日から気持ちを切り替えていきたい・・彼らは一歩新しい世界に踏み込めた・・本当によかった・・」。大熊監督が、PK戦で勝利をおさめた試合直後のインタビューで、そんな内容のことを言っていたような・・。彼の表情からは、将来のある若者たちを世界デビューさせられたことに対する安堵の気持ちが痛いほど読みとれました。若く(あっと、もうオッサンだったっけ・・)聡明な大熊監督に、心からの拍手をおくっていた湯浅でした。

 この試合は、日本の若武者たちにとって本当に厳しい勝負になりました。予選リーグでイランを下し、グループ二位で決勝トーナメントに駒を進めたカタールは、予想されたとおり大変な強敵だったのです。私は、試合を観ながら、10月13日にオマーンの首都マスカットで行われるフル代表の勝負マッチに思いを馳せていました。その試合も、同様に厳しいものになるに違いない・・。

 カタールは、技術的、体力的にだけではなく、戦術的にも日本に優るとも劣らないレベルにあることを誇示しました。いや、技術や体力では、優っている部分の方が多かったとする方がフェアな評価でしょう。皆さんも見られたとおり、膠着したゲーム展開のなかでも、瞬間的な局面での競り合いに勝ったカタールが、何度か決定的チャンスを作り出していました。もしチャンスの内容という評価基準の判定があるとしたら、この試合は、確実にカタールに軍配が上がるということです。だからこそ、最後の最後まで集中を切らさずに守り切った日本代表ディフェンスブロックの頑張りを誇りに思えたのです。この守備ブロックは、(私にとって)イチローに匹敵するほどのアイデンティティー(誇りという心理ベース)を与えてくれたのです。

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 ゲームですが、どうもアドレナリンに翻弄されつづけていたようで、細かなゲーム内容が、アタマのなかでモザイクのように複雑に入り組んでしまっています。要は、落ち着いてからもう一度ビデオを見直して分析する方が賢明ということなのですが、でもまあ、試合中にメモをしていたポイントだけは、ファーストインプレッションとして書き留めておくことにします。

 ・・カタールの10番ワリードは本当に危険な男・・高萩がマンマークについているようだけれど、そんなハードマークに遭ってもなお、スルーパスを出したりクロスを上げたり、はたまたシュートポジションまで行ってしまうなど、危険な仕事をしてしまう・・ワリードは、常にボックスへ入り込むことを強くイメージした上手いドリブルで日本選手のタックルを誘う・・もちろんそれは、タイミングを見計らった「倒れ込み」をイメージしながらのドリブル・・レフェリーは中国の方だから、最初は「もしかしたら・・」なんて心配したのだけれど、ちょっと神経質なことを除けば、彼のホイッスルの吹き方は両チームにフェアなので安心した・・

 ・・それにしてもカタール選手たちのプレーには、失うものなど何もないという勢いを感じる・・攻守にわたるプレーの一つひとつに、チャレンジャーとしての吹っ切れた勢いとでも表現できそうなギリギリの勝負マインドが込められている・・技術・身体能力・戦術でもハイレベルなモノを持っているだから、強いはずだ・・これは日本代表にとっては大変なゲームになる・・

 ・・日本選手たちは、カタールの吹っ切れた勢いに(心理・精神的に)押され気味になっていることでうまく攻撃に人数をかけていけない・・だから、日本チームにとっての生命線ともいえる組織的な仕掛けが機能しない・・人数さえかけられれば、いくら堅いカタール守備ブロックといえども、実効あるチャレンジを仕掛けていけるはずなのに・・ちょっと歯がゆい・・そんななかで一人気を吐いていたのがカレン・ロバート・・攻守にわたり、まさに全力というプレーを展開しつづけていた・・来年オランダで開催されるワールドユース出場に対する人一倍のこだわりを感じる・・

 ・・日本の仕掛けだけれど、もっともっと平山のアタマを意識すればよかった・・前半に(試合全体を通じて唯一の?!)、平山のヘッドでのタテパスがカレン・ロバートに通った絶対的チャンスがあったけれど、どうして「それ」をリピートできなかったのか・・もっと選手たちに明確なイメージを与えてもよかった・・もちろん大熊さんも、一つのオプションとして選手たちに意識させていたに違いないだろうけれど、場合によっては、平山のアタマだけを意識した放り込みという極端に偏った仕掛けがあってもよかった・・でも彼らは若いから、そちらに偏ったら、偏りっぱなしということになってしまうんだろうな・・それにしても、平山のアタマを効果的に活用する仕掛けがもっと見たかった・・それがうまく機能したら、そのことが自信ソースになって、その他の攻撃にも勢いを乗せられたに違いないのに・・とにかく若い選手たちだから、ちょっとでも可能性を感じたら元気100倍になるもの・・そんな「ちょっとした可能性」を感じさせてやるのも監督のウデ・・とはいっても、チカラのあるカタールが相手だから・・

 ・・後半は、日本も仕掛けに人数をかけられるようにはなったけれど、時間が経つにつれて、またまたカタールの地力に押し返されてしまう・・押し込まれるなかでカウンターを狙う日本という構図にゲーム展開が変容していく・・ただカタールの守備も強いことで(とにかく身体能力が高い!)、日本のカウンターもことごとく潰されてしまう・・延長戦では、(前線からの積極ディフェンスの勢いが減退したことで?!・・要は、カレン・ロバートが交代したことで?!)日本がより押し込まれ、何度もピンチを迎えた・・だからこそ、そこでの日本守備ブロックの頑張りが目立ちに目立っていた・・

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 とにかく、日本の若武者たちが、ホンモノの勝負の場において世界を体感できる機会を勝ち取ることができて、本当によかった。「ヨーロッパの日本人」レポートは、明日にします。悪しからず・・。

 



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