トピックス


アジアユース選手権・・PK戦で力尽きたけれど、自分たち主体で演出した二度の同点劇は、成功体感として確実に残る・・(2004年10月6日、水曜日)

立派な、本当に立派なゲームを展開した日本代表の若武者たち。でも結局は・・。たしかに負けはしたけれど、あの粘りのゲーム展開は、成功体感として、確実に彼らの血となり肉となったに違いありません。でも、そんな実効あるサッカー内容に高揚するまでには時間がかかった。特に前半は、これではカタール戦と同じように消極的なサッカーに終始してしまうことになってしまうかも・・なんて心配したものです。

 前半のサッカー内容を観ながら、こんなことを思っていました。フ〜ム・・どうも日本選手たちの確信レベルが上がらない・・まあ、あれだけ簡単に攻撃の途中でボールを失って危険なカウンターをぶちかまされてしまったら、全体的な押し上げパワーが減退するのも道理・・また中盤ディフェンスも、完全に韓国の勢いに押されている・・だから攻撃に十分な人数が上がっていくシーンを演出できない・・だから局面で数的優位の状況を作られて簡単にボールを失ってしまう・・そんな悪魔のサイクルを断ち切るためには、吹っ切れた攻撃姿勢で中盤ディフェンスをガチガチにいくしかないのに、どうも中盤ディフェンスが受け身で甘い・・もっとマーキングをタイトに! もっとアタックを激しく! なんていう声が出てしまう・・これでは、攻守にわたって数的優位な状況を作り出すための確信パワーを高揚させられないのも道理・・。

 そして、韓国ペースのゲームがつづいていた前半32分には、見事な「三人目のフリーランニング」にやられてしまうのです。ズバッという仕掛けタテパスと、同時スタートの決定的フリーランニングが重なり合い、そして韓国センターフォワードの足許に正確に合わせられたタテパスが、見事なタイミンクで、フリーランニングをつづける韓国8番の眼前スペースに「置かれた」というわけです。日本選手の一瞬のボールウォッチングが悔やまれる。それは、前半の消極的な中盤フェンス姿勢(受け身の心理)がうっ積したことで、最終勝負の瞬間に脳裏キャンパス明確に描写されなければならなかった勝負イメージを空白にしてしまった結果だとも言えそうです。

 ただそこから、日本の若武者たちが徐々に覚醒していくのです。たしかに前半の残り時間はまだまだったけれど、後半は、ハーフタイムでのモティベーションによって(?!)見違えるほどアクティブなサッカーに変身したというわけです。もちろん、そのバックボーンは中盤でのアクティブディフェンス。まあ韓国が、守備ブロックをしっかりと固めてカウンターを狙うというサッカーになったという側面もあるけれど、私は、どちらかといえば、日本チームの守備の活性化がゲームの流れを大きく逆転させたと思っています。主体的なボール奪取勝負プレーを積み重ねることで、選手たちのディフェンスプレーが有機的に連鎖しはじめた若き日本代表。そして確信レベルが高揚し、その心理・精神パワーを基盤にした積極的な押し上げによって数的に優位な状況を演出できるようになっていったというわけです。

 まあ韓国戦(この準決勝)では、相手にリードされたことで吹っ切れ、自分たち本来の実力を存分に発揮できるまでに心理パワーを高揚させられたということでしょう。だから、ポジティブな成功体感としてイメージタンクに貯蔵することができた。逆に準々決勝のカタール戦では、「0-0」という緊迫したゲーム展開のなかで、最後の最後まで心理パワーを高揚させられず(中盤ディフェンスを活性化させられず!)、必要以上の安全イメージで(要は消極的に)プレーしてしまったことで、どちらかといえばネガティブなイメージの方が強く残った・・。

 まあ、皮肉なモノです。カタールとの準々決勝では、120分をとおしてジリ貧の内容だったにもかかわらず、PK戦となったら、最高の集中力でワールドユース出場権を勝ち取ってしまったのに、韓国との準決勝では、徐々にダイナミズムレベルを高揚させて押し返し、二度も追いつくというギリギリのサクセスストーリーを演出したのに(延長後半ロスタイムでの平山のヘディングシュートは、まさに世界!)、結局そのポジティブな流れをPK戦の結果につなげることができなかったのですからね。

 



[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]