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大熊ジャパンとチャンピオンズリーグ(レアル・マドリー)について、色々なストーリーを探っていました・・(2004年9月30日、木曜日)

大熊ジャパンや高原ハンブルク、はたまたチャンピオンズリーグ等々、このところレポートをアップしたい試合が目白押し。まあ、ハンブルガーSV対ヘルタBSCベルリンのテレビ放送はないからイカンともし難いけれど、順調に準々決勝へ駒を進めた(グループリーグ全勝トップ!)大熊ジャパンとチャンピオンズリーグについては軽くレポートしておこうと、ちょっと時間ができた木曜日に愛用パワーブックをラップに乗せた次第。

 さて大熊ジャパン。実は、ジョホールバルで行われているこの大会は、肉体サッカーを仕掛けてくる相手だけではなく、デコボコのグラウンド状態や低レベルのレフェリー、はたまた厳しい生活条件や気候条件など、どうも、グラウンド上の現象(ストーリー)を文章に投影する作業に対するモティベーションを高揚させられないでいたのです。特にマレーシア戦での相手のファール(日本選手の脚めがけて、足裏をみせてタックルを仕掛けるという蛮行!)は本当に醜かった。即レッドという汚いファールも多々ありました。それでも単なるファールで済ませてしまう体たらく。これじゃサッカーの質が上がらないのも当然だ。本当にアタマにくるのですが、まあそれも現実として受け容れるしかないわけですが、まあ、こちらの創作意欲が地に落ちるのも自然な流れかな・・と。もちろん「それはそれ」として創作テーマにはなるのでしょうがネ・・。

 それにしても大熊監督は、例によってホントに元気。集音マイクを通して、彼が描く健全で積極的な戦術イメージが伝わってきます。なかにはオーバーコーチングなんていう指摘もあるけれど、それで選手たちのプレーが縮こまったりしないのは、やはり彼の優れたパーソナリティーと日常の彼のコーチング内容がポジティブだからでしょう。とにかく、その「大声」を聞いたグラウンド上の選手たちが、「そうだ! それをイメージしなければ・・」なんていうふうに次のプレーイメージを「主体的」に描き、それをチーム内でシェアできることの一助になっているという側面は大きいのですよ。

 チームの全体的なサッカー統一感を高揚させるベンチからの声。もちろん大観衆が見守るなかでのゲームとなったら、細かなプレー指示なんて不可能だから、選手たちへの「伝達手段」を色々と工夫しなければなりません。「それ」が出来るのは限られた状況においてだけというわけです。とにかく、攻守にわたって、その本当の目的(シュートを打つこととボールを奪い返すこと!)をしっかりと意識した積極的な主体サッカーのために「元気を与えつづける」というのが突き詰めた監督のミッション・・という視点では、大熊監督の「大声での指示」は確実にポジティブだと思っている湯浅なのです。

 とにかく、日本と対戦したアジアチームが、あまりにも個の勝負プレーに偏っているから(攻守にわたって組織的な連動性レベルが低すぎる!)、大熊ジャパンが展開する組織プレーと個人勝負プレーがバランスした(バランスさせようとする意識を感じさせる)サッカーは、スマート(インテリジェント)だし勝負強いと感じます。まあそれでも「世界」が相手となったらハナシは違う。そこでは、トラップした後のちょっとしたフェイントとかタメ、パスをする素振りからの勝負ドリブルの仕掛け等々、あくまでも組織プレーをベースにした局面での「個のエスプリのレベル」が勝負を決めてしまうという場合も多いのです。だから、激しく「汚い」ディフェンスをするマレーシア戦で(まあベトナム戦でも・・)、個のチカラで相手の単純なパワーディフェンスをいなせなければ・・なんていうニュアンスになってしまうというわけです。

 とにかく、次の10月3日の準々決勝、対カタール戦が勝負です。そこで彼らがどのような「強さ」を魅せてくれるのか・・。楽しみにしましょう。

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 さてチャンピオンズリーグ。今節では、何といってもローマと対戦したレアル・マドリーが注目です。何せ、崩壊の危機に瀕しているスーパー銀河系グループというスキャンダラスなストーリーですからね。

 崩壊へのベクトルがうごめいている・・といったのは、攻守にわたる彼らの「組織プレーイメージ」に亀裂が入りかけているからに他なりません。それがリンク(連鎖)しなければ、決してサッカーを、レアル絶頂期のような「有機的なプレー連鎖の集合体」というところまで高揚させることはできないのです。

 例えばディフェンス。そこでは、チェイス&チェック、次のパスレシーバーに対するクレバーなマーキング、ボールなしで走る相手に対するマーキング、インターセプトを狙う読みディフェンス等々、いろいろな守備での要素プレーが同時に連動しなければ、全体的な機能性がガタガタになってしまいます。セカンドステージに入ってからのジュビロが、そのワナにはまりかけた?! 一つでも守備での要素プレーにサボリが見えた瞬間に、連鎖レベルが地に落ちてしまう・・。それこそが、サッカーの本当の怖さなのですよ。

 もちろん攻撃でも、人とボールの動きに対する「プレーイメージ」を調整しつづけなければ、確立した連動イメージは本当に簡単に崩壊してしまう。要は、ボールがないところでの選手たちの意識を高めつづけなければ、すぐに「汗かきプレーに対する意志」が減退してしまうということです。だからこそスター軍団のマネージメントは難しいということだけれど、レアルの場合は、中盤守備を支えたスーパーボランチ、マケレレを放出した(チェルシーへ)時点で崩壊がはじまっていたとすることができるかもしれません。銀河系スターの集合体だからこそ、汗かきプレイヤーの価値が高い。レアルは、マケレレをもっと厚遇しなければならなかったのに、結局はチェルシーへ移籍させてしまった。ところでマケレレの移籍劇。それって、先シーズン限りで解雇されたカルロス・ケイロスが再びマンUに戻ったことを考えたら、もしかしたら「マンUの陰謀」だった?!・・なんてネ・・。

 ちょっと前段が長くなってしまった。とにかくレアルが、守備ブロックの「組み合わせ」に四苦八苦していることは確かな事実。もちろんそこでキーになるポジションは、ベッカムの守備的ハーフパートナーです。この試合では、セラーデスが先発ということになりました。ベッカムとセラーデスの守備的ハーフコンビは、数日前のスペインリーグの試合と同じです(2-1で負けたビルバオ戦)。要は、セラーデスを、完璧な中盤守備要員に使うというイメージなのですよ。

 セラーデスは決して上がらず、最終ラインの前で「守備の起点」を演出したり、ロベカルが上がった穴を埋めたりと、中盤の後方でうまく機能しつづけます。要は、チーム戦術として、中盤の後方ゾーンに、攻守にわたっていつもいる汗かき(中継)プレイヤーが設定されたということです。ということで、セラーデスがボールを奪い返した次のステーションになる頻度が高く、彼の周辺でボールを奪い返したチームメイトたちが、頻繁にセラーデスにパスを回すようになります。これは、マケレレにも共通する「現象」。もちろんセラーデスは、そのポイントでボールをこねくり回すことなく、スムーズに展開パスを送り出しつづけるというわけです。そう、マケレレのように・・。だからこそ、中盤の守備がある程度安定するだけではなく、攻撃での展開にも、人とボールの素早く広い動きという「レアル本来のリズム」が再生される雰囲気が出てきたのですよ。

 とはいっても、セラーデスの能力には限界があります。もしそんな「汗かき徹底タスク」を、他の、より高い天賦の才に恵まれた連中がこなせるならば、本物のレアルの復活が見えてくるとは思うのですが・・。

 この試合では、2-2となったところでセラーデスとグティーが交代しました。そしてその後にレアルが「4-2」と勝ち越す。まあ、その逆転劇が、セラーデスとグティーの交代によって演出されたとは言い難いし、4-2となったところでラウールをベンチに下げてストッパーのパヴォンを入れたことからも(エルゲラを守備的ハーフに上げ、グティーを二列目に上げた!)、やはりグティーの中盤の底としての機能性に対する評価は確立していないということでしょう。

 たしかに勝ちはしたけれど、監督交代や新選手の移植など、まだまだ落ち着かないレアルなのです。だからこそ、そのストーリーを追いかける作業は面白い。さて・・

 



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