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2004ヨーロッパ選手権(1)・・開幕ゲームからセンセーショナルな結果になってしまった(ポルトガルvsギリシャ、1-2)・・スペインは実力を発揮した(スペインvsロシア、1-0)・・(2004年6月12日、土曜日)

ドイツ人プロコーチ、オットー・レーハーゲルに率いられ、非常に「堅い」サッカーを展開するギリシャ。そのサッカーを観ていて、「こんなこと」を思っていました・・。

 テクニックに優れたチームを扱う場合、ドイツ人コーチは本当に良い仕事をする・・というか、高質なテクニックが、ドイツ的な戦術ロジックによって、何倍も実効レベルを上げるということかな・・もちろん、「個」に偏りすぎていたプレーイメージがうまくバランスするということ・・そして組織プレーと個人プレーが高質なバランスを魅せるようになる・・「技術系のネーション」がドイツ人コーチによって本物の勝負強さを身につけてしまうという事実・・トルコしかり、ギリシャしかり・・トルコは、80年代から、ドイツ人コーチたちによって大きく進歩し、今度はギリシャが、オットーによって、上手さと勝負強さを兼ねそなえたバランスの取れたチームへと脱皮している・・

 ・・要は、個人プレーが先行していたところに、ドイツ人によって、攻守にわたる組織チームプレーのイメージという「背骨」が形成されたということ・・例えば守備・・メリハリが効いたボールへのチェイス&チェック・・それを守備の起点として次を狙う周りのチームメイトたち・・またボールがないところでのマンマークも忠実だし、ここぞの場面では、必ず何人かの前線選手たちも全力で戻り、ボールがないところでの守備アクションに参加してくる・・スペイン、ウクライナ、北アイルなどといった強豪を相手に予選6連勝無失点というのもうなづける質実剛健サッカーだな・・なんてネ。奥寺も在籍していたブレーメンやカイザースラウテルンなど、ドイツ・ブンデスリーガでの大きな成果を残してギリシャ代表チーム監督に就任したオットー・れーはーゲル。彼の素晴らしい仕事に対して大拍手を送っていた湯浅でした。

 ギリシャは、この試合で完全に有力ダークホース(これからも大物食いが大いに期待できるチーム)になりました。そんな彼らに対して、個人のプレー内容では明らかに凌駕していたポルトガル。それでも、例によって、その個のチカラが前面に押し出され過ぎてしまって・・。彼らのサッカーからは、何か、ブラジルの香りがプンプンと匂ってくるじゃありませんか。まあ監督が、日韓ワールドカップで優勝したブラジルを率いていたルイス・フェリペ・スコラーリということもあるけれど、やはり、個で崩すというポルトガルの味はまったく変わっていなかった・・。

 一人ひとりのボール絡みのプレーが停滞気味だし、詰まってからの足許パスが多すぎる・・とにかくボールがないところでの動きが消極的で、立ち止まってパスを待つというシーンが目立ちすぎる・・またシンプルに前線へ勝負していくという「イメージの流れ」を感じない・・。こんなだから、ギリシャ守備ブロックに先を読まれてうまく対応されてしまうのも道理です。もちろんそこには、オットー・レーハーゲルの緻密なゲーム戦術もあるわけですが、それにしても、ポルトガルは、うまくハメられてしまった。

 そんなポルトガルのサッカーを観ながら、ボールがないとろのダイナミズムを高揚させることができずに仕掛けが停滞する日本代表のイメージが重なってきてしまいましたよ。ポゼッション(ボール保持)イメージが前面に押し出されすぎることで陥ってしまう仕掛けエネルギーの停滞・・ってな具合ですかね。とにかく、この試合のポルトガルは、あまりにも最終勝負への入り方が鈍重でした。ドリブルにしてもパスにしても、もっと早めのタイミングで(要はチャンスを逃さず)仕掛けていかなければ・・もっと選手たちが、パスでの崩しをイメージしなければ、決して相手守備ブロックのウラを突いていけない・・。そんなセオリーを反芻していました。

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 さてA組の二試合目は、スペイン対ロシア。最後は、スペインが競り勝ったとはいえ、全体としては、ロシアの高質な組織プレーも目立ちに目立っていましたよ。とにかく人とボールがよく動く・・それもダイレクトパスを多用するから、それが特徴として際立つというわけです。また彼らの場合は、人とボールの動きに、明確な目標イメージがあるから、そこに、実効ある仕掛けの流れがあると表現できるのです。

 まあ、個人のチカラの単純総計では確実にスペインの方が上だし、「組織プレー」でもいい味を出していましたが、人とボールの動きをベースに攻撃の変化を演出するという視点では、ロシアの方が実効レベルが高かった・・なんていう印象も残るのです。これは、ちょっと考えてみるだけの価値があるテーマですよね。

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 さてこれでA組は、実力あるホストカントリーのポルトガルが、後がなくなったということで大パワーで逆襲してくるでだろうから面白くなった・・。

 このレポートは、いま滞在しているドイツでアップしました。時差ボケで内容がおぼつかないけれど、とにかくヨーロッパ選手権は、最低でもテレビで追いかけなければと頑張って書いた次第。これからは本当にどうなるか分からないけれど、とにかく出来るだけレポートするつもりですので・・




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