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2004ヨーロッパ選手権(11)・・今回のイタリアには、内容でも大いに期待できると思っていたのに・・残念・・(イタリア対ブルガリア、2-1)(スウェーデン対デンマーク、2-2)・・(2004年6月22日、火曜日)

さて次は「C組」の最終日。その対戦ペアは、イタリア(勝ち点2、得失点差0)対ブルガリア(予選落ちは既に決定・・でも、イタリア戦には最高の気合でゲームに臨んでくるという確かな情報が回ってきている・・)、またデンマーク(勝ち点4、得失点差2)対スウェーデン(勝ち点4、得失点5)。

 イタリアはとにかく勝たなければならない。デンマークもまた、勝つつもりでゲームに臨まなければならない。まあ、有利な立場にいるスウェーデンにしても、引き分けでも・・というぬるま湯の意識でゲームに臨んだら確実に足許をすくわれてしまいますけれどネ・・。

 ということで、ものすごく緊迫したグループリーグ最終日になったというわけです。私は、どちらのゲームを観戦しようか・・なんて最後まで迷っていましたよ。そして結局、イタリアの行方を見届けることにした次第。ヴィエリはいないし(理由は知らないけれど後半から登場)、カンナバーロ、ガットゥーゾ、トッティーも出場停止だけれど、スウェーデン戦で魅せた、攻守にわたるハイレベルなサッカー発想に惹かれたというわけです。今回のイタリアは、内容でも大いに期待できる・・。

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 でも結果は、スペインにつづき、実力チームのイタリアもアウトということになってしまった・・。そこでもまた、めくるめく歓喜と奈落の落胆が交錯するギリギリの心理ドラマであるサッカーの面目躍如といったゲームが展開されました。

 奈落の落胆を象徴していたのは、イタリアが決勝ゴールを決めた後のシーンでしたよね。それは後半ロスタイムのこと・・そのときイタリア選手たち全員がベンチへ走り寄ってきた・・次の瞬間、抱き合って喜んでいる選手たちの表情が急に陰り、うなだれてピッチへと戻っていく・・そのとき彼らは、スウェーデン対デンマーク戦が「2-2」になってしまったことを知らされた・・特にパヌッチの落胆した表情が印象的だった・・。

 C組最終節は、とにかく状況がめまぐるしく変わりつづけたわけですが、それを時系列で短くまとめましょう。

 まず立ち上がり、デンマークが先制ゴールを挙げる・・この時点でイタリアチームには、とにかく勝つだけでいいという追い風が吹いた・・でもイタリア対ブルガリアの前半終了間際に、完全なレフェリーのミスでブルガリアにPKが与えられてしまう・・ベルバトフが、マークするマテラッツィーを背中で押したのに、レフェリーは、マテラッツィーがベルバトフを引き倒したと判断してしまった・・まあ、レフェリーのミスジャッジもドラマのうちだから仕方ないとは思っていたのですが、後半にも、ペナルティーエリア内でのカッサーノへの明らかなファールを、何もなかったと流してしまったところを見ると、ちょっとイタリアに厳しいホイッスルだと思わざるを得なくなってしまう・・・・とにかくこれで、逆転しなければならないイタリアは苦しくなった・・

 ・・また後半がはじまったところで、スウェーデンのラーションがGKに引っかけられてPK(シュートも決まる)・・これでデンマーク対スウェーデンが「1-1」の振り出しに戻ってしまう・・後半にイタリアが「1-1」に追いついたとはいえ、状況はイタリアにとってますます厳しいものになっていく・・

 ・・と、ここで、またまた別会場のコメンテーターの雄叫びが聞こえてくる・・「デンマークが勝ち越しゴールを決めた!!」・・これでデンマークが再び「2-1」とリードを奪う・・この時点でイタリアは、一つの逆転ゴールさえ決めれば二位を確保できるというところまでたどりついた・・そんな状況のなかでイタリアの決勝ゴールが決まったけれど、その直前に、スウェーデンも同点ゴールを決めていたというわけ・・ここまで書いたところで、またまたパヌッチの、本当に悲しそうな落胆の表情が目に浮かんできた・・高質なキャパシティーを秘めた今回のイタリア代表に対する期待が大きく膨らんでいたから(だから半分応援のつもりでイタリア対ブルガリアを観ることにした!)、こちらの落胆も大きくなってしまった・・ということでした。

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 それにしても、試合がはじまってすぐに、「ホントだ・・ブルガリアのやる気は本物だ・・」なんて感じさせられてしまって・・。「ブルガリアチームは、自分たちのプライドを懸けて全力で闘い抜くという決意を表明している・・」なんていう記事を目にしていたのですが、まあハナシ半分に考えていましたよ。でもフタを開けてみたら・・。

 とにかく守備の姿勢がダイナミック。一人もサボることなく、チェイス&チェックアクションから次のボール奪取勝負アクションまで、全員のディフェンスイメージが高質に連鎖しつづけるのです。まさに、やる気の証明といったところ。一体そのモティベーションの本当のところは何なのでしょうかネ。

 対するイタリアも、もちろんガンガンと押し上げます。でも、スウェーデン戦で魅せたような、ボールのないところでのクリエイティブな動きを基盤にしたスムーズな組織プレーが出てこない。もちろんそれには、ブルガリア守備がダイナミックでハイレベルという側面もあります。たしかにイタリアがペースを握ってはいるのだけれど、どうも決定的シュートチャンスを演出できないのですよ。

 それでも、後半になってからは、ブルガリアの守備の勢いがちょっと落ちてきたこともあ

って、逆にイタリアの仕掛けのペースがアップし、次々とシュートチャンスを繰り出しはじめました。またヴィエリが登場してからは、まさにフルパワー。でもね・・やっぱり、大量ゴールを奪って勝つなんて無理だと感じていました・・何せイタリアにはそんなサッカー文化はないのだから・・。




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