オランダ戦で素晴らしい闘いを披露したドイツでしたが、それにしても、相手が強く、主体的に仕掛けてきたことで、逆に守備ブロックをしっかりと固め、前から積極的なボール奪取勝負を仕掛けつづけられたというのが実像でした。要は、守備ブロック全体が押し上げ、高い位置でボールを奪って直線的でスピーディーな攻撃を仕掛けるという、ドイツ得意の攻めの流れに持ち込めたということです。でも、ラトビア戦では、守備を固める相手を崩しきれずに引き分け。たしかにチェコ戦では、後半に何度も決定的チャンスを作りつづけたけれど、全体的にはパワーサッカーという印象しか残らなかった・・相手のチェコが、ネドベドもロシツキーもポボルスキーもバロシュもコレルもいないセカンドチームだったからこそ、その印象がより強調されてしまったりして・・。
とにかくDグループでは、チェコとオランダが抜きん出たチカラをもっていたから、彼らが決勝トーナメントに進出したのは順当な結果でした。もちろん私はドイツの勝負強さを最後まで信じてはいましたけれどネ。オランダ戦で魅せた力強いサッカーが、その確信レベルを引き上げてくれたし・・。また、たしかにパワーアタックだったとはいえ、チェコ戦の後半に魅せた効果的な仕掛けには、ドイツ本来の迫力が存分に表現されていました。
とはいっても、やはり総合的な「サッカーの質」という視点では、パワー(ダイナミズム)先行という傾向は否めない事実でしょう。不器用なドイツ。ボールを止め、しっかりと蹴ることができれば、もちろんそこそこ堅実なサッカーにはなるけれど、組織プレーと個人勝負プレーのバランスレベルがどんどんと高揚している現代サッカーでは、やはり「個の能力の底上げによるプラスアルファー」が求められるということです。組織パスプレーにしても、個のチカラを上げないことには相手守備が描くイメージのウラを突いていけない・・組織パスプレーと個人勝負プレーがうまくバランスしなければ、攻撃の変化を演出できない・・等々。
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チェコとドイツのチーム戦術的な見所など、いろいろとメモはしていたのですが、それをまとめ直すだけのエネルギーがなくなってしまいました。面目ない・・。
それにしても、2年後に迫った自国開催のW杯にとっては、本当に不安要素ばかりが目立つという結果になってしまいました。個のテクニックレベルが底上げしているとはいっても、まだまだ組織ダイナミズム(ドイツでは≒チーム戦術)が強調され過ぎているというドイツの現状からすれば、個のチカラを発展させるプロセスに、革新的な工夫と、自分の職業アイデンティティーとの闘いとも表現できる忍耐が必要なのです。もちろん、社会的、組織的な体質の改善という意味も含めてネ・・。やはり創造性は、自由な環境を「先行」させなければ発展しないのですよ。だからこそ工夫と忍耐が必要・・というわけです。
とにかくここからのユーロでは、フランスやイングランド、チェコやオランダの高質サッカーを楽しむことにします。