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2004ヨーロッパ選手権(17)準決勝・・すごいドラマだね・・またまたサッカー的な歴史がくり返された・・(チェコ対ギリシャ、0-1)・・(2004年7月1日、木曜日)

あ〜あ、ゲームが落ち着いてしまった・・これはもう完全にギリシャペース(彼らのゲーム戦術に乗ってしまった展開)だな・・実際、ディフェンスでの確信レベルを高揚させたギリシャが、人数をかけて攻め上がりチャンスを作り出すというシーンも増えてきている・・チーム総合力じゃ、確実にチェコに軍配が上がるけれど・・ギリシャは、以前の「欲望プレー」一辺倒から、徹底ディフェンスなど、戦術的なタスクも完璧にこなせる「チーム」に発展した・・彼らには、今大会での「戦術大賞」を授与しなければ・・オットー・レーハーゲル監督に大拍手・・もちろんサッカーの質という意味では、組織プレーと個人勝負プレーが高みでバランスしているチェコが数段高い進歩的タクティックを魅せているけれど・・世界サッカーの潮流を見た場合、やはり理想と現実のギャップは、これからも埋まっていかないのかもしれない・・まあ、だからこそ、偶然と必然が交錯するというギリギリのドラマが成立するわけだけれど・・。

 試合を観ながら、例によって、そんなことを考えていました。今日は、所用のため、この後すぐに出掛けなければなりません。ということで、とにかく素早くまとめておこうと、試合中からレポートを書いている次第。あっと・・この「所用」が、今回のヨーロッパ選手権を現地レポートできなかった背景にありました。本当に残念だけれど、まあ仕方ない。

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 立ち上がりにチェコが魅せた積極的なサッカー内容からは、「ヤツらは、デンマークとの準々決勝(もちろん前半のサッカー内容)を通し、サッカーが本物の心理ゲームだということを、ものすごい刺激とともに再認識させられた!」なんて思ったものです。

 人数をかけて守備ブロックを固め、メリハリの効いた早めの「ブレイク」をベースに、確実なマンマークと協力プレスをつづけるギリシャ守備陣・・チェコは、そんな相手のゲーム戦術に対し、しっかりとイメージトレーニングを積んできているようだ・・後方からの押し上げとバックアップがしっかりと機能している・・ゲーム立ち上がりに飛び出したロシツキーの中距離シュート(バー直撃!)や、バロシュが持ち込んだ決定的シュートが、とにかくなるべく早く先制ゴールを奪うぞ!というチェコの意志を象徴していた・・先制ゴールさえ奪えれば、ギリシャ守備陣も「開いて」くるだろう・・それにしてもギリシャの守備意識はレベルを超えている・・頻度は高くないけれど、人数をかけて攻め上がった後でも、とにかく全体的な守備への戻りが早い、早い・・そして例によっての徹底ディフェンスを展開する・・その意識の高さと豊富な運動量は、称賛に値する・・選手一人ひとりが、明確なプレーイメージをもっている・・だからこそ守備が抜群の機能性を魅せる・・互いに使い、使われるというメカニズムに対する深い理解・・それをベースに、選手一人ひとりが徹底的に「仕事を探し」つづける・・またまたオットーに大拍手・・。

 その後もチェコがチャンスを作りつづける・・前半でのヤンクロフスキーのシュートチャンスは決定的だった・・それは、ロシツキーが通したラストクロスをネドベドがシュートしようしたが、相手と交錯してボールが後方にこぼれ、それを、後方から上がっていたヤンクロフスキーが決定的シュートを放ったというチャンス・・でもツキがない・・またこのプレーで、ネドベドが負傷退場してしまう・・代わりに入ってきたのがシュミチェル・・チェコのは組織プレーが基調だとはいっても、やはりネドベドの「個のエスプリプレー」は貴重な戦力だったから、彼の負傷退場は本当に痛い・・後半もまたチェコがペースを握りつづける・・ネドベドのタスクを受け持ったロシツキーが絡んでギリシャ守備ブロックを振り回し、最後はコレルがシュートを放ったという決定的チャンス(試合全体を通じたベストチャンス!)・・一発タテパスを受けたバロシュが持ち込んで放った決定的シュート・・それに対しギリシャも、セットプレーなどから何度かカタチを作りだした(ヘディングシュート)・・ゲームは、まさにギリギリの死闘という展開になっていく・・。

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 たしかにギリシャの粘りディフェンスは感動モノだけれど、やはりチェコは強い。あれだけの才能をもった連中が、全力の汗かきディフェンスはできるし、ボールなしの動きは出来るし、シンプルなパスを回せるし、勇気をもった個人ドリブル勝負にも入っていけるし・・。フットボールネーションのクラブが彼らに大きな興味を示すのも当然だな。

 やはり、東欧という特殊な社会文化を背景にしているからこそのサッカーエリートたちだ・・なんてことを思っていましたよ。抑圧されていたからこその、コトの本質を見極められるチカラ・・それこそが、組織シンプルプレー・汗かきプレー・リスクチャレンジという自己主張プレー等々、選手たちが、そんな多面性を備えられた背景にある・・なんてことを考えていたという次第。それは、私のドイツ留学時代に培った、体感ベースの感覚的理解です。当時から、東欧やソビエトから亡命してきた連中との深いつきあいがあったのですよ。まあこのことについても、機会を改めて・・。

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 ここからは延長戦。いきなり、2-3本つづけてギリシャがビッグチャンスをつかみます。まさに、我慢に我慢を重ねた「ストック(貯蓄)エネルギー」の爆発ってな具合です。逆にチェコ守備陣は、ちょっと集中を切らしていたということです。まあ展開からすれば、そんなイージーなプレー姿勢になるのも自然な流れです。だからこそ、ギリシャの「試合の流れも含めたゲーム戦術」が素晴らしいということなのです。選手たちに、ゲームの全体的な流れも含めて、しっかりと「イメージ移植」できている・・。オットー・レーハーゲルに、またまた拍手。

 その後は、またまたチェコがペースを握りはじめるけれど、ツキも含めて、ちょっとどうなるか分からない・・そんなギリギリの勝負なのに、私が出掛けなければならない時間が迫ってくる・・そんなことを思っていた瞬間、ギリシャが、セットプレー(フリーキック)から、ディフェンダーのデラスが、まさに決定的というヘディングシュートを放つ(チェコGKの正面に飛んだから事なきを得た)・・フ〜〜。

 とにかくできる限りレポートし、残りは、帰宅してからということにしよう・・なんて思った次の瞬間、やつてくれました、オットーの子供達・・。コーナーキックから、デラスがヘディング一発。ニアポストに飛んだボールに飛びついたデラス・・。まさに劇的、劇的なヘディング決勝ゴール!!! 歴史に残るドラマ・・。我慢に我慢を重ねた「ストック(貯蓄)エネルギー」の爆発!! あれだけチャンスを作り出しながら決められなかったチェコ・・。

 さて、出掛けます。とにかく、今大会での様々な現象は、深く考察するに十分なコンテンツを含んでいます。乱筆、乱文、誤字、脱字などなど、ご容赦アレ。

 



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