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サッカー三昧の日曜日・・2006W杯ヨーロッパ&南米予選・・(2004年10月10日、日曜日)

あららっ、台風でナビスコカップ準決勝が延期になってしまった・・オマーンへは月曜日(10月11日)の夜に出発だから、もしかしたらグランパス対レッズ戦については、観戦してレポートできるかもしれないけれど・・。とにかく気を取り直して、2006W杯ヨーロッパ&南米予選の注目マッチを観戦することにしました。チェコ対ルーマニア、そして南米のアルゼンチンとブラジルのゲーム。

 まず、チェコの試合からインプレッションを短くまとめましょう。何せいまのチェコは、まさに世界最高のハイクオリティーサッカーを展開していますからネ。高い守備意識をベースにした縦横のポジションチェンジ(攻撃ダイナミズムのクリエイティブな高揚!)・・人とボールがよく動くサッカー・・組織プレーと個人勝負プレーの高質なバランス・・等々。ヨーロッパでは、世代交代期で苦しみつづけているオランダとフランスに代わるところまで存在感を高めてきています。

 とはいっても、やはり「個の才能レベル」ではフランスやオランダとは比較にならないことも事実です。ネドビェドにしても(まだチーム離脱中)、ロシツキーにしても、はたまた進境著しいバロシュにしても・・。ということで、彼らについては、世界最高峰のハイクオリティーイメージ(最高のプレーイメージの有機連鎖!)を誇るチェコという表現にとどめおきましょう。要は、彼らが呈示するサッカーイメージをブラジルが体現したら(体現できたら)、まさに歴史に残るスーパーチームになるということです。ユース時代から彼らを指導し、サッカーの組織メカニズムをベースにプレーイメージを発展させつづけてきた現チェコ代表監督ブリュックナーさんのウデの確かさが如実に見えてくる・・。そんなことを考えながら、サッカーでは、一人のコーチ(リーダー)のウデが、ものすごく大きいという普遍的なテーマにも思いを馳せていた湯浅でした。

 前回レポートしたW杯予選のオランダ戦でも(そのレポートはこちら!)、数字的に負けたとはいえ、内容では完全にオランダを凌駕していたチェコ。ただ、このルーマニアとのホームゲームでは苦戦を強いられました(それでも結果は、1-0でチェコの勝利!)。それには、ルーマニアが良いチームに仕上がりつつあるという背景もあるけれど、どうもチェコの「前後のダイナミズム」が減退気味だとも感じるのです。もちろんそれは、今年ポルトガルで行われたヨーロッパ選手権でのオランダ戦で魅せたスーパーパフォーマンスに比べたらのハナシですけれどネ(その試合レポートはこちら!)。

 この試合では、バロシュのドリブル勝負が目立っていました。逆な見方をすれば、単独ドリブル勝負が目立つということは、組織での仕掛けがうまく機能していないことの証でもあるし・・。難しいですよネ、個のチカラがある選手に、組織プレーと単独勝負プレー(ドリブル等)のバランス感覚を発展させ、それをチームメイトたちとシェアさせる作業は・・。特にいまのバロシュは、上り調子ということで、今の彼のプレー感覚では、確実に組織よりも個が優先しているし・・。もちろん、そのうちに、ネドビェドやロシツキーのように、組織と個のバランスが高みで安定してくるとは思うけれど。あっと・・ネドビェドの不在。痛いネ。やはり彼は、チェコ代表にとっても欠かせない存在ですよ。でも、前回のW杯予選でのオランダ戦でもこの試合でも、彼が抜けた状態でも、そこそこの「組織的なウラ突き」が機能していたことは確か。その事実からも、チェコのサッカーが、個のチカラではなく「組織プレーイメージ」に支えられていることがよく分かるというものです。だからこそ、ユース時代から選手たちのイメージを発展させたブリュックナーさんの確かなウデに拍手をおくっている湯浅なのです。

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 さて、組織と個のバランスという視点では、確実に世界トップに君臨するアルゼンチン。今節のW杯南米予選の相手はウルグアイ。アルゼンチンのホームゲームです。

 ところで先日、アルゼンチン代表に大きな変化が訪れました。ビエルサ監督が辞任し、ペケルマンさんが新しい代表監督に就任したのです。イメージとしては、ペケルマンさんは、チェコのブリュックナーさんに通じる背景を持っています。アルゼンチンにおける、ユースレベル育成の環境を整備した人・・。過去には、アルゼンチンのユース代表チーム監督として三度も世界チャンピオンに輝いた実席があります。

 この試合では、ドイツ・ブンデスリーガに置いて「組織感覚」を磨きつづけるダレッサンドロ、このところ天賦の才を発展させつづけているテベス、必殺仕事人キリ・ゴンザレスなどが出場停止ということですが、そのことで、アルゼンチン持ち前の美しい組織プレーの流れが減退することはありませんでした。前半立ち上がりの5分、アルゼンチンが絵のように美しい先制ゴールをたたき込みます。まさに甘美なコンビネーション。

 後方からのタテパスを受けたフィゲロア・・すぐに中央ゾーンにいるサビオラへ「タメの横パス」を出す・・そのパスが出されたのと同時に、後方から、左サイドのソリンが、タテのスペースへ全力で飛び出していく・・そこへ、サビオラからスルーパスが通されたことは言うまでもないけれど、このシーンでのソリンの全力ダッシュこそが、アルゼンチンの強さを象徴していた・・そして最後は、フリーでスルーパスを受けたソリンが、余裕をもって、逆サイドをまったくフリーで上がってきたルイス・ゴンザレスへのラスト横パスを通したという次第。このシーンに絡んだ選手は、最初のタテパスを出した選手も含めれば、全部で五人。ホント、ため息モノのスーパーコンビネーションでした。逆にこのシーンでは、対戦相手のウルグアイ守備ブロックのクオリティーの低さが如実に証明されてしまった・・。とにかくボールがないところでの守備イメージが確立していない守備ブロックでは、このようなハイレベルなサッカーを展開するアルゼンチン相手では如何ともし難い・・。守備イメージのクオリティーこそがチームの全ての基盤なのですよ。

 ということで、その後も、高い守備意識をベースに、人とボールがよく動き、勝負所では「個の才能を光り輝かせる」アルゼンチンの高質な攻めに翻弄されつづけるウルグアイという構図がつづいたというわけです。そして終わってみれば4-2でアルゼンチンの圧勝。まあ4-0にしてからの守備ブロックの気抜けプレーと二失点はいただけなかったけれどネ。

 ペケルマンさんは、ドイツでも有名な人です。私は話したことはありませんが、ドイツの友人たちも、彼のことを非常に高く評価しているのです。だから彼が「成功裏にフル代表デビュー」を果たすことができて非常にハッピーな湯浅なのです。

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 さて最後はブラジル(ベネズエラ対ブラジル)。この試合でも、ブラジルが「持ち味の強さ」を発揮してベネズエラを圧倒しました。先制ゴールは、アルゼンチンと同じく前半の5分。ただし内容は、アルゼンチンのそれとは対極のモノでした。それは、ワンツーという瞬間的な局面コンビから、カカーが個のチカラで挙げたゴール。個の饗宴ゴール・・。それにしても、攻守にわたって、やっぱり「局面」でのブラジルは素晴らしい。

 ブラジルの局面が多いのは、もちろん個のチカラのレベルが相手を圧倒しているからに他なりません。ボール奪取勝負にしても、やはり強い・・ボールを持っても、上手く、強く、安定している・・。とにかく、足許パスを基調にした安定したボールキープ(高いポゼッション)から、瞬間的なテンポアップで、個のチカラを最大限に活用しながら最終勝負を仕掛けていくという伝統的な勝負イメージを踏襲するブラジル代表なのです。もちろん個のチカラがレベルを超えているからこそ「瞬間的なテンポアップ」という仕掛けを演出できるということです。基本的なチカラが十分でない者が「それ」を真似しようモノなら、手痛いしっぺ返しを食らうのがオチ。でもネ・・逆に、そんな圧倒的な「個の祭典」のなかに、組織の可能性が埋没してしまっているブラジル・・という見方もできるのですよ。「レベルを超えた個のチカラ」っちゅう両刃の剣というわけです。いつも書いていることですが・・。

 ブラジルの攻撃では、何度も、こんなシーンを目撃しました。ドイツ組織サッカーのイメージも併せもつ左サイドの仕事人ゼ・ロベルト(バイエルン・ミュンヘン所属)が、左サイドでボールを持ち、素早く中央ゾーンのロナウドにパスを出して全力ダッシュでタテのスペースへ走り抜けます。シンプルなタイミングのリターンパスさえ返ってきたら完璧なシュートチャンス・・。でも結局ロナウドは、3人のベネズエラ選手を相手に自分がシュートまで行こうとドリブル勝負して潰されてしまうのですよ。フ〜〜ッ!とため息をつくゼ・ロベルトの表情が目に浮かぶ。

 そんな「個の勝負を前面に押し出す傾向」は、もちろんロナウジーニョも同じ。この試合では、ロナウドとロナウジーニョのツートップ。その後方の両サイドで攻守に動きまわるカカーとゼ・ロベルトが、そんな最前線の「個に偏りすぎたイメージ」を調整しなければならないのだろうけれど、ボールのないところで勝負のフリーランニングを仕掛けても、その多くが「無為なムダ走り」に終わってしまうのだから・・。

 私は、「クリエイティブなムダ走り」というコンセプトワードを開発しました。とはいってもそれは、「次の発展につながるチームイメージの活性化」という希望や期待があればこそ成り立つ「発想」なんですよ。ということで、チームコンセプトとして個のチカラを前面に押し出すブラジルの場合は、それを機能させるのは(それをつづけさせるのは)難しいよね。もちろん、攻守にわたって「個のチカラ」で局面勝負に勝てるのだから、ブラジルが今の「魅力的なサッカー」を変える必要はないし、それこそが、世界サッカー地図における「ブラジル・ブランド」を支えているというわけです。フムフム・・

 とはいってもネ、個の能力の高さがチームコンセプトの基盤になっているブラジルの場合、チームの総合力が「個の調子」に大きく左右されてしまうという事実(不利なポイント)も無視できないほど大きいのも確かなこと。要は、ロナウドやロナウジーニョといった天才たちの気分が乗らなかったり、調子を崩している場合、確実に彼らが(チームメイトたちに浸透している彼らの絶頂期のプレーイメージそのものが)チーム総合パフォーマンスの足を引っ張ってしまうということです。それに対し、攻守にわたる組織プレーイメージこそがチームコンセプトとして存在感を発揮しているチェコやアルゼンチンの場合は、その時点で主力と見なされている選手がいなくても、そこそこのチームパフォーマンスを発揮できる・・。

 それにしてもブラジルは強いネ。人とボールをしっかりと動かさなくても、足許プレーを積み重ねることで、そして急激な勝負のテンポアップでセンターゾーンを突破していけるブラジル。もちろん「ここぞのフリーランニング」もありますよ。でもそれは、ココゾ!という、自分が主役になれるケースがほとんど。味方にスペースを作ったり(相手を引き出したり)、ボール展開の一つのステーションになるため・・等々の、チームワーク・フリーランニングは、そんなに多くはない。要は、常に私は、「傾向値」としてチーム戦術コンテンツを評価しているのということです。それにしてもブラジルのサッカーは魅力満載だよネ。フ〜〜ッ!

 



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