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チャンピオンズリーグ・・ユーヴェントスとマドリー・・またまた色々な「ストーリー」がありました・・(2004年10月20日、水曜日)

まずユーヴェントス対バイエルン。互いにディフェンスが強い、堅い。とにかく両チームともに、まったくといっていいほどフリーでボールを持つ選手を演出できないのですよ。いつも書いているように、攻撃の目的はシュートを打つこと。そのための当面の目標イメージが、ある程度フリーでボールを持つことです。要は、ボールとともにスペースに入り込むっちゅうことですが、自らのドリブルで入り込んでもいいし、そこへ入り込んでパスを受けてもいい。それが、最終勝負の仕掛けにおける明確な起点(最終勝負フローのスタートサイン!)になるというわけです。

 そんな起点の演出が、両チームともにままならない。最終ラインをしっかりとコントロールしながら中盤スペースを「コンパクト」に保ち、そしてチェイス&チェックや協力プレス、カバーリングやボールなしの忠実マークなどの守備プレーをダイナミックに連鎖させつづける両チームなのです。

 シュートシーンが少ないから、退屈なゲームだとも言えるけれど、私は、両チームが展開する、守備での有機的なプレー連鎖をとことん楽しんでいました。そして、こんなことを考えていました。「たしかにバイエルンが僅かに押し気味の展開だけれど、それこそユーヴェントス得意のゲーム展開だ・・バイエルンは、人数をかけて組織的に攻め上がる・・それはそれで高質だし、次の守備での人数バランスとポジショニングバランスにしても、豊富な運動量と素早い攻守の切り換えによってしっかりと維持されている・・それでも、時間が経ち、選手たちの集中力レベルが減退しはじめたらどうなるか分からない・・いつかは、一瞬のスキを突いたイタリアのツボ攻撃が炸裂しちゃうんじゃないか・・」。

 とにかくイタリア選手たちは本当に我慢強い・・いや、それは、プレーにおけるイメージ環境というところまで深く浸透しているだろうから、ユーヴェ選手たちにとっては我慢なんていうシロモノじゃないのかもしれない・・要するに伝統的なプレー発想ということか・・。我慢強く、我慢強く、強力なディフェンスブロックを維持するユーヴェ。その、一人の例外もなく全力で取り組む汗かき守備プレーは見事の一言です。そして、我慢ベースで一瞬のスキを狙いつづける・・。

 最終ラインでボールを持ったテュラムが、一度、二度とボールを押し出しながら視線を最前線へはしらせる・・そして次の瞬間、まさにピンポイントという50メートルを超えるロングタテパスが、イブラヒモビッチのアタマ目がけて美しい糸を引いていく・・その横では、ボールがまだ空中にある段階で、ネドビェドがタテのスペースへ軽くスタートを切っている・・マークするリンケは、後方にもユーヴェ選手がいるということで、マーキングポジションをまだ「ぼかし」気味・・そして最後の瞬間、ネドビェドが爆発し、そのダッシュの先のスペースへ、イブラヒモビッチのヘディングバスが正確に飛んだ・・という決勝ゴールでした。ネドビェドが魅せた、トラップしてからシュートするまでの素早いモーション。素晴らしい・・。

 このゲームは、私の目には、まさに「イタリアのツボ」が炸裂したというゲーム内容でした。とはいっても、バイエルンも調子を上げています。どのように調子を上げているのかについては、スポナビの連載コラムを参照してください。

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 次は、ジダン、フィーゴ、そしてグティーを「トリプルハーフ」とし、その前の二列目としてラウール、そしてツートップにオーウェンとロナウドを据えるという布陣でディナモ・キエフ戦に臨んだレアル・マドリー。いや・・ホント・・目を疑いましたよ。何せ、ボールがないところで「穴埋め」をできる選手が、レアルの中盤に一人もいないんですからネ。

 実際、ラウール、ジダン、フィーゴが攻撃的ミッドフィールドで、守備的ハーフはグティーだけということになってしまうシーンのオンパレードでした。そして、組織プレーのオニたち(もちろんキエフ選手たちのことですよ)に、どんどんスペースを突かれてしまう。特に、最終ラインの前のスペースコントロールは、もう崩壊状態でした。また、二列目から走り上がっていくディナモ選手をマークしつづけるレアル選手もいないし、ちょっとタテにボールを動かされたら足を止めてしまうレアル中盤だから、キエフ選手たちは、ある意味「やりたい放題」という攻撃をみせていました。まあそれでも、実際のゴールを奪えなかったのは、いまのキエフの実力ということでしょう。

 対するレアルの攻撃。たしかに部分的にはファンタジーを感じるけれど、全体としては、まあ「彼らにしては」という但し書きはつくけれど、まさに倦怠感にあふれる仕掛けといってた体たらくです。人もボールもうまく動かない・・動いても、足許をつなぐ横パスばかり・・以前のような縦方向にも回される変化あるパスは希・・そして最後は、詰まった状況で「エイヤッ!」の個人勝負を仕掛けていく・・。それでも、何度もゴールチャンスを作り出すのだから、やはりヤツらの才能レベルは尋常ではありません。だからこそ、何かウラ寂しい思いにかられてしまうというわけだけれど・・。

 でも、前半30分にフィーゴがケガを負い、逆にケガから復帰したラーリと交代してから、ゲーム内容が少しだけ好転します。以前に何度か「いま守備的ハーフを十分にこなせるとしたらソラーリしかいない・・」なんて書いたのですが、その次の瞬間にはケガで戦列を離れてしまったものです。だからソラーリがグランウドに登場したときは、限りなく期待が膨らみつづけました。そして期待に違わない、攻守にわたる実効プレーを披露するソラーリ。それは、この試合唯一のゴールをソラーリが演出したからじゃありません(ソラーリの爆発的なドリブルをキッカケに、最後は右サイドで抜け出したロナウドのグラウンダークロスをオーウェンが押し込んだ!)。彼のプレーからは、組織プレーの本格感が強烈に放散されつづけていたのです。

 ダイナミックで忠実なチェイス&チェック・・相手との競り合いで振り切られても、諦めずに追いかけつづける・・ボールのないところで走り込む相手選手を最後までマークする・・グティーやジダンのいい加減なディフェンスをしっかりとカバーする・・等々、とにかく彼が登場してから、レアル中盤に、以前のテイストが「少し」よみがえったように感じたものです。

 でも、いくら彼だけが頑張っても、周りがアレじゃね・・。例えばグティー。何度も、何度も、一度マークしていた相手を「行かせて」しまう(自分は様子見で立ち止まってしまう!)・・そしてそのフリーの相手にボールがわたり決定的ピンチに陥ってしまう・・。それはジダンも同じ。相手の仕掛けフローがスタートしたら、最初の時点でマークしていた相手は、ある程度はマークしつづけるというのが大原則なのに、グティーにしても、ジダンにしても、仕掛けのパスが回されているプロセスで、どうしても様子見になって足を止めてしまうんですよ。これじゃ、いても、いなくても同じ。逆に守備ブロックにとっては、邪魔なだけの存在ですよ。だからこそ、いくらソラーリだけが頑張っても・・という表現になってしまうというわけです。

 それにしてもレアルは、あれほどの大ピンチを何度も迎えながら本当によく勝ち切った。もちろん何度かあったカウンターチャンスを決めていれば、もっと楽に勝てたのだろうけれど・・。とにかくヤツらは、ディナモ・キエフの決定力のなさに救われたということです。フ〜〜ッ・・。

 あっと、レーバークーゼン対ローマがはじまった。このゲームも、内容があれば(ストーリーを発見できたら・・創作意欲がかき立てられたら)レポートするかもしれません。では・・。

 



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