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チャンピオンズリーグ・・やはり、優れた守備コンテンツこそがチーム力の源泉だ・・(レアル・マドリー対レーバークーゼン、1-1)(2004年11月24日、水曜日)

アララッ、クルジノベクをマークしていたはずのジダンがボールウォッチャーになっちゃった・・アララッ、ベッカムが走り抜けたボローニンをマークし切れずに行かせてしまった・・アララッ・・。

 最初の「アララッ」では、シュートのこぼれ球をクルジノベクがフリーシュートし(ちょっとチカラが入り過ぎてゴールを外れた・・レアルにとってはラッキーな命拾い)、次の「アララッ」では、レーバークーゼンのベルバトフに先制ゴールをたたき込まれてしまって・・。

 そんなシーンを観ながら・・先日のクラシコ(バルセロナ対レアル・マドリー)もそうだったけれど、やはり相手が、組織プレーと個人勝負プレーが高質にバランスした強いチームだったら、確実にレアルの守備的ミッドフィールドコンビのプレーコンテンツが「中盤ディフェンスの穴」として目立ってしまう・・なんてことを思っていました。もちろんグティーとベッカムによる守備的ハーフコンビのことですよ。

 たしかにボール奪取の競り合いでは強いところも魅せるけれど、でもそれって、守備タスク(役割)のほんの一部ですからネ。守備的ハーフが担う実効タスクの本質は、目立たないボールがないところでのディフェンスにあり。「そこ」をしっかりと抑制しコントロールできているかどうかということが(目立たないところでの守備の起点が演出できているかどうかというポイントが)守備ブロックにとって決定的に重要な意味を持つということです。もちろん相手のチカラが十分ではなく、レアル守備ブロックのウイークポイントである「最終ラインの前ゾーン」をうまく使えず、自分たちのミスでボールを奪われるプレーがつづくようだったら、その穴は目立たず、逆に、ベッカムとグティーが繰り出す「攻めの魔法」の方が目立ちに目立つというわけです。でも相手が繰り出す組織的な攻撃プレーのレベルが上がり、人(パスレシーバー)のアクティブな動きをベースにしっかりとボールを動かされはじめたら、さあ大変・・。

 そんな中盤ディフェンスの不安定さは、もちろん攻め全般での心理的なスタビリティーにネガティブな影響を与えます。要は、攻めが、常に後ろ髪を引かれてしまうということです。何せ、次のディフェンスが心配で心配で仕方ないのですからネ。特にベッカムやグティーが前線に上がってきたときのジダンやフィーゴ、ラウール等のプレーが目立って縮こまってしまうと感じたモノです。

 人とボールをダイナミックに動かしつづける魅惑的な組織コンビネーションを積み重ねていくなかに、華麗なトラップからのボールコントロールやドリブル突破など、まさに銀河系レベルというエスプリが効いた個人プレーをミックスするというレアルのサッカー。とはいっても、それも、ボールがないところでの吹っ切れた心理的ダイナミズムがベースになるのです。でも守備に不安があったら・・。

 やはり守備の実質コンテンツこそがチーム力の源泉だということです。素晴らしい才能を最大限に発揮させるための絶対的なベースは、安定した守備(ハイレベルの主体的守備意識)であり、(特にボールがないところでの)組織プレーに対する覚醒したイメージ連鎖とアクション連鎖なのですよ。

 ちょっと難しい表現が重なってしまいました。スミマセン。このグループ(勝ち点10のディナモ・キエフ、勝ち点8のレーバークーゼン、勝ち点8のレアル・マドリー、そして勝ち点1のローマ)の最終戦は、レーバークーゼン対ディナモ・キエフと、ローマ対レアル。とにかく私も、あれだけのクリエイティブサッカーマンが集まった(いまこの時点での)レアル・マドリーだから、何とか生き残って欲しいとは思ってはいるのですが・・。個のチカラはちょっと落ちるけれど、ソラーリなんかは貴重な「汗かき」になれるに違いないと思います。とにかく今のレアル中盤に必要なのは、ちょっと下手なファイタータイプなのです。

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 ブンデスリーガと高原直泰については、本日アップされたスポナビ連載コラム(湯浅健二の質実剛健ブンデスリーガ)を参照してください。さて明朝は、ブレーメン対インテル。お互い、とことんサッカーを楽しみまょう。

 



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