私は、そんな情報を仕入れながら、色々な人たちと会談&情報交換をしたり、ゲームを観たり、プロのトレーニングを観察したり、はたまたビジネスミーティングをこなしたり等々、とにかく動きまわっています。これまでにスタジアムで観戦したゲームは、シャルケ04対ヴェルダー・ブレーメン(0-0)、ボルシア・ドルトムント対1FCケルン(1-0)といったところ。今は北ドイツにいるのですが、これから友人のサッカーマンたちと、チャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリーをテレビ観戦するところです。
シャルケ対ブレーメンですが、たしかにホームのシャルケが押し気味といった全体的なゲーム展開でしたが、ゴールへのプロセス(最終的な仕掛けコンテンツ)ではブレーメンの方が一枚も二枚も上手。ということで、表面的な展開とは違い、実質的な流れはブレーメンにありといったところでした。要は、ここが勝負というシーンでのボールの動きと選手の動きが見事にシンクロするのですよ。ダントツでトップを走るブレーメンの真価を見せつけられた思いがしたものです。素早いダイレクトパスを織り交ぜた素晴らしいコンビネーション。そこでは、アイウトンのベストタイミングスタートが目立ちに目立っています(それこそイメージシンクロ!)。
忠実でダイナミックな守備ブロック(素晴らしい全員の守備意識!)をベースに、スムーズなコンビネーションやタイミングのよい個人勝負をバランスよく織り交ぜながら、素早く、直線的にシュートチャンスを演出する・・。長丁場のリーグ戦ですからネ。トップに君臨するためには、それなりの根拠があるということです。
一緒に観ていたシャルケファンの連中も、「ブレーメンはチームとしてまとまっているよな・・とにかくハーモニーが素晴らしい・・」など褒めること・・。シャルケのファンが、対戦相手の強さを、それもゲーム中に褒めるのですからね。今シーズンのブレーメンが、どれほどスゴイ存在感を示しているか、推して知るべしってなところなのですよ。
またドルトムント対ケルンは、もう完全に「カーニバルのノリ」でした(ちょうどいま、ケルンを中心にしたライン川沿いの町の多くで、世界でも有名なドイツ・カーニバルが催されている!!)。ケルンからも、「万」をはるえに超える仮装したサポーターたちが詰めかけていました。ドイツでもっとも美しいスタジアムといわれるサッカー専用競技場、ドルトムント・ヴェストファーレン・シュタディオンですからね、80000人の歓声に包み込まれたスタジアムの雰囲気は一度は経験しておく価値があります。もちろん私は、もう何度もこのスタジアムで観戦しているわけですが、そこには常に新しい感動があります。ホントに、すごいですよ。
試合は、ホームのドルトムントが押し気味にゲームを牛耳るなかで、エヴェルトンが先制ゴールをぶち込むという流れになります(ドイツ代表フリングスのFKから、コレルのアタマを経由してフリーのエヴェルトンへ!)。
ここまで二連勝と調子を上げている実力チームのドルトムントと、この時点で最下位のケルンとの対戦ですからネ。まあ、両チームの総合力の差が如実にグラウンド上に反映した試合内容ということです。そんな展開ですからね、誰もが「このままドルトムントが押し切るだろう」と思ったに違いない・・。
私は、1981年までの6年間という留学時代をケルンで過ごしました。だから、私にとって1.FCケルンはまだまだ「マイチーム」なのですよ。ということで、押されていた前半は、記者席から気合を飛ばしまくっていましたよ。「何やっているんだ・・ビビるな・・もっとリスクにチャレンジしろ・・もっと必死に中盤ディフェンスに就け・・」なんてネ。そこには、ケルンが最下位という背景もあります。ドルトムントに負けたら、それこそ降格リーグをダントツトップで走ることになってしまう・・。
そんな現実だけではなく、スタンドに詰めかけたケルンサポーターからぶつけられるスピリチュアルエネルギーが選手達を相乗的に鼓舞した?! 後半のケルンは、まさに別人のようなアクティブサッカーを展開するのです。逆にいえば、前半の彼らは、ドルトムントという名前に圧されまくっていたとも言えるかも。でも一点ビハインドという状況ですからね。彼らが、失うモノは何もないという吹っ切れたサッカーを展開するのも当然の流れなのですよ。ここからは、ガンガンとリスクにチャレンジしながらドルト県とを押し込んでいくケルンのサッカー内容と、その勢いを「確実に」受け止めることで次の必死津カウンターにつなげるという「ドルトムントのゲームイメージ」が見所。そして本当にエキサイティングなゲーム展開になっていきます。
押され過ぎでは問題が生じてしまうと、押し返すドルトムント(自分たちの意志でそれができることが実力チームの証!)・・そしてゲームがダイナミックに均衡する流れから、沈滞する拮抗状態になっていく・・それではダメだと何人かのリーダーたちが仲間を鼓舞し、再び前への勢いを増幅させるケルン(自分たち主体でゲームペースを活性化できるのだから、ケルンも捨てたモノじゃない・・)・・その前への勢いを冷静に受け止めようとするドルトムント・・互いに何本かのチャンスを作り出すけれど、ゴールにはつながらずに時間だけが過ぎていく・・もうこれでゲームはドルトムントのものだな・・誰もがそんなことを考えはじめた残り1-2分というタイミングで、唐突に、まさに唐突に、ケルンが絶対的チャンスを作り出してしまう・・左サイドでの素早いコンビネーションによってドルトムント選手達を振り回したケルン選手が、まさに起死回生といえる、ラスト・サイドチェンジ・クロス(サイドチェンジ要素とラストクロス要素のコラボレーション!)を送り込む・・そして逆サイドでは、完全にフリーでスペースへ入り込んでいたハインリッヒがいる・・フリーでのヘディングシュート!・・誰もが「あっ、同点ゴール!」と思ったに違いない・・でも次の瞬間、ドルトムントGKヴァルムッツが、ヘディングされたボールをはじき出す・・誰もが息を呑み、ため息を吐いた瞬間・・そしてグラウンド上では、ハインリッヒに対するボールのないところでのマークを外された「デーデ」が放心した表情でたたずんでいる・・そこへキャプテンのヴェルンス(もちろんドイツ代表)が近寄ってきて力強く背中を叩いていた・・ものすごい象徴的なシーン・・やはりサッカーでは、ボールのないところで勝負が決まってしまう・・フ〜〜!
とにかく、サッカーという、つかみ所のない(自由であるからこそ全体メカニズムを把握するのが本当に難しい)ボールゲームが包含するコンテンツを象徴する、ものすごくエキサイティングなシュートシーンではありました。偶然と必然がダイナミックに交錯する真のボールゲーム・・。その瞬間、確実に、歓喜と奈落の落胆が交錯していました。
「本当にアタマにくるな・・あの試合は、内容的にも、ハインリッヒのシュートが決まって同点で終わるというのがフェアな結果だったのに・・」。次の日(2月23日の月曜日・・カーニバルがもっとも盛り上がる「ローゼン・モンターク」)、私が泊まるホテルまで尋ねてきてくれたエーリッヒ・ルーテメラー(元ドイツ代表コーチ、プロも含む全てのコーチ養成コースの総責任者)も、そう悔しがっていました。彼の「マイチーム」もケルンということです。彼とは、ドイツ代表のこと、またクリエイティビティー(創造性)やテクニックの育成など、様々なテーマを話し合いました。これについては、「The 対談」シリーズで記事にすることにします。
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さて最後に、チャンピオンズリーグ、バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリーについてのショートレポート。
こんなにエキサイティングでハイレベルな試合を観たのは何時が最後だったろう・・、観ていて、まずそんなことがアタマに浮かんできました。たしかに芸術性(個のチカラ)ではレアルに軍配が上がるけれど、ゲームを全体的に牛耳るだけではなく、何度も決定的チャンスを演出しつづけたホームのバイエルンにしても、そのプレー内容は、まさに美しく勝負強いというバランスの取れたものだったのです。これまでのブンデスリーガの試合内容から考えれば、まさに雲泥・・とも言えそうな・・。やはり「気合レベル」が・・?!
たしかにゲームは、ロベルト・カルロスのラッキーなフリーキックが決まって同点で終了しました(オリバー・カーンの信じられないキャッチミス・・というか、ロナウドがボールに触りそうになるなどの偶発的なファクターによってバランスを崩してしまったからキャッチ出来なかったのも無理はない!)。二週間後の決定戦ではレアルに有利?! いやいや、私はそうは思いません。この試合は、両チームともに、攻めなければならないのですよ。レアルが0-0を狙うはずないし(それを狙えるような守備ブロックじゃない!)、バイエルンもしゃにむにゴールを奪いにいくでしょう。だからこそ何が起こるか分からない。要は、「戦術的な計画要素」よりも、サッカー的な「自由度」が優先せざるを得ない状況ということです。
バラック、ハーグリーブス、ゼ・ロベルト、ピサーロ、マッカーイ、デミチュリス、リザラス、サニョール等が展開した素晴らしい攻撃サッカーとレアルの「銀河系サッカー」のぶつかり合い。これを見逃したら悔やんでも悔やみきれない・・。
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明日にはケルン方面へ移動し、土曜日には再びハンブルクへトンボ返り(ハンブルガーSV対バイヤー・レーバークーゼンの観戦!)などなど、落ち着いて時間が取れる状況ではないので、エーリッヒとの「The 対談」記事も含め、次は帰国してからということになりそうです(ハンブルク対レーバークーゼンについては速報レベルでアップするかもしれませんが・・)。ではまた・・