ということで、「埋没」してしまった私の見解を明確にしておくことにしたという次第(選出の前提は、ジーコが選んだメンバーから!)。私は、まだまだ世界二流の日本代表だから、より守備ブロックが安定する「スリーバック&ダブル守備的ハーフ」で臨むべきと思っています。それによって、アレックスと山田の攻撃参加に勢いがつくことも含め、「次の攻撃」が活性化されるはず(アレックスと山田はサイドバックが基本だけれど、ギリギリのリスクチャレンジチャンスで後ろ髪を引かれないという意味・・)。
私の意見:GKは楢崎・・スリーバックは、中澤と坪井のストッパーコンビを宮本がセンターで統率する・・サイドバック(ウイングバック)は前述のとおりで、守備的ハーフコンビはもちろん稲本と遠藤・・それに、二列目コンビとして中田英寿と藤田俊哉・・そしてワントップが高原。
ワントップの人選は迷いましたが(選択肢はもちろん久保!)、ここ2-3週間の高原のプレー内容(明確な発展傾向にある!)だったら、やはり彼がファーストチョイスということになります。また中村俊輔と小笠原ですが、先日の試合(マレーシア&イラク戦)でも露呈したとおり、彼らは、チーム全体の気のパワーを高揚させる刺激要素にはなり難い・・ということで選から外しました。肉を切らせて骨を断つ闘いだからこそ、攻守にわたる自分主体の積極プレー姿勢が問われる。もちろんその姿勢(意志)は、ボールなし状況でのプレー内容に如実に現れてくるというわけです。
中村俊輔についてですが、ケガから復帰したばかりということで、彼を評価するときの絶対的基準となる「コンフェデレーションズカップのフランス戦」でのパフォーマンスなどまったく期待できない・・。要は、小笠原にしても中村にしても(中村についてはイラク戦での20分だけですが・・)、ボールなしのプレーがまだまだ緩慢に過ぎるということです。良いサッカー(美しく勝負強いサッカー)は、攻守にわたるクリエイティブなムダ走りを積み重ねることでしか演出することはできません。攻撃でも守備でも、そこでの目的(シュートを打つこととボールを奪い返すこと)を確実に達成できるケースで「しか」ボールなしのアクションを起こさないという彼らのプレー姿勢では、まだまだ世界に通用するはずがないのですよ。
もちろん「局面プレー」がものすごく「上手い」ことは衆目の認めるところ。中田ヒデだってかなわないというシーンは多々ありますよ(特に中村は日本一・・だから正しい評価が難しい?!)。でもネ、上手い選手と良い選手は本質的なところで全く意味が違う(チームにとっての価値のレベルに差がある!)という事実を見れば、彼らが生み出すチームにとっての価値のレベルがまだまだ十分ではない(どちらかといえば、チームダイナミズムにとっての消極ビールスに成り下がるというシーンの方が多い?!)ことが明確に見えてくるということです。
何せ、才能に恵まれた彼らにしても、マラドーナのようなスーパー仕掛けプレーができるわけじゃありませんからネ(どんな厳しい状況でも相手2-3人を抜き去ったり、一人で局面を打開して決定的仕事をしてしまう!!)。だからこそ、攻守にわたるボールなしの汗かきプレー(≒チームダイナミズムの活性化プレー!)にも精を出さなければならない(それに対する意識を高揚させなければならない)ということです。
このオマーン戦では、中村俊輔は先発です。スペースで効果的にパスを受けるための「ボールなしプレーと守備」に課題を抱えている彼がどんなプレーをみせるのか・・コンフェデ・フランス戦のように闘う意志(意地?!)を前面に押し出した、攻守にわたる素晴らしい実効プレーを魅せてくれるのか・・。
ホントに蛇足が長くなってしまった・・でも蛇足ついでに、平山相太についても一言だけ書いてやれ!
以前、「彼はヘディングが下手だ・・」と書いたことがあります。その意味について、周りで大議論が盛り上がっていたとか・・。私が言いたかったことは、相手と一緒に飛び上がった状況で先に「アタマに触る」のが本当のヘディングの強さではない・・特に、身長190センチ、50メートル走6秒台(=ジャンプ力もスゴイはず・・垂直ジャンプで1メートル近い?!)の平山にとっては違う・・彼は、競り合う相手を完璧に抑え込み、事前にイメージしたヘディング(ラストパスやシュート等々)ができなければならない・・ということです。
でも実際には、まだまだ単に「先にアタマに触る」だけなのですよ。だからこそ歯がゆい。だからこそ、もっと競り合いテクニックの練習に励みなさいと言いたい。そうすれば様々なケースのヘディングテクニックをマスターできる。そうすれば、周りが平山のヘディングをイメージしてボールなしの勝負アクションに入っていけるなど、これ以上ないというチームの武器になる。そうすればチームにとって平山が無くてはならない存在になり常にプレーできるようになる(最高の発展機会の確保!)。そしてそのことで、その他のテクニックや戦術能力も自然に発展していくはず・・。そう、ドルトムントの「ヤン・コレル」のようにネ。そこまでくれば、彼が「釜本邦茂の再来」というレベルにまで上り詰めること請け合いなのです・・。
私が言いたかったことは以上です。どんなテーマでも、こうすればもっとチームの機能性やダイナミズムが高揚する・・これをやりさえすればキミは発展する・・これができるようになれば、キミのチームでの価値が格段に上がる・・等々、常に「ポジティブ志向」の湯浅なのです。
ホントに蛇足が長く、長〜〜くなってしまいました。オマーン戦キックオフへ向けて、自分自身のためのイメージトレーニングに深く入り込んでいたのですが、そのなかで様々なテーマがアタマを駆けめぐりつづけたことで創作意欲がかき立てられてしまった(キーボードに向かわずにいられなくなった)という次第。
さて試合レポートです・・なんていうフローにしようと思っていたのですが、どうも考えがまとまらない。ということで、単車を駆って帰宅してから書くことにした次第。とはいっても記者会見が終わったのが10時を大きく過ぎていましたからネ。書きはじめたのは夜中過ぎになってしまって・・。
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やっぱりキーポイントは、稲本と遠藤、そして両サイドが繰り出す、「攻撃の変化」としての押し上げだな・・。完璧な膠着をつづける戦況を見ながら、そんなことを思っていました。前半でチャンスになりかけたシーンは、(立ち上がりの中村のクロスは除いて)遠藤と稲本の、インターセプトからの攻め上がり、はたまたアレックスの三人目の飛び出し(&ダイレクトスルーパス)のシーンだけがチャンスらしい雰囲気を演出していたということです。まあ、2-3回はあったかな・・。
皆さんも見られた通り、戦況はものすごく苦しい。オマーン守備ブロックのウラを突くというシーンは、ほとんど演出することができない日本代表なのです。何せオマーンは、ガチガチに守備を固めていますし、抜群の身体能力だけではなく、守備戦術イメージでもよくトレーニングされていますからネ。オマーン監督のマチャラさんに拍手なのです。
何とかクリエイティブにボールを動かそうとする日本ですが、ボールホルダーへのキッチリとしたチェックだけではなく、次のパスレシーバーもまた、キッチリとマークされている・・またタテへパスを通しても、そこでの競り合いでほとんど負けてしまうし、走りっこではまったくかなわない・・そして徐々に日本選手達の足が止まっていくのですよ。逆に、自信を深めたオマーンのカウンター攻撃に危険な勢いが乗るようになっていく・・。前半は、まさにジリ貧の展開でした。
たしかに、(前述したように)稲本や遠藤、はたまたアレックスのオーバーラップは何度かあったものの、全体の流れとしては、膠着状態に対する打開イメージがまったく描けずにいたと表現した方が正解だから、前半28分に中村俊輔がPKを外したときは(相手GKのスーパーセーブに阻まれた!)、これは大変なことになるぞ(ドイツが遠のくぞ・・)なんて思ったものです。
日本の攻めは、とにかく緩慢。ボールの動きが、各ステーションで停滞してしまうから、ボールなしのアクションにも勢いがのらない(また、その逆もあり・・擬似的な心理的悪魔のサイクル?!)。これでは、オマーン守備ブロックが描くディフェンスイメージのウラを突くようなコンビネーションなど演出できるはずがないし、オマーンにパスを読まれ、彼ら独特のスピードと身体能力で潰されてしまうのも道理じゃありませんか。
とにかく、後方から積極的に仕掛けていくような勇気も後退気味なのです。たしかに前述した、オーバーラップによるチャンスメイクはあったけれど、いかんせん頻度が低すぎる。要は、チームの中にリスクチャレンジのマインドが浸透・高揚していない・・吹っ切れた勇気が感じられない・・ということです(選手達が、リスクチャレンジに対して二の足を踏んでいるのが目に見えていた!)。だからリスキーコンビネーションに対する意志とイメージが希薄になり、結局は個人勝負と、一発パス勝負ばかりになってしまうというわけです。これではオマーン守備ブロックの身体能力を崩せるはずがない・・。
日本代表には、まだまだ、個人で打開できるようなチカラは備わっていない。だからこそ、仕掛けに人数をかけることで(ボールなしのプレーを活性化することで!)もっとボールを素早く、広く動かしながら、組織的にオマーン守備ブロックの「バランスを崩して」いかなければならなかったのに・・。
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そんな前半のジリ貧の展開に対して、久保が登場した後半の立ち上がりは、かなり内容が好転していきます。久保が入ったことによって、仕掛けのイメージに、一つ「筋が通った」のです。そう、久保のアタマ(=ヘディングの強さ)。
もちろんジーコが意図していたのは「それ」だけじゃないでしょう。彼が標榜するのは「確実なボールキープからの自由な創造性の表現」ですからネ。でも、久保のアタマという、明確で実効ある武器を得た日本代表の仕掛けコンテンツ(内容)が好転したことも確かな事実です。要は、一つ「スジが通った」ことで、それ以外の仕掛けにも幅(=変化に対する余裕)が出てきたということなのでしよう。
型にはめ「過ぎる」のも問題だけれど、型がまったくないというのも問題。要は「バランス感覚」が大事だということなのですよ。このポイントこそが、平山という「明確な武器」をもったオリンピック代表への期待でもあるというわけです。蛇足ですが・・
でも、久保のアタマを意識したからといって、そうそう簡単に、それを活かせるはずもありません。一人の選手を除いてネ・・。そう、中村俊輔。
前半の立ち上がりは、大いに期待させてくれるようなプレーを魅せてくれた俊輔でしたが、その後は鳴かず飛ばず(まあ運動量はそこそこだし、守備への貢献度もまあまあなのですが、どうも実効レベルが上がってこない・・)。そんな俊輔が、「仕掛けイメージのスジ」を得たことで、チカラを発揮しはじめたのです。要は、レッジーナでの「ボナッツォーリという存在を活かすイメージ」ということです。ボールを持って「個の仕掛け」に入った彼のプレーからは、明確に「久保への次のクロス」をイメージしていることが感じられたものです。そして一本、二本と、久保への正確なクロスやサイドチェンジパスが飛ぶ。後半開始早々のアーリークロス&久保のヘディングシュート場面は、誰もがゴールだと思ったに違いない!! 積極的な守備参加だけではなく(まあ実効レベルは別にしてネ・・)、前半立ち上がりのタメキープからの正確なクロスボールや、後半でのクリエイティブプレーを見ていて、ちょっと安心した湯浅でした。
でも結局は、チームとして、久保のアタマという「変化の糧」をうまく活用することができず、またまたオマーン守備ブロックが落ち着きを取り戻してしまう。日本の仕掛けに「変化」がなくなり、再び一本調子の攻めに陥ってしまったのです。
そんな膠着状態に陥る雰囲気だった後半20分あたりで、再びジーコが動きます。小笠原と遠藤の交代。実はこのとき、私は、フザケルナよ!と、叫んでいました。中盤守備の重鎮である遠藤を下げることは、守備ブロックが不安定になることで(ダイナミックな守備こそがダイナミック攻撃の絶対的な基盤という大原則!!)、後方からのオーバーラップマインドがよりいっそう後退してしまうじゃないか・・。でも次の瞬間、その考えが吹っ飛びましたよ。何せ、中田英寿が「ボランチ」のポジションに入ったのですからネ。あっ、そうか・・たしかにジーコは、そのオプションも具体的にイメージしていたんだっけ・・なんて、短絡的な怒りをちょいと反省した次第。
そしてそこから、日本のサッカーが、本当の意味で(中身が詰まったカタチで)活性化していくのです。もちろん真のゲームメイカーとしての中田英寿を中心にしてネ。
それまで超ハードなマークに苦しんでいた彼が、そこからは、完全に解放されたサッカーができるようになったのです。中田にボールがあつまり、そこから変化に富んだ展開がはじまる・・中田もどんどんとオーバーラップし、小笠原や中村とタテのポジションチェンジをする・・。
彼の素晴らしくクリエイティブでダイナミックなプレー(リーダーシップ)を見ていて、やはり中盤の底こそチームのコアだ・・という事実を反芻していた次第。そして、中田が「チームの重心」にいることで、他の中盤たちだけではなく、サイドバックも、より活発に(攻守にわたって)タテに動きつづけるようになるのです。いや、素晴らしい影響力(リーダーシップ)じゃありませんか・・。
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この試合での小笠原ですが、部分的に才能を感じさせてくれました。だからこそ(前段の文章で述べたとおり)残念でならない。彼の「実効あるボール絡みプレー」が低調に過ぎるのです。攻守にわたって、もっともっと積極的に動きまわってボールに触らなければ彼の才能が活かされない・・。
この試合で彼が登場したのは、後半20分を過ぎたところです。残り25分。それも試合はドロー状態。もうやることは決まっているじゃありませんか。最前線から、まず率先してボールホルダーへの「爆発チェックアクション」に入る・・相手ボールホルダーのキープ状態へのプレス参加・・ボールのないところでの全力マークと爆発アタック・・そんな守備プレーをベースに、どんどんスペースへのフリーランニングをつづけることで、自らボールに触るだけではなく、味方が使えるスペースを作り出す・・等々、彼は、常に全力アクションをつづけなけばならなかったと思うのです(全力アクションだからこその、味方への強烈な刺激!)。小笠原には才能があります。でも、いまのプレー姿勢では、その半分も発揮できないし、これ以上のビルことは決してない・・。
ジーコは、そのことをよく理解しているはずです。小笠原は、いまの二倍走らなければならない(彼は走るタイプじゃない・・なんていう発想は、もう遠い過去のもの!!)・・それがあってはじめて、小笠原という才能が、本当の意味で、日本サッカーの宝物になるのです。その意味でも、ジーコの「ストロング・ハンド」に期待なのです。
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この試合での日本代表の気のパワーレベルが低調で、鈍重なサッカーしか展開できなかったことは衆目の認めるところでしょう。闘う意志のレベルが低すぎる・・またはそれが「空回り」・・。まあこの試合内容ですからネ、初戦のプレッシャーがあったとはいえ、そんな批判は避けて通れません。まさに起死回生と呼べるラッキーゴールで勝ち点「3」を拾ったからといって(結果が出たからといって)、実質的な内容に関するその事実にフタをできるハズがないのです。
だからこそ良かった・・。(勝ち点3を拾ったことで)希望を捨てることなく(パニックに陥ることなく)、プレー内容に関して真実を見つめられる(落ち着いて反省できる)状況になったのですからね。また、内容が悪かったことは選手たち自身がもっとも切実に体感しているはずだから、次からは覚醒した闘いを魅せてくれるに違いないとも思います。何せ、まさに「起死回生のラッキーゴール」で勝利をおさめられたのですからネ。
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最後に、ポジティブな現象にスポットを当てて今回のレポートを締めたいと思います。
それは、日本全国が、(サッカーの神様が支配し、必然と偶然、歓喜と奈落の落胆がギリギリで交錯する?!)ワールドカップ地域予選の厳しさを体感し、ドーハの悲劇やフランスワールドカップ地域予選での厳しかったプロセスを思い出しただろうこと・・そして、本物の肉を切らせて骨を断つ闘いになったこの日のゲームを通じて(ドイツW杯が本当に遠のきかけたという勝負の世界の現実を通して)、サッカーの本格感が再認識され、社会的な注目度が大きく高揚するに違いないこと等です。
それにしても、ホントに良かった。久保の落ち着いたゴールが決まったとき、後ろに座っていたサッカーマガジン編集者の方々と、(まあこちらからの一方的な感情移入アクションでしたが・・)グラウンド上の現象(ゲーム内容)に対して怒りをぶつけながらも、そのゴールを心から喜んでいた湯浅だったのです。
また、相手のヘディングでの強烈なクリアボールを、一瞬の判断と反応で、ボールの勢いを消すようなアクション(トラップをしながらのダイレクトパス!!)で、久保へのファウンデーションパス(アシスト)にしてしまった中村俊輔の才能に対しても大拍手!!
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「前段」も含め、長くなってしまいました。乱筆、乱文、誤字・脱字はご容赦。
湯浅は、明日からドイツ出張です。サッカー関係、ビジネス関係、プライベート関係などのミックスですが、今週末には、シャルケ04対ヴェルダーブレーメン戦(土曜日)、ボルシア・ドルトムント対1FCケルン戦(日曜日)、バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリー戦(火曜日のチャンピオンズリーグ・・至ミュンヘン)、VfBシュツットガルト対(油を扱うアブラモビッチが支配する)チェルシー戦(水曜日のチャンピオンズリーグ・・至シュツットガルト)、来週末には、ハンブルガーSV対バイヤー・レーバークーゼン戦(土曜日)などを観戦予定です。まあチャンピオンズリーグについては、現地まで足を延ばせるかどうかは分かりませんがネ・・。またその間に、ビジネスミーティングや、サッカー関係者との対談もこなします。機を見てレポートする予定ですので・・。