ハンガリー対日本の試合は、ハンガリーの首都ではなく、そこから220キロほどスロベニア&オーストリア方向(西方向)へいったザラエジェルツェグという地方都市での開催になったわけですが、私は、時間がかかる電車やバスではなく、ブダペシュトでレンタカーを調達することにしました。もちろん、試合後すぐにブダペシュトへとって返すことを想定してね(レポートアップはそれからということになります・・)。
キックオフは1300時(日本時間で、同日の2000時)。ということで、レンタカーのオフィスがオープンする早朝の0700時をめどにスタート時間をプランしていたという次第なのです。でもまあ・・そこはね、朝のニュース(泊まったホテルでは日本のNHKやCドイツのニュースが放送されている!)を見たりシャワーを浴びたり、はたまたドナウ川と王宮の丘が見わたせるホテルの眺望レストランで気持ちよく朝食をとったりと、結局レンタカーオフィスへ顔を出したのは0730時をちょっと過ぎたあたりということになってしまいました。まあ移動距離が220キロということで、一っ走り程度だろうし、それに今朝はとにかく心爽やかだから、気持ちの良いドライブになるだろう・・なんてネ。
わたしの心が晴れ晴れしている背景・・。もちろんそれは日本女子の快挙です。「3-0」という結果だけしか知りませんが、内容も立派なものだったようです。それも相手は、昨年のアジアチャンピオンで、ここのところ日本が7連敗を喫している北朝鮮ですからネ。とにかく立派な勝利です。たぶんそれは、彼女たちが一皮も二皮もむけたということでしょう。そして私の認識不足が露呈してしまって・・。
前回のレポートの最後に、『彼女たちはまだ日本の社会文化にドップリつかっているはずだから、とにかく北朝鮮との勝負マッチまでに、強烈なメンタルトレーニングをインテンシブにこなすことが肝心・・』なんて書きました。そして、まさにそれが杞憂に終わったのです(だから私の認識不足!・・スミマセン・・)。
この試合内容によって、これまで彼女たちが、技術・戦術的なところばかりではなく、心理・精神的な部分でも精進を重ねてきたことが如実に証明されたということです。まさに隔世の感がある日本女子サッカーの発展パフォーマンス(技術的、戦術的、そして心理・精神的にも!)。
とにかく、上田栄治監督の優れた仕事と、素晴らしいサッカーを披露した彼女たちが、我々生活者に新たなアイデンティティー(誇りに思えるモノ)を与えてくれたことに対して乾杯!! もちろん私が、気持ちよく220キロをドライブできたことに対してもネ・・。
あっともう一つ「気持ちいい背景」がありました。それは、久しぶりに(たぶんアイルトン・セナ以降はじめて?!)F1のホンダがポールポジションを奪い取ったことです(本戦の結果がどうなったかはまだ知りませんが・・)
私はホンダファンです(彼らのチャレンジの歴史に対するレスペクトのことです!)。だから、嬉しかったですよ。もちろん「ポール」を取ったのが、唯一の日本人ドライバー佐藤琢磨(漢字は合っているでしょうか?)だったらもっと良かったのに・・。でも実際に、ミヒャエル・シューマッハー等の強豪を抑えてポールを奪取したのは、イングランドの若手ドライバーで佐藤琢磨のチームメイト(BARホンダ)、ジェイソン・バトンでした(ゴメン、ジェイソン・・)。
ということで、ゲームも気持ちよく観戦できるに違いない?! この試合のメンバーは、両チームともに「国内組」。日本では、初めての代表マッチとなった田中、また西、福西、藤田のジュビロ組、また、福西とコンビを組む遠藤や久保と玉田のトップコンビにも注目しましょうかね。
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前段が長くなってしまいました。さて、試合レポートです・・と、元気に書き出すつもりだったのですが、「あの試合」を見せられた後に220キロを移動しなくてはなりませんでしたからね。ブダペシュトに到着したら神経が疲れ果ててしまって・・。まあそれには、割り込みや、後方からプレッシャーをかけてくる等々、ハンガリー人たちの荒っぽいドライビングに刺激された私も、アグレッシブな運転になってしまったという背景もあったわけですがネ・・。到着したら神経が張りつめていた・・ってな体たらくなのですよ。でも、とにかくレポートだけはアップしなければ・・と、キーボードに向かった次第なのです。
最初のテーマは、グラウンド状態ですかネ。たしかにひどかったですからね。いくら数日後に、首都のブダペシュトでブラジル戦があるからといっても、わざわざ220キロも離れた地方都市の「ボロボログラウンド」でやる意味は一体・・??
まあ、仕方ない・・。とにかく、条件は両チームに同等という事実から論を展開することにしましょう。とはいっても、ハンガリーはしっかりと押し上げていましたよ。まあたしかに「個のチカラ」が十分ではないから、流れのなかで日本ディフェンスを崩してチャンスを作り出すというところまではいけませんがね。それでも、ホームということもっあって、攻守にわたり、忠実な全力ダッシュ(=意志のチカラ!)をくり返しながら、常に主体的に攻守の目的を達成しようとする積極プレー姿勢を維持していましたよ。もちろんそんな積極プレー姿勢の背景には、最近になってハンガリー代表の監督に就任した「ドイツ魂の権化」、ローター・マテウスの影響もあるはずです。
それに対して日本代表のプレー姿勢は、まさに「グラウンドの悪さを言い訳にしている」という体たらくなのです。「前にスペースがあるけれど、行っても、どうせ途中でミスが出てボールを失っちゃうさ・・」ってな消極姿勢がアリアリなのです。サッカー内容は、本当に良くない。
いつも書いているように、日本はまだまだ世界の二流だし、「個のドリブル突破能力」に限ったら、もっとレベルが下がるかもしれない。だから日本チームの仕掛けは、組織パスプレーで相手守備ブロックに挑んでいくというのが基本線であるべきなのです。そのためには、もちろん「人数をかけること」が必須条件になってくる。だからこそクリエイティブなムダ走り(=忠実なボールがないところでの押し上げ!)をいとわないというプレー姿勢が重要ファクターなのですよ。でも「その押し上げ」をする積極姿勢が見られない。これでは日本の攻めがカタチにならないのも道理というわけです。このことについては、後で、ジーコが標榜するプレーコンセプトに絡めて再び論じましょう。
こんな両チームだから、双方ともに流れのなかではほとんどチャンスを作り出せないという展開がつづいてしまうのも当然の成りゆき(全体的にはハンガリーが押し込んでいる!)。そして、これじゃ、やっぱりリスタートでゴールが生まれるんだろうな・・なんて思っていたら、案の定ハンガリーが、後半8分と23分に、セットプレーから二点を先行してしまったというわけです。
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その後も、日本の攻め上がりの勢いは加速していかない・・誰もチーム全体を鼓舞できるだけのパーソナリティーを発揮できていない・・だから押し上げが緩慢で、組織プレーも機能しない・・そしてこちらはフラストレーションばかりがたまりつづける・・。
そんななか、カウンター気味の攻めから、あっという間に日本が同点に追いつきます。後半30分の玉田のゴールと同32分の久保のゴール。
最初の「追いかけゴール」は、右サイドからのクロスがラッキーに玉田まで抜けたことで入りましたが(とはいっても、強烈な意志を叩きつけるような右サイドでのオーバーラップ&クロスは見事!)、それに対して同点ゴールは、まさにチームが意図するカタチで奪い取りました。本山からのスルーパスを久保が落ち着いて流し込んだゴール。
本山が試合後に、「久保が、相手を引っ張り出してから回り込むパスレシーブの動きをしてくれたから(明確なパスを呼び込む動き!)ラストパスを送り込むことができた・・」と言っていたそうです。効果的なフリーランニングと冷静なパス出しが美しいゴールにつながった・・。ハンガリーが、決勝のPKも含めてうまく流れのなかでカタチを作り出せなかったの対して、日本は、しっかりと流れのなかからゴールを陥れた・・。
試合後にジーコが、あのような意図あるカタチでゴールを入れられるようになっているから、これからもっともっと発展する・・という趣旨のことを言っていました。要は、ジーコが意図するカタチのほとんどが、落ち着いたポゼッション(ボールキープ)を基盤にした「タメ」からのスルーパスということなんでしょうネ。これが二つ目のテーマです。
ジーコが意図するサッカー・・。しっかりと自チーム内でボールをキープするなかで(ボールポゼッション!)、確率の高いチャンスを見計らい(そのチャンス状況を意図的に作り出して!)、瞬間的なテンポアップと、唐突な勝負(ドリブルや、スルーパス&決定的フリーランニングのコンビネーション等)を繰り出していく・・。
でもそれは、誰もが知っているとおり、一番難しいやり方ですよ。要は、ブラジルのような世界トップの技術・戦術力を持ち合わせているチームの専売特許だということです。たしかに、本山と久保コンビによる日本の同点ゴールは見事だったけれど、日本は、そんな最終勝負をメインにイメージするには、やはり力不足だということです。相手が強ければ、まったく機能しないし、オマーン戦やシンガポール戦で露呈したように、チカラの劣る相手がディフェンスを固めてきたときでも同様の寸詰まりの展開になってしまう・・。だからこそ、タテへのロングパスや、アーリークロスも含めたサイドからの攻めなど、もっとシンプルな仕掛けも「チームの攻撃戦術」として意図すべきだと思うのです。
もちろんジーコも、そんな攻撃バリエーションは否定しないでしょう。でもそれは、チーム内で最終的な仕掛けイメージをしっかりとシンクロさせなければ決して機能しないから、トレーニングにおいて多くの時間を割かなければなりません。もちろん、選手たちが主体になった「イメージシンクロ作業」としてネ。でも実際は・・。
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それ以外にも、チームについては、パス&ムーブに対する意識が極端に低いとか、ポゼッションという発想自体が選手たちの「言い訳ソース」になり下がっている等というポイントが気になりました。また個人的には、アレックスが守備での競り合いでも強いところを魅せたけれど、その個の強さが、彼の場合は諸刃の剣になっている・・とか、遠藤は、ポジショニングやカバーリングが一流なだけではなく、ボールなしの確実なマーキング(一度マークしたら絶対に振り切られない!)や局面での競り合い(ボール奪取バトル)でも遠藤のキャパの高さを再認識できた・・等々、いろいろな発見がありました。まあ、それは次の機会に・・。
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それにしても、サブ組(国内組)のモティベーションレベルは低かった。これでは、彼らの闘う意志が高揚しないのも道理。彼らの脳裏では、ある事実が、既に深く定着してしまっているということでしょう。どんなに頑張っても、結局はヨーロッパ組が優先される・・。
この試合内容を見る限り、「彼らのなかの事実」が揺らいだとはまったく感じられなかった・・それに対してジーコは、どのように意識付けをしているのだろう・・まあ、そこで十分にセルフモティベーションでできない選手は日本代表の資格はないと、強烈な脅しをかけているけれども・・。