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ジーコジャパン(38)・・内容的にも順当な優勝でした・・(日本vsセルビア・モンテネグロ、1-0)・・(2004年7月13日、火曜日)

全体的には「鈍重」なゲーム展開だったけれど、それでも日本の選手たちが着実に「底上げ」していることだけは確認できた・・ってな総評でしょうか。今年のキリンカップは、ヨーロッパ組や久保を欠いたにもかかわらず、日本代表が順当に優勝を遂げました。ジーコ初のタイトル。順当な結果でした。

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 個人的な能力の高さはさすがにセルビア・モンテネグロ・・でもそれが有機的に連鎖しないから組織的な仕掛けがうまく機能しない・・個々のプレーはハイレベルなのだけれど、早め、早めにボールを動かすのではなく、詰まってからの足許パスが目立つことで、それぞれのアクションがうまく連動しない・・その背景には、ボールがないところでの仕掛けの動きが緩慢という事実もある・・もちろんワンツーアクションはあるけれど、それも単発という印象を拭えない・・そんなふうに自分たちの「眼前」で仕掛けアクションが繰りひろげられるから、日本の守備ブロックにとっても勝負イメージを描写し易いことこの上ない・・もちろん何度かは、セルビア選手たちが繰り出す単独アクションで危ない場面を作り出されたけれど、組織ベースで仕掛けていく日本も負けてはいなかった・・総体的なチャンスの質と量では、明確にセルビアに競り勝っていた・・だから日本の順当な優勝・・。

 ちょいと拙攻が目立つセルビア・モンテネグロ。それでも、単独ドリブル勝負をベースに、流れのなかでシュートチャンスを作り出す能力はサスガです。彼らには、シュートを打ち、ゴールを奪うことへの「どん欲さ」がある・・。それはサスガに「本場」。とにかくヤツらは、可能性があれば、どんどんとシュートを打ってくるのですよ。中距離シュートやロングシュート。逆に、そんな吹っ切れたシュートイメージがあるからこそ、相手のフトコロ深く切れ込んでくるコンビネーションも活きてくるというわけです。まあこの試合では、目立ったパスでの仕掛けは数えるほどしかありませんでしたけれど・・。

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 立ち上がりの日本は素晴らしい勢いでした。皆さんもご覧になったとおり、流れのなかで何度もチャンスを作り出したし、仕掛けの勢いがあったからこそ獲得できた「セットプレー・チャンス」からも危険な匂いがプンプン漂ってきたものです。そこでのキープレーヤーは、中村俊輔。セットプレーのキッカーとしてだけではなく、流れのなかでの決定的パサーとしても、なかなかのプレーを魅せていました。

 前半5分・・右サイドで相手と競り合いながらボールをキープしサイドチェンジパスを送り込む中村俊輔・・それが逆サイドの味方へうまくつながって惜しいチャンスになる・・7分・・セットプレーからボールを持った俊輔・・右サイドでの見事なドリブル突破から決定的クロスを上げる・・等々、ゲームの立ち上がりでは、中村がコアになった仕掛けがつづきました。

 この試合での中村は、攻守にわたって良いプレーを展開していましたよ。とはいっても、パス&ムーブに対する意識はまだまだ希薄だから、素早いコンビネーションのコアになれないけれど・・。彼が勝負ゾーンでボールを持ったときは、常にそこが「勝負パスの起点」になるというわけです。ということで、パサー(スルーパス)専業の中村ってな具合。それは、良いことなのかどうか・・。

 この試合では、仲間が「俊輔にボールを集めよう」とかなり意識していたこともあって、彼の能力がうまく「引き出されて」いたと思います。もちろんそれには、最前線の汗かきとしてだけではなく、最前線での身体を張ったボールキープなど、素晴らしいパフォーマンスを披露した鈴木隆行の「パスを呼び込むフリーランニング」も含まれます。中村は、彼にも感謝しなければいけません。

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 この試合でも、遠藤や福西が最前線へ飛び出していったときに「流れのなか」でチャンスが生まれていました。特に遠藤は、ゲーム立ち上がりから、スッ、スッと、最前線を追い越してしまうような抜け出しアクションにトライしつづけていましたよ。そんな忠実な仕掛けアクション(リスクチャレンジ)が決勝ゴールとなって結実したというわけです。

 とにかく、ゴールシーンで魅せた遠藤の「走り抜け」には感動しきりでした。福西から鈴木へのタテパスが出される前の時点でスタートを切り、勢いを落とすことなく決定的スペースへ走り抜けた遠藤。そんな、ボールがないところでの脇目もふらない全力ダッシュこそがチャンスメイクのリソースというわけです。勝負はボールのないところで(そこでのアクションの質と量で)決まる・・。

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 その他にも、玉田の潜在力の高さとか、久保と玉田コンビの可能性、福西・遠藤の守備的ハーフコンビの機能性など、色々とメモを打ち込んでいたのですが、どうもうまくアタマが回らなくなっている。それをまとめるのは、また別の機会ということにさせてください。まあ、アジアカップもあることですしね。

 それにしても、立ち上がり3分の玉田のヘディングチャンス、前半29分の中澤のヘディングチャンス(セットプレーから、俊輔の正確なキック!)、前半38分の玉田のダイレクトシュート(俊輔からの、ファーポストスペースへの正確なラストクロス)、後半30分過ぎの、フリーで抜け出して放った鈴木のシュート(相手GK正面)など、決定的シュートの内容では、完全に日本がセルビアを凌駕していましたよ。それにしても、セルビア・モンテネグロGKイエブリッチ。それらの決定的シュートを(最初の玉田のシュートを除いて)ことごとく防いだプレーに大拍手を送っていた湯浅でした。

 内容的にも順当な日本の優勝。でもまだまだ不満&不安。ここぞ!のエネルギーの爆発が感じられないのですよ。だから、「チームのキーポイントが抑えられてプレーペースが落ちたら、それを自分たちで回復させられない・・」なんていう不満&不安がつきまとうというわけです。

 モウロウとしはじめたアタマを叩き、眠い目をこすりながらのレポート。今日は、ここまで打つのが精一杯でした。ご容赦アレ。

 



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