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ナビスコカップ初戦・・さて、レッズのサッカーが揺動しはじめた?!・・(レッズ対トリニータ、2-3)・・(2004年3月27日、土曜日)

夜中の中田英寿レポートまで、昨日は本当に忙しい一日でした。そして土曜日の朝になってハッと気付いた・・一体どの試合を観戦にいったらいいのだろう。

 まず第一候補は「J2」の横浜FCや川崎フロンターレのホームゲーム観戦。今シーズンは好調だと言われている彼らが、本当のところ「どのように好調」なのかをしっかりと見極めたい・・二部のゲームを観る機会は限られているし・・。つづく観戦候補は、もちろんナビスコカップ。レッズかジェフか・・。でも結局、いま一番「動き」のあるレッズをより深く観察しておくことにしたという次第。「J」では、素晴らしい内容だったマリノス戦とセレッソ戦から、本当に次の段階へ向かうのだろうか・・。

 いま、ジュビロと同様に、リーグ最高のハイレベルサッカーを展開しているジェフを観たい気持ちも強かったのですが、彼らの場合は、昨シーズンのように、そうそう試合によって出来が浮き沈みすることもなくなっているだろうから・・。ということで、明確にチーム戦術が変わったレッズが、どのようなプロセスにあるのか(チーム動向)を、より詳細に観察することの方を選択したという次第。

 メンバーは、日本代表に招集されている坪井とアレックスを除き、ほぼベストメンバー(もちろんキャバクラ男の山田暢久は先発です・・キャバクラに入るまえの段階で現実に目覚めて合宿所へとって返したということですが、事実は残る!)。対するトリニータもベストメンバーに近いし、「J」の第二節では、FC東京を相手に、自分主体の立派なサッカーで勝ち切るという上昇機運に乗っています。選手たちの自信・確信レベルが高揚をつづけている大分トリニータ。相手にとって不足なしじゃありませんか。さて、ジックリと「レッズのチームの動静」を確認することにしましょう。

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 前半4分。コーナーキックからのレッズが先制ゴール(ヘディングシュート)をたたき込まれてしまいます。その瞬間、こんな言葉がアタマをよぎっていました。「よし!! ヤツらは寝ているから、この失点がよい刺激になるはずだ・・」。どうも、まだまだレッズは、相手のプレーペースに合わせてしまう・・もっと言えば、自分たちから相手をコテンコテンにブッ潰しにいくという攻撃的なマインドが見えてこないということです。ギド・ブッフヴァルト監督は、「常にプレッシャーをかけていく・・」と、アグレッシブな姿勢を強調してはいるのですが、この試合の立ち上がりは、まさに「笛吹け度踊らず」と言ったところなのです。ホント、フラストレーションがたまる。勝負ですからネ、選手たちは、甘えの構造(自分が甘えたいから、相手にも甘い!)では何も生み出すことはできないという事実を肝に銘ずるべくなのです。だから、立ち上がりの失点に「よし、良かった・・」。

 その後、少しはペースアップしたレッズでしたが、どうも仕掛けプロセスで本格的に人数をかけられていない・・というか、前任者のときと同様に、まさに「前後分断」のステレオタイプ攻撃をくり返すだけなのです。たしかに局面での積極性は少しは高まったけれど、後方から絡んでくる味方が少ないから、それがチームとして連鎖しない。そして16分には、トリニータに追加ゴールまで奪われてしまうのですよ。単純なタテパス。室井が先に追いつき完全にボールを支配したと思われた次の瞬間、トリニータ吉田孝行の伸ばされた足でつつかれたボールが、飛び出してきたレッズGK都築の横をすり抜けてゴールへ・・。その後もレッズは、まだまだ本格的にペースが上げることができない。「いっそのこと、三点目もぶち込まれてしまえ!!」なんて、記者席で憤っていた湯浅でした。

 キャバクラ男の山田暢久。たしかに前節では良いプレーを披露しました。「とにかくいまは、良いプレーを積み重ねていくしかない・・」なんて、こちらもポジティブなコメントを書きました。それでも、この試合での気抜けプレーは度が過ぎていました。特に前半はひどかった。攻守にわたって中途半端なプレーのオンパレードなのですよ。キャプテンの自覚も何もあったものじゃない。本当に腹立たしい。

 それにしてもペースが上がってこない。もちろん、ギド・ブッフヴァルトが、ベンチから大声で檄を飛ばせば、少しは刺激になると思うけれど、どうもギドも様子見。ベンチも、スタンドも、グラウンド上の選手たちも、全員が「無為な様子見」。こんなじり貧の展開だからこそ、何か、本当の意味での刺激が必要なのだけれど・・。

 このことについては、ギドも認めていました。「前半立ち上がり30分のサッカーは、本当によくなかった・・とにかく選手たちが、自分から走り出そうとしていない・・自らアクションを起こそうとしていない・・まあサッカーだからこんなこともあるけれど、アレは度が過ぎていた・・」。良いですよ。悪いときは悪いと認めることも監督のキャパのうち。何らかのバッググラウンドがなければ出来ませんからね。「あの」イビチャ・オシム監督も、その点は徹底していた。「そう、あんなサッカーをやっていたら勝てない・・」なんて、ジェフの出来が悪いときは、自分のチームに対して辛辣なこと・・。それこそが、優れた監督の正しい姿勢なのです。

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 さて、低調なレッズ。攻めにしても、完全に「前後分断」。両サイドでの、タテのポジションチェンジはないし、センターゾーンでの鈴木啓太と長谷部も、そのまま前後の基本ポジションを「無為に」に維持するだけ。これでは、攻撃の変化を演出できないのも道理。長谷部も、山田同様に、前節は良かったけれど・・ってな体たらく。これでは、レッズの選手たち自身が、前のスペースを自ら(無為に)潰してしまっているということですからネ。まさに馬鹿げた現象なのですよ。一体どうしちゃったの?

 両サイドのタテのポジションチェンジ・・というか、そこでは、前気味の二人(左は田中達也、右は永井雄一郎)が、両サイドバック(左は酒井、右は山田暢久)をタテへ送り出すという発想が先行すべきなのですが・・。でも田中にしても、永井にしても、サイドに張り付いて、ドリブルでの切り崩しとクロスだけを狙うというプレーイメージなのです。ホントに柔軟性がない。まあこれも、前任の監督が貫いたチーム戦術の「名残」なんでしょうがね。

 もっと、ギドとゲルト(エンゲルス・コーチ)は、そこのところのイメージを明確にしておくべきだった?! まあ、そういうことでしょう。これじゃ、酒井にしても山田にしても、(次のディフェンスが後ろ髪を引っ張ってしまうから)最前線を追い抜いていくようなオーバーラップを仕掛けられないのも道理じゃありませんか。そんな後ろ向きのプレーイメージからの「解放」こそが、レッズの最大の課題なのです。だからこそ、コーチングスタッフや、チームリーダーたちの意識の高揚が大事になってくる・・。

 「そう、そのとおり。このことについては、選手たちとビデオを観ながらしっかりと話し合って修正していかなければならない。でも、スリートップが前に貼り付いてしまったことは、決してオレの指示だったわけじゃないぞ・・」。

 私の質問の最後の部分に対し、ギドがちょっと憤っていた?! 何せ、スリートップが前線に張り付いているし、そこで前後左右のポジションチェンジがないから、自らスペースを潰していた・・それが攻めのダイナミズムが活性化しない最大の原因だったと思うのだが・・と質問した最後に、「彼らが基本ポジションに出来るかぎりとどまることは、監督からの指示だったのですか?」なんて挑発的に質問しちゃいましたからネ。

 記者会見の質問だって、「ぬるま湯」じゃダメなんですよ。とにかく何らかの「刺激」があれば、本音トークに近づくし、クリエイティブ・ディベートの雰囲気が活性化するものなのです。私は、ギド・ブッフヴァルトとゲルト・エンゲルスのコンビに、心から成功して欲しいと願っていますからネ。でも、情緒が先行するカタチでサポートしようなんて、まったく思っていません。彼らに「おもねる」のでは、まったく何も生み出さないし、結局は、体質的なことも含め、ネガティブな結果につながってしまいますからね。プロ同士の「フェアな本音ベースの関係」のみが、正しいレスペクト関係(信頼関係)の基盤になるものなのです。

 ということで、ペースを(自ら)上げられないレッズ。そこには、トリニータを甘く見るというイージーなマインドが先行していたという背景もありそうです。甘く見ているから、前線の選手たちも参加するような全力での組織ディフェンスが機能しない・・だからこそ攻撃でもペースを上げられずに(まあ最前線のフタに成り下がっていた両サイドも含めて!)、チーム全体が「擬似の、心理的な悪魔のサイクル」にはまってしまった・・。

 そんなジリ貧状況だからこそ、例えば鈴木啓太が「瞬間的な悪者」になるといった刺激が必要なのに・・なんて思っていました。それこそ、ホンモノのリーダーシップなのですが、どうも彼も「様子見」といった趣なのです。

 サッカーでは、「無作為ヴィールス」は、すぐにでもチーム全体に蔓延してしまう・・でも、そのヴィールスを駆逐するには大変なエネルギーが必要になってくる!!

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 前半の最後の頃には、少しはペースが良くなりはじめたレッズ。前半終了間際の42分に、タテパスを受けた田中がトリニータGKに倒されたことで得たPKをエメルソンが慎重に決めました。これで「1-2」。そんな、追いかける状況で入った後半だったのに、逆に、どんどんとレッズのペースがおかしくなっていったと感じたものです。

 それでも後半も10分を過ぎるあたりから、徐々に盛り返しはじめるレッズ。でも、どうも前後分断の傾向が払拭されず、仕掛けに変化が出てこない。難しい評価ですが、それでも個人勝負でチャンスを作り出してしまうレッズの底力はすごいとも言える・・。でもやはり、それでは将来はないから、もっともっと組織プレーマインドを前面に押し出さなければ・・なんて思っていた後半22分。何がどうなったのか、よく分からない状態でレッズが同点ゴールを入れてしまうのですよ。このシーンでは、永井がタテパスを受けたとき、トリニータ選手たちの足が完全に止まっていた(彼らは、アウトオブプレーだと勘違いしていた?!)。そして永井から長谷部にパスがわたってゴッツァンゴール!!っていう次第。トリニータ選手たちがものすごい勢いで抗議していたのですが、さてその内容は??

 同時に、エメルソンが相手のタックルでケガをしていました。このことも、トリニータ選手たちが足を止めた原因なのか?? 要は、エメルソンがケガをしたから、トリニータ選手がタッチにボールを出した・・それをレッズが素早くスローインしてゴールを陥れてしまった・・ということだったのでしょうか・・。申し訳ありませんが、よく分かりませんでした。これは後でビデオで確認するしかありませんネ。

 とにかく、レッズのゴールが入ったのと同時に、エメルソンがケガで交代しなければならなくなったのです。これは痛い・・。でもエメルソンと交代したのは、やる気満々の山瀬だから、期待も高まる・・。そして山瀬が、それからのレッズのホンモノのペースアップの原動力になっていくのです。

 前後左右に動きまわり、仕掛けの起点になりつづける山瀬。そこから、シンプルにパスをつなぐだけではなく、自分自身でドリブル勝負を仕掛けたりもする。相手にとっては、御しにくい、イヤな存在です。頼もしい限りじゃありませんか。

 そしてレッズが、(岡野と梅田の交代も効いたことで・・)いつ決勝ゴールが入ってもおかしくないというダイナミックサッカーを展開するのです。ギドが考える、相手に積極的にプレッシャーをかけつづける攻撃サッカー・・。スタンドも大盛り上がり。こちらも、チカラが入る。でも決勝ゴールを挙げたのは、クレバーなゲームを展開していたトリニータの方でした。見事な、本当に見事なカウンターでしたよ。

 あの状況で、あれだけの人数をかけたカウンターを仕掛けられるのだから大したものだ。トリニータは、このゲームでも良いサッカーを展開しました。前節でFC東京を敗ったのもうなづけるという高質なサッカー。それこそ彼らの「意志のパワー」。監督の意識付けのウデを感じます。たしかに個人的な能力の比較では他チームに劣るでしょう。それでも、オランダ人のハン・ベルガー監督が志向する「攻撃的なサッカー」が徐々にチームに浸透してきているということでしょう。この試合内容を観て、トリニータも、ちょっと気になる存在になりました。

 レッズにとっては、(試合終盤でのチャンスがあったから?!)悔やまれる敗戦だった? いやいや、ギド・ブッフヴァルト監督が言うように、全体的な内容からすれば、負けるべくして負けたという側面も否めない・・ということです。レッズ選手たちは、ビデオを見直すことで事実をしっかりと「体感」しなければなりません。特に前半の30分間に彼らが呈示したのは、相手を甘くみた(根拠のない高慢プレー姿勢!)、最低マインドのサッカーでした。

 とにかく、レッズが展開したサッカー内容の「揺動」を肌で感じ、「さて、これからだな・・ここから、コーチングスタッフのウデが問われる(学習能力が問われる)本当の意味でのチーム作り段階に入るぞ・・」と気が引き締まる思いをしていた湯浅でした。その意味では、この試合の観戦を選択して本当によかったと思っています。人間は、失敗からしか学べませんからネ・・。

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 私は、月曜日からシンガポール。日本代表のトレーニングで気付いたことがあればレポートします。

 それにしても「赤道直下の暑さ」が心配。アクリマティゼーション(気候順応)の原則からすれば、三日目というのが一番つらい日なのですが・・。忘れもしない、1998年フランスワールドカップへ向けた勝負のイラン戦(ジョホールバル!!)。そこでイランは、国内事情もあって、試合3日前にマレーシア入りしました。そのことを知ったとき、私はほくそ笑んだものです。「これで日本の勝ちだ・・」ってネ。実際イランは、後半に入ってからピタリと足が止まってしまいましたからネ。当時のイランは、もう寒い季節に入っていた・・逆にジョホールバルは赤道直下・・その気温差は、少なくとも20度以上はあった・・そして、その暑さからの疲労感がピークに達する3日目が試合当日だった・・。

 まあ日本代表には優秀なスタッフが揃っているから、そこらへんもしっかりとマネージされているはずですが、でもちょっと心配・・。

 明日の夜中に「ヨーロッパの日本人」レポートを上げてから出発します。では・・。




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