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オリンピック代表・・自信と確信レベルが格段に深化した日本オリンピック代表・・(ギリシャ対日本、1-1)・・(2004年4月21日、水曜日)

やはり、ギリギリの勝負を勝ち抜いたチームは一皮むける・・。特に日本チームの場合は、不確実な要素がてんこ盛りのサッカーにとって「アンチ」という部分が多い日本の社会体質という「皮」もあるから、二皮むけたということになるのかな・・。

 このゲームでの日本代表のプレーぶりからは、そんな表現をしても言い過ぎではないほどの自信と確信を感じました。ヨーロッパの勢力地図ではセカンドグループに属するギリシャが相手だということもありますが、それにしても彼らのホームですからね。やはり、自信と確信に満ちた立派なゲーム内容・・という評価が妥当でしょう。

 たしかにホームのギリシャが、高いテクニックを駆使して押し込んではきます。それでも自分主体の積極ディフェンスが有機的に連鎖しつづける日本代表は、その勢いをしっかりと受け止めるだけではなく、実効ある攻撃を仕掛けていくのですよ。やはり効果的な攻撃の(心理・精神的な!)基盤は、優れたディフェンスにありというわけです。もちろん、その守備の中心は、守備的ハーフコンビの今野と鈴木啓太。彼らが中盤で展開するディフェンスの起点プレーは、最終ラインの勝負プレーの確信レベルを引き上げただけではなく、アジア予選において、チームの勇気を喚起したものです。

 守備の起点プレーとは、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェイス&チェック。それがあるからこそ、周りのチームメイトたちの次の勝負所プレーに対するイメージも活性化されるというわけです。相手のボールの動きが見えるから、次の勝負所に対するターゲットイメージを明確に描くことができる・・。

 ゲーム展開ですが、田中達也の見事な先制ゴール(前半20分)の後は、徐々に日本の流れになっていきます。たしかにギリシャも何度かチャンスを作り出しますが、日本選手のウラを突いたチャンスメイクではないから(最後のシューターがしっかりとマークされているから)、完全な決定機と呼べるものは1度か2度くらいでした。

 そんなポジティブな日本の流れは、後半になって増幅したと感じます。平山に代わって高松、田中達也に代わって松井、大久保に代わって山瀬功治、鈴木啓太に代わって森崎(兄)、森崎(弟)に代わって根本。石川と今野を除いて中盤より前は、ほぼ「全とっかえ」状態ということになったのですが、そのことによって選手タイプのバランスが良くなったのでしょうか、組織パスプレーと、個のドリブル勝負が抜群のミックス度を魅せはじめたのですよ。前半のドリブル突貫隊長は、田中達也と石川直宏でしたが、後半は、松井大輔、石川、山瀬功治だけではなく、左サイドの根本も、どんどんドリブルでの最終勝負にチャレンジしていく。もちろん、しっかりとボールを動かすことで、相手ディフェンスブロックの薄い部分を突いていくというイメージを基盤にして・・。

 それにしても、後半の日本代表が、ゲーム内容で完全に凌駕していたから、ロスタイムに入ってギリシャに奪われた同点ゴールは惜しかった。ヘディングでの競り合いに二人の選手が集中してしまったことで、そのこぼれ球を待っていたカペタノスが完全にフリーになってしまったというわけです。それは、根本がカペタノスの動きを予測していれば・・というシーンだったわけですが、それもまた学習機会ということです。内容的には、完全に日本のものだったから惜しい引き分けということになりました。残念で仕方ありません。

 自信と確信のレベルが発展しつづけている日本オリンピック代表。彼らに対する期待が高まった一戦でした。

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 さて私は、明日からヨーロッパ出張です。ハンガリー代表、チェコ代表とのトレーニングマッチ観戦の後は、ドイツでの所用が待っています。もちろんブンデスリーガも観戦します。まあ、サッカー以外のことでも、気付いたことがあれば、時間を見つけてレポートするつもりですので・・。




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