試合の立ち上がりは、スウェーデンに押し込まれました。やっぱり実力差はいかんともし難いかな・・何といっても相手は昨年のワールドカップ準優勝チームだし、身体の大きさが違う・・女子のレベルだったら、まだまだ体力勝負という側面が強いだろうから・・なんてことを、軽率にも考えていた湯浅なのですよ。でもそんな軽率な印象が、すぐに逆転してしまうのです。日本が、自分主体の忠実&ダイナミック&クリエイティブな組織ディフェンスをベースにした素晴らしいサッカーでガンガン押し返しはじめたのです。身体のサイズが一回り違う日本の女傑連中が、大女たちを翻弄するシーンが目立ちはじめた・・。やっぱりサッカーでは、身体の大きさは関係ない・・。そんな大原則を、世界中に再認識させた日本女子代表?! その視点でも、まさにサッカーの本質的な魅力を地でいったというゲーム展開だったのです。
忠実でダイナミックな守備。もちろんそれは、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対する忠実でスピーディーなチェイス&チェックアクション、ボールのないところでの忠実マーク、次のパスに対する読みもをベースにしたインターセプトチャレンジ、相手のボールの動きの停滞をイメージした協力プレスアクション等々、それら一つひとつのアクションが有機的に連鎖しつづけるディフェンスのこと。まさに「これぞ、本物の守備意識!」ってな具合なのです。それに対する相互信頼があるからこそ、次の組織的な攻撃にも勢い(人数)を乗せることができる。互いに使い、使われるというメカニズムに対する深い理解をベースに、極限の積極性で、攻守にわたって仕事を探しつづける女傑たち。
それにしても、大女たちを翻弄する組織的な仕掛けは壮快そのものじゃありませんか。スウェーデンは、1対1のボール奪取勝負に持ち込もうとするけれど、そんな相手のディフェンス意図を、スッ、スッという軽快なパスワークでかわしてしまうナデシコたちなのです。もちろん、相手守備ブロックのウラに広がる決定的スペースへのパスをイメージしながらの展開。まさに、人とボールが、素早く、広く動きつづける高質な攻めなのですよ。日本にとっての理想的なサッカーを体現しているとさえ感じさせてくれる女子代表。あ〜、アイデンティティーが深化する・・。
彼女たちの見事な勝利の証人になりながら、そこまで選手たちの戦術的アイデアをシンクロさせ、そこまで彼女たちの主体的プレー意志をモティベートした上田監督に対して、心からの称賛の拍手をおくっていた湯浅でした。