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オリンピック男子サッカー・・「世界」との間にまだ厳然と横たわる「最後の僅差」を、骨身にしみて体感させられたゲーム・・(日本vsイタリア、2-3)・・(2004年8月16日、月曜日)

あ〜あ・・でもまあ、内容的には仕方のない順当な結果になった・・とにかく選手たちは、この学習機会を、何としてでも次につなげなければならない・・彼らには、その義務が課せられている・・。

 ラジオ文化放送から帰宅してレポートを書きはじめたのですが、どうも乗らない。とはいっても書かないわけにはいかないから、とにかくファーストインプレッションだけは短くまとめておこうとキーボードに向かった次第。文化放送のスタジオでは、こんなコメントをしていたように覚えています。

 立ち上がりの日本代表のサッカーには、期待された勢いが感じられなかった・・まずしっかりとゲームの流れを体感することからゲームに入っていったのだろうけれど、そんな「引き気味」の雰囲気が先行するなかで、唐突に、まさに唐突に先制ゴールを奪われてしまう・・それも派手なオーバーヘッドキックで・・またその5分後には、一発のタテパスからジラルディーノに追加ゴールを決められてしまう・・この二つの失点シーンでは、日本ディフェンスの甘さが如実に感じられた・・先制ゴールシーンでは、自分の背後に入り込まれた今野のマークが後手にまわってしまったことで派手なゴールを決められてしまったわけだけれど、もし今野がしっかりとタイトにマークし、シュートを決めたデ・ロッシにピタリと身体をあずけられていたら、あのオーバーヘッドシュートは危険なプレーとしてファールになっていたはず・・また二点目のシーンでも、オフサイドかもしれないという自分の主張がアタマの半分を占拠していた茂庭が、中途半端なディフェンスアクションで簡単にマタを抜かれてシュートを決められてしまった・・そのシーンこそが、フットボールネーションとの最後の僅差を象徴していたのかもしれない・・。

 その後、前半21分に、阿部の豪快なフリーキックが決まって「2-1」と追いかけ体勢に入ったあたりから、日本選手たちの積極レベルが徐々に高揚しはじめたと感じた・・でもまだ足りない・・そんなタイミングで、(選手たちの積極性が足りないことに対して)フラストレーションをためていた小野伸二が、あるプレーで、レフェリーに詰めよってイエローカードを受けてしまう・・その剣幕は、まさに尋常ではなかった・・それは、あのワイルドな大久保でさえも必死に止めに入ったくらいに強烈な抗議だった・・もちろん小野には明確な意図があった・・「とにかく、ヤツらは何らかの刺激を必要としている。ここはオレがやらなければ」・・そしてそこから、本格的に日本のプレーが活性化していったと感じた・・もちろん真の中盤リーダー小野伸二を中心にして・・。

 この試合での小野伸二は、本当に素晴らしいプレーを披露した・・展開のコアとしてだけではなく、決定機を演出するファイナルパサーとして・・また、中盤守備の穴埋め役としても素晴らしい判断力と行動力を披露した・・彼は、フル代表でもなくなはならない存在だということを再認識させた・・。

 ただ、やはりそこはイタリア・・ペースアップしてきた日本代表をあざ笑うかのように、一発のカウンターで追加ゴールを奪い取ってしまう・・前半36分・・そこでは、最初のタテパスが最前線のジラルディーノにわたったときから、左サイドをオーバーラップしてくるモレッティーへのサイドへ開くパス、そしてそこから送り込まれるクロスボールまで、かかわった3人のイタリア選手たちが明確にイメージしていたと感じられた・・それこそイタリアのツボ・・まさに世界レベルのイメージシンクロコンビネーションだった・・そしてゲームは「3-1」となり、後は、イタリアの強力なディフェンスを日本チームが体感させられることになる・・。

 前述した、日本チームの「守備での甘さ」は、イタリアチームには無縁のもの・・たしかに後半の日本はイタリアを押し込みつづけ、何度かチャンスも作り出したけれど、結局は、攻めさせられ、シュートを打たせられていたという表現の方がピタリと合致するという展開だった・・結局日本代表が、流れのなかでイタリア守備ブロックの「ウラ」に入り込んでシュートを打つというシーンは皆無だった(後半早々に松井がフリーで抜け出したシーンくらいかな・・)・・またシュートを打ったシーンでも、常に一人、二人とプレッシャーをかけていたし、シュートも確実にブロックされていた・・日本選手たちは、そんなところにも、世界との僅差を体感していたに違いない・・だからこそ、このような勝負マッチは、かけがえのない学習機会なのである・・だからこそ、それを無駄にしてはならず、確実に次につなげなければならないのである・・。

 まあ、そんなコトを喋っていたように記憶しています。もちろん、そんなコメントの「行間」で、「勝負はボールのないところで決まる・・」とか「不確実性要素が満載のサッカーというボールゲーム」とか「プレーを有機的に連鎖させることの重要性」とか、いくつかのベーシックな概念を挿入したことは言うまでもありませんよね。そして、その概念を、勝負所でのディフェンス・コンテンツで明確に感じられた「世界との僅差」というポイントに収斂させていったというわけです。

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 ところで木曜日の朝方に行われるガーナ戦ですが、それって、日本オリンピックチームにとって大変に重要なゲームですよね。何といったって、そんな学習機会はまたとありませんからね。強いガーナは、日本対イタリアと同時刻に他会場で行われた第二戦で、パラグアイに「2-1」と競り勝ちました。シュート数では完全にガーナが凌駕していたから、彼らが、内容でも結果でもパラグアイに完勝したと言えそうです。その結果、リーグの状況は、イタリアとガーナが「勝ち点4」で並び、それを勝ち点3のパラグアイが追うという展開になりました。最終戦は、日本対ガーナ、イタリア対パラグアイ。ということでガーナはもちろん勝ちにくる。だからこそ日本チームにとって願ってもない学習機会になるというわけです。また日本の若武者たちには、全敗じゃ帰れないという意地もあるでしょうしね。期待しましょう。

 またまた、誤字・脱字・乱文、ゴメンナサイ。前回のレポートでも、読者の方から、万円(蔓延が正解!)とかビールス(ウイルスが正解)などの間違いをご指摘いただきました。でもまあ、そんなことに気を遣っていたら、次のストーリー探索にエネルギーを割けませんから放ってありますがネ。ということでご容赦アレ。

 



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