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局面でのサーカスプレーを積み重ねた足許サッカー・・それだったらレアルの方が数段上だよネ・・(ヴェルディーvsレアル・マドリー、0-4)・・(2004年8月1日、日曜日)

あ〜あ・・ジェフとのフレンドリーマッチの方を観にいけばよかった・・。

 昨日おこなわれたヴェルディー対レアル・マドリー。両チームが展開する退屈な「足許サッカー」を観ながら、そんなことを思っていました。局面でのサーカスプレーを積み重ねる足許サッカー・・。ヴェルディーはいつものことだけれど、レアルまで・・。相手のサッカーに合わせ、「ヤツらが相手だったら、このサッカーで十分・・足許サッカーだったら、オレたちの方が数段上だぜ!」ってな具合だったのかも・・。

 レアルには、ジェフとのゲームで魅せたような、局面でのエスプリプレーを素早く連鎖させ、ボールがないところでのクリエイティブな動きをベースに相手守備ブロックのウラを突いていくような「高質シンプルプレー」を積み重ねた魅惑サッカーを期待したのに・・。要は、その試合では、ジェフのサッカーがレアルの本気を引き出したということだったのでしょう。もう一つ、ジェフ戦では「最前線のフタ(もちろんロナウドのこと!)」が出場しなかったことも、レアルのサッカーが活性化した背景にあった?!

 数日前におこなわれたジェフ対レアル・マドリー戦。所用で国立競技場まで行けるかどうか分からなかったからテレビで観ることにしたのですよ。まあ、「どうせフレンドリーマッチだろ・・」という気持ちもあったわけですが、フタを開けたみたら・・。テレビ画面に映し出されるその高質サッカーを観ながら、心から「失敗した!!」と思ったものです。こんな素晴らしいダイナミックサッカーが観られるのだったら、仕事の予定をズラしてまでも国立競技場に駆けつけたのに・・。そんな悔しい思いがあったからこそ、昨日の試合を観にいくことにしたわけです。でも、読みが甘かった・・。しっかりと(レアル対戦相手が展開するサッカーコンテンツを)考えていれば、おのずと観戦スケジュールが決まっていたはずなのに・・。甘く見てスミマセンでした、オシムさん・・。ジェフ対レアル戦については、先日のコラムでもちょっとふれましたので・・。

 ところでレアルの魅惑サッカー。2002年のトヨタカップで来日したレアルの前日トレーニングを観察した感想を、当時連載していたサッカーマガジンのコラムで発表したので、ついでに掲載しておきます。

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 あっ、見た。

 トヨタカップに臨むレアル・マドリーが、その前日に公開練習を行った。ハーフコートでの、10対10のボールキープゲーム。美しいプレーが目の前で繰り広げられ、取り囲む報道陣から溜息がもれる。こんな狭いゾーンでも、ダイレクトパスやワントラップ&パスを織り交ぜながら素晴らしくスムーズなボールの動きを演出してしまう。もちろんトラップするときには、相手モーションの逆へボールをカットしたり、フェイントを入れるなど、エスプリプレーをふんだんに散りばめながら。たしかに彼らは、今世紀最高のチームという称号にふさわしい。

 そのなかでボクは、選手たちの「目」を注視していた。パスを受ける直前の目。そして「あっ、見た」と、冒頭の声が出てしまったというわけだ。パスがくると確信したとき、ジダンが、チラッとラウールへ視線を投げたのだ。そして次の瞬間、ラウールの短いフリーランニングと、ジダンからのダイレクトパスがピタリとシンクロした。三人目の動きへつなげる見事なコンビネーション。鳥肌が立った。

 ポンポンと素早く「足許範囲」のパスをつなぎながら、最後は例外なくスペースを狙う。それこそ、彼らが標榜するサッカーのエッセンスだ。素早く、広いボールの動きをベースに、相手守備の薄い部分を突いていく・・。

 ハーフコートでの10対10。スペースは狭い。コンパクトになっている現代サッカーの状況を、より極端に再現しているのだ。そんな状況でもレアルの選手たちは、苦もなくボールを動かしつづける。スペースパスでは連携ミスもあるが、そこには、走り込まなかった方が悪いという雰囲気さえ感じられる。まさに、「本物」である。

 ところで、一緒に観ていた知り合いのサッカーコーチが、「これをJのチームでやったら、すぐにグチャグチャになってしまいますよ」と声をかけてきた。夢を見ていたボクは、急に現実に引き戻された思いがしたものだ。まあ確かに、同じトレーニング目的と条件設定だったら、ニッチもサッチもいかなくなるだろうな・・。

 トレーニングは、目的に応じて、ボール、選手、ゴールやフィールドなどの「要素」、また様々なルール設定などの「条件」を効果的に設定しなければならない。だから、傍目には同じ形式のトレーニングでも、内容はまったく違うというのが普通なのだ。

 ハーフコートでの、10対10のボールキープゲーム。レアルの場合は、組み立てと仕掛けのプロセスにおけるイメージ連鎖のレベルアップが目的だろう。だから、ディフェンスを抑え気味にしていた。ただ同じ形式のトレーニングでも、条件設定によって、素早いトラップ&パスや、ダイレクトパス、事前のアイコンタクトといった技術的なものから複雑な戦術テーマまで、いくらでも目的を変えることができるというわけだ。もちろん最終的な実効レベルが、コーチのウデによって大きく左右されることは言うまでもないわけである。

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 次のレポートは、アジアカップでの日本対バーレーン戦ですかネ。それでは、また・・。

 



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