攻撃での戦術的能力とか、戦術センスなんて呼ばれているモノの本質は、やはり組織プレーによる仕掛けコンテンツの「質」のことであり、スペース活用の「量と質」のことですよネ。パスを出す方と、スペースでパスを受けようとするパスレシーバーの両者が脳裏に描く勝負イメージのシンクロ状態。そのレベルが高ければ守備も伸びる。高いレベルの攻撃を受け止めなければならないディフェンスレベルも自然と高揚していくというわけです。守備と攻撃は、常に表裏一体という次第。
組織プレーによる仕掛けを活性化しながら、そのなかに効果的に個人勝負プレーをミックスしていくマリノス。この試合では、ドゥトラや田中隼磨、また前線の坂田のドリブル勝負だけではなく、ケガから復帰した上野のチャンスメイクセンスも存分に活かされていました。まあ上野の場合は、あまりケアーされていなかったことで(?!)、多くのケースで後方でフリーでボールを受けられていましたからね。相手は上野の怖さを知らない・・逆にチームメイトたちは、上野の能力をよく知っているから、前が詰まったらボールを彼に集めようとする(躊躇なく、後方でフリーになっている上野へボールを戻す・・)・・そして上野のパス能力に対する信頼をベースに、時には彼にボールがわたる前のタイミングで既に前線での勝負フリーランニングをスタートするなど、ボールがないところでの勝負プレーを活性化する・・。マリノスの先制ゴールは、まさに「この展開イメージ」が功を奏したものでした(田中隼磨から上野へのバックパスをダイレクトでシュート!)。上野もやっていて楽しかったに違いない・・。
深センは、たしかにボールキープ率は互角に近いけれど、仕掛けコンテンツの「戦術的な質」ではマリノスに凌駕されっぱなしです。シンプルなリズムでパスを回しながら(そのリズムに対するイメージのシンクロが重要!)、ボール周りのゾーンが詰まったら、チョン!とサイドチェンジパスを回したり、最前線でスペースへ走るトップ選手へパスを付けて(クサビ!)周りの味方がタイミングよく上がって組織的に仕掛けていく・・また、そんなリズムのなかに爆発的な勝負ドリブル(多くは、ドゥトラと田中隼磨の両サイド!)やタメなどの効果的な個人諸部プレーをミックスしていく・・。なかなかのものじゃありませんか。
この試合内容を観ながら思っていました。たしかに身体能力やテクニックでは中国も相当なモノだけれど、やはり戦術的なレベルじゃ、日本と韓国に大きくリードされている(第一戦の、韓国チャンピオン水原サムスン・ブルーウィングスと深センとのゲームは、3-1で水原の大勝!)・・そのことは、昨年のアジアカップでも明確に感じられたしな・・それには文化的な背景ファクターもあるだろうし、社会体勢的(政治的・社会体質的)な背景ファクターもあるんだろうな・・それって、アフリカが抱える課題にも共通するかもしれないな・・等など。
現象面では、中国チームがうまくウラを取られっぱなし(スペースを使われっぱなし)ということになります。常に自分たちが描く守備イメージのウラを突かれてしまう・・。フラストレーションがたまるのもうなづけるのですが、それにしても中国チームのラフプレーは醜いくらいに目にあまる。フ〜〜。
あっと・・マリノスの追加ゴールも素晴らしかったですよ。右サイドを突破した田中隼磨から、中央ゾーンに入り込んだ熊林にピタリと合うラスト(グラウンダー)クロスが送り込まれ、それを熊林が、ダイレクトでビシッとたたき込んだビューティフルゴール。思わずガッツポーズが出たりして・・。何せ、相手のラフプレーにアタマにきていましたからネ。
次は、優勝をかけた勝負マッチ。相手は水原サムスン・ブルーウィングスです。第二戦では、浦項スティーラーズと「2-2」の引き分けだったけれど、シュート数は、水原の方が二倍のシュートを放ちました。強い相手です。それに、(得失点差は同じだけれど)総得点で水原が上回っているから、マリノスが優勝するためには引き分けではダメ。さて・・。この試合は、2月19日(土曜日)1330時より日本テレビで生中継されるとのこと。お互い、とことん楽しもうじゃありませんか。