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05_久しぶりのブンデスリーガ・ライブ観戦・・ガンバレ、高原直泰!・・(2005年10月19日、水曜日)

どうも皆さん、ちょいとご無沙汰してしまいました。ウクライナ戦の後、ドイツでサッカー関係者と懇談したり、ブンデスリーガを観戦したりと、この数日間は自身の想像力を高揚させるための充電期間に充てていた次第。ということで、まだ外国。先週末の「J−レポート」を期待されてアクセスされた方々には申し訳ないことをしたと思っています。

 それにしてもガンバは強いね。しっかりとリスクにチャレンジするなかでも勝ちつづけているのだから立派。魅惑的な攻撃サッカーと勝負強さという、ある意味で背反するファクターをうまく高みでバランスさせている。もちろん、優れた個の才能をうまく活かすという発想をベースにしてネ。汗かきの仕事も含め、個の才能を存分に発揮させるという視点でも、西野監督は良い仕事をしていると思います。またレッズですが、今節は、レイソルを相手に完勝したとか・・。まあこちらはインターネットで結果を拾うしかないわけだけれど、数字的な経過からも、何かフッ切れた部分があったのかもしれない・・なんて感じました。中盤ディフェンスでの有機的な連鎖コンテンツが、以前のように、再び本当の意味で活性化しはじめたのかもしれない・・とかね(このことについては、ナビスコ準決勝レポートも参照してください)。でも田中達也のケガには本当にガッカリしてしまいました。日本人には希な、勇気ある実効ドリブラーの田中達也。ここまで順調に発展をつづけた彼は、必ず世界舞台でも日本代表の大いなる武器になるはずです。出来る限り早い回復を願って止みません。とにかく田中達也には、本を読んだり、有意義な人々と知り合ったり等々、この時期を、人間的&哲学的な発展のために最大限に活用してもらいたいと願っている湯浅なのです。

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 さてブンデスリーガ。先週末は、まず土曜日にハンブルグで、ハンブルガーSV対ヴォルフスブルクを観戦。翌日の日曜日には、ケルンで1FCケルン対ハノーファー96戦での興味深いゲームコンテンツに目が釘付けになりました。両方ともホームチームが敗れるという波乱の結末(ここでハタと、順当と波乱という表現が意味するところを反芻してみる湯浅だったのです!・・何という浅はかな言葉の遊びでしょうか・・)。とにかくその結果は、アウェーチーム(ヴォルフスブルクとハノーファー96)が、効果的なゲーム戦術を最後の最後まで集中して徹底したことによる成果に他なりませんでした。

 全体としては、ヴォルフスブルクもハノーファーも、しっかりと守備を固め、なるべく高い位置でボールを奪い返して鋭いカウンターを仕掛けるという発想です。ただヴォルフスブルクは、早い時間帯(前半19分)に、ハンブルク守備陣のミスをうまく突いて得点できたことが大きかった(この試合唯一のゴール!)。このところのハンブルクの攻撃は、素早く、広く、人とボールを動かすことで相手ディフェンスのポジショニングバランスを崩し、その穴へ向けて、ファン・デル・ファールトやバルバレスといった才能たちとバインリッヒ&ヤロリームといった働き蜂たちが、組織パスと個人勝負をうまく併用しながら最終勝負を仕掛けていくという構図で成功を収めていたのだけれど、この試合でのヴォルフスブルク守備ブロックは、そんなハンブルクの仕掛けプロセスを完璧にイメージし、常に「勝負所」で数的に優位な状況を演出するというクレバーなディフェンスを展開していました。

 それには、ヴォルフスブルクが早い段階で先制ゴールを挙げたということもあります。よりモティベートされた守備ブロック・・対して、どうしても先を急ぎ過ぎるようになってしまうハンブルク・・。ヴォルフスブルク守備では、バイエルン・ミュンヘンでも活躍したギニア代表ティアムが主導する中盤守備ブロックだけではなく、最終ラインでも、アルゼンチン代表キローガの素晴らしいリードが光っていました。彼らによってことごとくチャンスを潰されるハンブルク。この試合は、ハンブルク監督トーマス・ドルが自ら語っていたように、ヴォルフスブルクの冷静で集中したディフェンスに対し、焦りが前面に出すぎたことで自ら墓穴を掘ってしまった・・ということでしようかね。

 最後の10分というタイミングで、守備的ハーフのヴィッキーに代わって登場した高原直泰。良かったですよ、本当に。そのアグレッシブに勝負を仕掛けていくプレー姿勢は、依然として彼の「フォーム」が高みで安定していることを証明していました。まあ時間がないことで、ちょっと「個の勝負」に奔りすぎた感もあったけれど、シュートを打つという攻撃の目的にとって明確な実効を伴っていたからアピール度は高かった。決してビビることなく自信をもって突っかけつづけていたし、突破が無理でも、決して「逃げ」ではない前向きな展開パスを回したりと、10分間で魅せられる存在感としては、もう最高レベルでした。要は、味方選手たちにもジャーナリストたちにも、そして観客に対しても、「ヤツは出来る・・」という強烈な印象を残せたということです。とにかくこれからも、そんなフッ切れた積極プレーをつづけることが大事。継続こそパワーなのです。ガンバレ高原!

 一方、ケルン対ハノーファーだけれど、この試合は、もう完全にアウェーのハノーファーが主導権を握ったというゲームでしたね。そこでも、ハノーファー守備ブロックの機能性ばかりが光りつづけた。「コンパクトなサッカーをすることがテーマだった」、試合後、ハノーファー監督のエーヴァルド・リーネンがそう語っていました。「たしかに試合の立ち上がりにケルンにゴールを入れられなかったことが大きかったし、後半になって、ケルンに先制ゴールを奪われたすぐその後に同点ゴールをもぎ取れたことも大きかった・・今日は試合の流れのタイミングが我々に味方したということだけれど、でも全体的には、常にコンパクト戦術を維持しつづけた我々のサッカー内容が勝っていたことも確かな事実だった」。まあまさにそういうことでしょうね。とにかく、ボール奪取勝負でのアクションの量と質が違う・・その後に前方のスペースへ飛び出していくボールがないところでのアクションの量と質も違う・・。そんなハノーファーが展開する忠実&ダイナミックなサッカーを観ながら、まさにオシム・ジェフだよな・・なんてネ。

 試合が1-3となったところで(結局は1-4で試合終了!)、満員(5万人)だった観客が帰りはじめ、試合終了時点で残っていたのは「サウス・カープ」のサポーターグループだけということになってしまいました。この内容だったら、ケルンの観客の皆さんが怒るのも無理はない・・。ケルンは私の「心のマイチーム」でもあります。何せ1970年代にドイツ留学したときのホームタウンでしたからネ(ケルンのスタジアムのうすぐ裏手に、私の母校であるケルン体育大学がある)。だから私も、情緒的にはガッカリしていましたよ。何だ・・だらしない・・。でも逆に、ハノーファーが展開した爽快な「アウェー用の戦術サッカー」を心から楽しんでいたことも確かな事実でした。サッカーには、本当に色々な楽しみ方がありますよね・・あははっ・・。

 ところでケルン対ハノーファー。最後の最後になって、ものすごく興味深い「レフェリング・ドラマ」がありました。ワンツーから抜け出したルールリンク(以前の小野伸二のチームメイト)が、飛び出してきたハノーファーGKに引っかけられて転倒した・・というふうに「見える」シーン。すかさず主審のマルクス・メルクさん(Dr. Markus Merk__ドイツを代表する世界最高峰のレフェリー)がPKのジャッジを下します。でもそのすぐ後に、しっかりと確かめるために副審のもとに駆け寄って協議するのですよ。もちろん副審がフラッグを振ってアピールしていたからなんですが、その態度の毅然としていたこと。「当たり前だよ・・レフェリーだってミスをする・・だからこそパートナーの副審がいる・・彼らは私の信頼できるパートナーなんだよ・・」なんていうフェアなゲームマネージメント姿勢が光り輝いていました。そして副審の意見を採り入れ、そのままルールリンクの元へ駆け寄ってイエローを提示し、彼が「演技で」倒れたポイントからのハノーファーのフリーキックで試合を再開させる・・その判定のくつがえりにケルン選手たちも抗議するけれど、まったく勢いがなく、数秒で抗議が霧散してしまう・・そしてメルクさんの存在ばかりが光り輝きつづける・・っちゅう素晴らしいシーンでした。

 その後のスロービデオ確認では、「あれ」がルールリンクの演技だったことは明白でした(まあ名演技だったよね)。そのスロービデオは、プレスルームで、友人のフリージャーナリスト、グレゴール・デリックスと一緒に観ていたのだけれど(以前の彼との対談記事はこちら)、彼が「メルクは、つい先日も、一度認めたゴールをくつがえしたよ・・まあ素晴らしいレフェリーだよな・・」なんて言っていました。ちなみに、後日の「キッカー誌」でも、メルクさんの評価は「100点満点」。コメントでは、「まったく目立つことなく、素晴らしいゲームコントロールを魅せた・・ほとんどミスがなかった(この「ほとんど」という表現に、ドイツサッカー文化の深さを感じる!)・・ルールリンクに対するイエローは正当であり、素晴らしいメルクの判断と決断だった・・」と絶賛していました。いや、素晴らしい・・。

 さてこれで、ここまで無敗を誇っていたハンブルクも負けた(三位に後退)・・首位だったバイエルンも、引き分けたことでブレーメンに首位を譲った・・。立ち上がりはバイエルンの独走か・・なんていう悪い雰囲気だったけれど、ハンブルクとブレーメンの頑張りがリーグを盛り上げてくれるようです。私は、この週末から「J」に復帰します。ではまた・・


 



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