トピックス


05_チャンピオンズリーグ・・レアルの憂鬱!?・・(2005年9月29日、木曜日)

簡単に、ごく簡単に、「レアル・マドリーの現状」を考察してみようと思いキーボードに向かいました。要は、昨日のオリンピアコス(ギリシャのアテネを本拠地にする歴史ある有名クラブ)戦に、私のレポート・モティベーションをくすぐるコンテンツがあったということです。ということで、自分自身のメモとして簡単なコラムをアップすることにした次第(わたし自身の学習プロセスのキックオフ!?)。

 この試合のレアルは、勝利を収めたし、ゲームを通したチャンスの数でも、相手のオリンピアコスを圧倒していました。そこでは、ラウールがヘッドで挙げた先制ゴールのアシストも含め、ベッカムのロングパス(タテへの仕掛けパス・サイドチェンジパス・クロス・・等々)が冴えわたっていましたよ。とはいっても、レアルが、本当の意味で内容的に圧倒していたのは前半の半ばを過ぎたあたりまででした。それは多分に、オリンピアコス守備ブロックの、ボールがないところでの守備の稚拙さが原因でした。ラウールにフリーで決定的スペースへ入り込まれた先制ゴールのシーンを観ていて、これじゃ、あと何点入るか分かったものじゃない・・なんて思った者です。

 でもそれ以降は、オリンピアコスがレアルの攻めリズムに慣れ、逆にレアルのボールがないところでのプレーコンテンツが減退していったこともあって、オリンピアコスの守備が落ち着きを取り戻していくのです。こうなったらオリンピアコスにチャンスが巡ってくるのも道理。その流れのなかでカフェスが、見事なロングシュートから同点ゴールを入れたというわけです。後半3分のことでした。そしてゲームが、まさにオリンピアコスの狙いそのままの「膠着ゲーム」に陥っていくのです。その倦怠感あふれる雰囲気は、観ている者すべてを、「このまま引き分けだな・・」と確信させるに十分なものでした。以前のレアルには、そんな倦怠ムードを「自分たちの意志」で振り払ってしまえるくらいの爆発的なポテンシャルがあったのに・・。

 いまのレアルは、「ブラジル」へ突き進んでいると感じます。それまでのロベカルとロナウドに加え、ロビーニョとジュリオ・バプティスタが加入してきたのですからね。あっと・・監督のバンデルレイ・ルシェンブルコさんも忘れてはいけません。選手のなかでは、特にジュリオ・バプティスタ。彼は、仕掛けのリズムを司ります。もちろんそのリズムは、まさに「ブラジル」。ゆったりと余裕をもったポゼッションから急激なテンポアップを意図するのです。またロビーニョにしても、最前線からの守備はおざなりだから、もう一人のロナウドが入ってきたのと同義。要は、最前線のフタが「二枚」になったっちゅうことです。

 「ブラジル」になるためには、仕掛けリズムに対して、チームの全員が「同じイメージ描写」ができなければなりません。それができれば、もちろん天賦の才が光り輝くんだろうけれどネ。これは時間がかかるな・・。彼らのサッカーを観ていて、そんなことを感じたものです。

 私が言いたかったのは、これまでのレアルでは、決して「ブラジル」が主体になることはなかったということです。あくまでもヨーロッパ的なスマートな組織プレーを基盤にして、そこに個のエスプリプレーがタイミング良くミックスしていく・・。もちろん、「ブラジル」が主流になり、選手たち全員がそのリズムを効果的にシェアできるならばハナシは別なのだけれど・・。いまのレアルは、とにかく中途半端だと感じますよ。これでジダンがケガから復帰したらどういうことになるんだろうね。いまのレアルには、サッカー内容をめぐるチーム内ストラグル(葛藤)に耐えうるだけの余裕などありませんよね。健全なチームだったら、そのストラグルが生み出す緊張感によってチーム力が倍加するけれどネ・・。

 それに、トーマス・グラヴェセンを先発に起用しない(数日前のリーグ戦でもそうだった!)という方針にも、ちょっと驚いていますよ。これじゃ、チームに、本当の意味での汗かきがいなくなってしまう。これでは、ちょっと強いチームとやったら、簡単に、ボールがないところで勝負を決められちゃうだろうネ。守備では、「肝心な勝負所を抑える作業」には、その前の準備作業において、多大な汗かきパフォーマンス(大人の忍耐力!)が必要なのですよ。それがあってはじめて、華麗なインターセプトや、効果的なボール奪取勝負が可能になるというわけです。

 とにかく、いまのレアルが置かれている状況と、これからの展開に対して大いなる興味がわいてきた湯浅だったのです。

 



[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]