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2005年、海外注目マッチ・・自信&確信レベルの高揚とリスクチャレンジあふれるダイナミックプレーの善循環が回りつづけているからこそ、クリエイティブプレーも前面に出てくるようになった・・(ドイツ対アルゼンチン、2-2)・・(2005年2月12日、土曜日)

すごいネ〜〜、誰もが体感できるほどの明確な発展をつづけているドイツ代表。相手は、組織プレーと個人プレーが世界最高レベルでバランスしている才能集団アルゼンチンですからね、その体感レベルは推して知るべしってなところ。

 最後は、カンビアッソとクレスポのコンビによる抜け目ないゴール(フリーキック場面・・カンビアッソが、左サイドでクレスポをフリーにしてしまうというドイツ守備陣の一瞬のスキを突いて素早くパスを出す・・そのボールを素早くコントロールしたクレスポ・・ドイツGKレーマンのポジションを確認してから見事なアタマ越えのロビングシュートを決めた・・まさに抜け目のないクレバーゴール!)によって引き分けてしまったけれど(結局、2-2)、全体的なサッカー内容で完全にアルゼンチンを凌駕した高質なドイツ代表のプレーは高く評価されてしかるべきモノだったのです。

 もちろん「寒い気候のホームゲーム」だったということもあるけれど、それは、ユルゲン・クリンズマン監督によって、ドイツ代表の選手たちのマインドがどんどん活性化されていることをまたまた体感・再認識させられたゲームでした。

 ドイツ的なダイナミズムのなかに、しっかりと実の詰まった創造性プレーも随所に魅せてくれたドイツ代表。昨年暮れに彼らが来日したタイミングでユルゲン・クリンズマンに対して行った単独インタビューをもう一度読み返しながら、彼のチーム作りコンセプトを頼もしく思っていた湯浅でした。

 まさにそれこそが、ホンモノの守備意識・・まさにそれこそが、それぞれの守備プレー(守備イメージ)が有機的に連鎖しつづけるブレッシングサッカー・・まさにそれこそが、常にタテへ仕掛けつづけるアグレッシブオフェンス・・まさにそれそが・・ってな具合。そんなパワーとスピードのなかに、しっかりとしたテクニカルプレー(エスプリプレー)も調所にミックスするドイツ代表。最初から最後まで、攻守にわたってパワーと創造性がうまくバランスした高質なサッカーを魅せつづけてくれたドイツ代表。自信と確信レベルの高揚と、攻守にわたるリスクチャレンジあふれるダイナミックプレーとが相互に補完するような善循環が回りつづけているからこそ、クリエイティブプレーも前面に出てくるようになったということです。

 そんな目を見晴らさせるほどのダイナミックなドイツ代表のプレーを観ながら考えていました。「やっぱり気候条件は、その国のサッカー内容に大きな影響を与えるよな・・」。そういえば、以前「ナンバー」の企画でクリストフ・ダウム(現トルコ・フェネルパフチェ監督)と対談したときに、ヤツも同じようなこと言っていたっけ・・。

 「サッカー内容には気候的な環境が大きく影響していると思う・・ドイツは寒いから、人々は確実に生き延びることを発想のプライオリティーに置く・・それがサッカーにも反映されているということさ・・南の人々だったら楽しむことを人生の主眼におくだろ・・それが、個人プレーがコアになったテクニカルなサッカーに反映されている・・美しく魅力的なサッカーをやることを中心テーマに置く国がある・・逆に、勝負を中心的なテーマにしている国がある・・ドイツは、どちらかといえば後者だから、よりアスレチックで、軍隊的な傾向が強くなる・・逆に、だからこそ、あくまでも組織プレーをベースにプレーしながらも、ここぞの場面では、自らの才能を存分に発揮する個人プレーで打開していくようなクリエイティブ系プレイヤーだって輩出できているんだよ・・」等など。ちょっと最後は、テーマが違う方向へ発展していったけれど、とにかくヤツも、気候条件が「サッカー文化」に与える影響は大きいと考えているわけです。

 寒いからこそのダイナミックサッカー?! まあ、全体的な傾向としては、そういうことになるのかな・・。私のインタビューで、ユルゲン・クリンズマンも同じようなことを言っていたよネ。「すべての国には、それぞれの特性がある・・ドイツは、ブラジルのようにプレーしたことはない・・ドイツサッカーの特性は多分、意志の強さとか集中力の高さ、また、精神的なプレッシャーに強く、ハイテンポ・ハイプレッシャーのサッカーを展開できるなんていう表現に落ち着くかもしれない・・」。

 さてドイツのダイナミックサッカー。そのベースは、もちろん守備にあります。そのディフェンスには、局面的なリスクチャレンジを積み重ねていく活力に溢れた攻撃マインドがてんこ盛り。どこで、どのようにボールを奪い返すのかという戦術イメージと実際の守備アクションの優れたコラボレーションってな具合なのです。

 相手ボールホルダーへのチェイス&チェック・・ボールの動きが停滞した瞬間での協力プレスへの動き・・その周りで展開されるボールなしアクション(パスレシーブのフリーランニング)に対する忠実マーク・・マークの間合いを少しあけたインターセプト狙い・・ボールホルダーに寄る相手選手に対する爆発的な忠実マーク&アタックアクション・・等など。たしかに彼らの守備は、有機的に連鎖しつづけている。守備の内容こそが、次の攻撃も含めたすべてのサッカーコンテンツの質と量を決めてしまう根元的ファクターなのです。守備こそが全てのスタートライン。それは、サッカーの歴史が証明する真実なのです。

 ちょっとリキが入りすぎましたかネ。何せ、3月初旬発売予定の次号「サッカー批評」のために、守備のことを(ジーコジャパンの守備を)掘り下げていたもので・・。とにかくいまのドイツ代表では、パワーとテクニックのバランスも含め、様々なサッカー要素がバランスの取れたカタチで複合的に発展をつづけられるような「善循環」が回りつづけている。このままいけば、1972年のヨーロッパ選手権を制した、美しさと強さが最高の状態でバランスしたスーパーチームの再来を期待できるかも・・なんてネ。

 



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