この試合では、やっとルート・フリット監督は、中盤における職人的ディフェンシブハーフの重要性を見直したみたいです。このところ先発が続いていた、小野伸二、ホフス、バルト・ホールという三人で構成する中盤の底トリオではなく、ガリを中盤の底のセンターに、その両側を小野伸二とバルト・ホールが固めるという布陣でスタートすることを決断したのです。そしてそれが殊の外うまく機能する・・。ガリという汗かきミッドフィールダーが入ったことで、小野とホールのタテへの飛び出しにも勢いがつく・・それだけではなく、たまにはガリまでが(小野やホールが戻っていることを前提に!)前線へ飛び出して効果的なサポートプレーを魅せる・・等々。要は、この三人の攻守にわたる組織的な協力プレーがうまく機能しつづけていたということです。
小野伸二のパフォーマンスは、相変わらず高みで安定している・・でも、中盤ディフェンスで展開する彼のプレーの「性格」は、あくまでもクリエイティブ系・・。そのポイントについては、前述の「選手タイプの組み合わせというテーマ」も含め、前回のヨーロッパの日本人コラムに入っている「小野伸二の巻」を参照してください。
もちろん彼のパフォーマンス・コンテンツについては、肉を切らせて骨を断つというギリギリの勝負となる次のアウェーでのバーレーン戦に臨む日本代表にとってどのような意味があるのかという視点で評価しているわけですが・・。難しいね、選手タイプの組み合わせ。スリーバックと両サイドのメンバー、また福西というクリエイティブな汗かきで構成される「基本的なディフェンスブロック」を組み替えるのは、もちろん得策じゃない。それ以外の「四つのポジション」をどのようにするのか・・。まあ時間はまだ十分にあるからね・・。
高原についてですが、最後の20分間に登場してきたけれど、(たしかに局面での見せ場はあったけれど)どうもうまく決定的シーンに絡んでいけなかった。彼が登場してすぐにバルバレスが退場処分になってしまったしネ。ハンブルクは、例によって、攻守にわたってハイレベルな組織プレーを魅せてくれたけれど、勝てるゲームを引き分けてしまっただけではなく、主力のバルバレスも次節は出場停止という最悪に近い結果になってしまった。もちろんトーマス・ドル監督は、例によってのポジティブシンキングで難局を「機会に転化」しちゃうに違いないけれどネ・・。とにかく彼のマネージメントを見ていると、「脅威と機会は背中あわせ」という諺の普遍性を再認識させられる・・(上でリンクした前回コラムの文中に付けたリンクボタンで飛べるスポナビのコラムを参照してください)。
今回は本当にショート・ショートのコメントになってしまいました。悪しからず。
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最後に、前回と同様の告知を・・。
まず、ケータイサイトの「ブンデスリーガ公式ムービー」ではじめた連載コラム「湯浅健二の独壇場」。URLはこちら→http://i.bundesliga.jp。PCのプロモーションページはこちら→http://www.bundesliga.jp/。
また、3月3日から「BS Japan」で放送がはじまった「サッカーTVワイド」では、Jリーグ監督とのインタビューを担当することになりました(インタビューは4月から放送されます)。最初のゲストは、浦和レッズ監督のギド・ブッフヴァルト。この番組の放送日は、毎週木曜日の2100時〜2254時。また翌週の金曜日の深夜には再放送される予定です。ということで、「サッカーTVワイド」に関する基本的な情報は「こちら」から・・