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ジーコジャパン(51)・・理想的なバランスサッカーと現実的な選択との相克?!・・たしかに予選のミッションは勝つことだけれど・・(日本vsカザフスタン、4-0)・・(2005年1月29日、土曜日)

どうも皆さん、ご無沙汰です。昨日の金曜日、このゲームに合わせて帰国しました。今回のヨーロッパ遠征ウェブレポートは、スポナビのブンデスリーガレポートも含め(日刊スポーツ新聞などの既存プリントメディアもありましたが・・)お読みになったとおりまあまあ満足のいくものになりました。

 ところでヨーロッパの気候。わたしがドイツを離れたのは実は24日の月曜日のこと。そして時を同じくしての大寒波到来。「オマエ、本当についていたゾ・・あのままクルマでの移動をつづけていたら確実に雪に埋もれるか事故に遭っていたに違いない・・」なんて、後でドイツの友人たちが残念そうに話していましたよ。ということでカザフスタン戦のゲームインプレッションなのですが、時差ボケが厳しいことで(試合中には何度も上下のマブタが接着しそうになったりして・・)、とにかく箇条書き的に簡単にまとめます。ご容赦・・。

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 わたしは、例によっての(意図的な?!)教科書どおりの単調コンテンツ・ジーコ記者会見を聞きながら、こんなことを考え込んでいました。

 この試合での数字的な結果は立派なもの・・でも相手のチカラを考えたら実質的なサッカー内容には大いに不満・・何せ、弱いカザフスタンの守備ブロックを流れのなかで攪乱できたシーンは数えるほどしかなかったのだから・・もちろん日本の場合は、個人勝負ではなく組織パスで最終勝負を演出するわけだけれど、そのための絶対条件である(ワンツー・コンビネーションなどを駆使した)ボールがないところでの勝負のフリーランニングがあまりに単調で鈍重に過ぎる・・足許パスをいくらつないだところで、相手守備ブロックにとっては単なる「眼前プレー」にしか過ぎないからまったく怖くないし、ウラを取られることもない・・

 ・・とはいっても、ゲームに「勝つ」という視点では、どんどんと選手たちの確信レベルが高揚しつづけていると感じられて頼もしい・・ジーコも、以前は内容が大事だといっていたのが、今では、とにかく勝負に勝つことが最優先というふうにニュアンスが変化している・・たしかにW杯の地域予選は、内容ではなく勝つことが最大の(唯一の?!)ミッションではあるけれど・・だから、まあ予選はこれでいいのかもしれないな・・セットプレーの危険度(セットプレーでの選手たちのイメージシンクロレベル)は驚くほど向上しているし・・とはいってもコンフェデレーションズカップや本大会でのミッションは、世界での日本サッカーの地位向上・存在感アップだから、予選を突破してからは、リスクチャレンジをベースにした「サッカーの質の向上」を目指さなければならないけれど、それも欧州組が個々のフォームとコンビネーションイメージを上げてくればおのずと・・

 ・・もちろん最後に出てくるテーマは、リスクチャレンジと安定策についての「監督のバランス感覚」ということになるわけですが、この試合では、相手の実力を考え、もっともっとダイナミックなリスクチャレンジサッカーを展開して欲しかった・・ということかな・・。

 雑誌「サッカー批評」で、オマーン戦までの内容をベースにした文章を発表しました。それはわたしのHPにも掲載しましたので、そのコラムを参照してください。そこでは、「ジーコジャパンに対してここまで期待が高まったことはない・・」なんてことも書きましたよ。もちろんそこに至るまでには、サッカー批評で発表した文章のなかで書いたことだけではなくそれ以外にもいくつもの前段があるわけですがね・・。

 ・・自由であるからこそ選手たちが自分たち自身で考えはじめ、そのことで(また中澤が大きく伸びたことで)守備が堅牢になった・・その背景には、アジア各国が、組織よりも個人勝負を前面に押し出して仕掛けてくるという傾向もある・・要は、個の勝負をイメージしていれば相手の仕掛けを容易に抑えられるということ・・もちろんフットボールネーションは、組織的な仕掛けと個人勝負をうまくミックスしてくるから大変だけれど・・とにかく日本代表のディフェンスは、アジアに対しては「コツ」を十分に把握してきていると言えそう・・

 ・・そんな堅牢なディフェンスに対し、一発勝負のロングパスやセットプレーの危険度も何倍にも高まっているのだから「勝負強さ」が大きく向上するのも当然・・ジーコは「中村や小笠原、また遠藤などの素晴らしいキッカーがいるし、中で待ち受ける選手たちにも、中澤や、この試合では松田、また福西もいる」なんていうふうに自信をにじませていた・・このところ、シンガポール戦、ドイツ戦、そしてこの試合と、サッカーの内容は良くないけれど、まあそれについてもジーコは、欧州組が復帰すればと考えているのかもしれない・・中村俊輔が明確なブレイクスルーを達成しつつあるし、それによって中田英寿とのコンビネーションに対する期待も高まっている・・また稲本の復調や、パフォーマンスが高みで安定する小野伸二もケガから復帰している等などのポジティブなファクターが目白押し・・だからジーコも、今のところはとにかく守備ブロックの安定とセットプレー重視を前面に押し出しているということなのだろう・・

 記者会見では、ジーコの(意図的な?!)教科書談義をBGMにして、そんなことを一気に考えていたというわけです。バランスの取れた理想の姿と、勝負を優先する現実的な選択とのバランス。肉を切らせて骨を断つという地域予選では、もちろん「現実」こそが優先されるけれど、それでもわたしは、より高質なバランスを要求す・・とはいっても、それも選手が揃えばおのずと・・なんてネ。

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 それにしても小笠原。またしても存在感アップの絶好のチャンスを逃してしまった。カザフのチカラを考えれば、全力の積極プレーを展開すれば完璧なイメチェンをアピールできたはずなのに・・。

 例によって、アクセントのない単調な動きで足許パスを待つシーンが目立つ・・またボールを持っても、ドリブル勝負やタメの演出などリスクにチャレンジしていくのは希・・安全パスを回して足を止めてしまうというシーンが目立ちつづける・・とにかく「自分が中心になってボールと人を動かしてやる!」という意識に欠ける・・攻守にわたって主体的に「仕事」を探しつづけるプレー姿勢は、攻守にわたる「全力ダッシュ」の量と質に如実に現れてくるというのが大原則なのに・・

 ・・もちろん、この試合では唯一ともいえる流れのなかでのサクセスシーンを演出したラストスルーパスシーンは見事だったし(玉田自身の二点目シーンのこと=日本代表の四点目シーン・・とにかく、チーム全体の出来とは関係なく、玉田が展開したドリブル突破勝負やフリーランニングの量と質は素晴らしかった!!)、全力ディフェンスに入れば、並ではないボール奪取能力を魅せつけられる・・だからこそ、たまに魅せる局面プレーの質の高さを基準にした彼の「それ以外のプレー」が低調に過ぎると言わざるを得ない・・そのことについて、ジーコが分かっていないハズがない・・「アイツは、そのようなタイプの選手だから・・」なんて思っているのだろうか・・でもジーコのようなタイプだったら、まさにジーコのように、何人の相手に囲まれても決してボールを失わず、その間隙をぬって相手を置き去りにするドリブル突破を魅せたり、相手のプレッシャーをものともせずに相手守備ブロックを切り裂く決定的スルーパスを出したりしなければ味方やファンは納得しない・・とはいっても、勝負パスの能力では小笠原もなかなかのモノ・・でも逆にそれがヤツの両刃の剣だったりして・・

 とにかく、このままだったら、日本サッカーの宝物の一つでもある小笠原が「あのレベル」で止まってしまうと思うのですよ。彼には、何らかの刺激が必要だ・・もう何度も、何度も繰り返したことですがネ。

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 もうアタマが回らない。たぶん次のシリア戦も、この試合のような展開になるんでしょうね。でもわたしは、もっと「サッカーのバランスレベルを高揚させて欲しい」なんて思っているのですよ。タテのポジションチェンジを敢行しても、いまの日本代表だったら、シリア相手に次のディフェンスで人数バランスや相互ポジショニングバランスが崩れてしまうようなことはないでしょう。もちろん相手がイランやバーレーンだったらハナシは別だろうけれど・・。

 例によって誤字・脱字・変な文章のオンパレードなんだろうな・・でも、これから読みなおす元気なんてもう残っていない・・。ということでご容赦アレ・・。

 



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