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ジーコジャパン(57)・・またまた一発カウンターに沈んだ日本・・まさに大いなる学習機会じゃありませんか・・(日本vsUAE、0-1)・・(2005年5月27日、金曜日)

さて、どのテーマにスポットを当てようか・・。帰宅してから色々な緊急テーマを片づけなければならず、レポートを書きはじめたのは朝の2時を回った頃になってしまいしまた。そんなだから、はじめからどうもアタマの回転が鈍い。何だ、書きはじめる前から言い訳か〜〜!? なんていう罵声が聞こえてきそうです。スミマセン、何といっても「あんな結果」でしたからネ。

 まあ・・この試合のテーマは、チャンスをモノにできず、逆に相手の一発に沈んでしまった日本代表?!ってなところですかね。とにかくジーコに対して、「二試合もつづけて相手の一発カウンターに沈んでしまったことと、チャンスを活かせなかったことの意味と、その現象を、ギリギリの勝負において、機会として活用することができるのか・・」という質問をしてみよう・・なんて、記者会見がスタートする前に考えていた湯浅なのですよ。何せ二試合ともにまったく同じパターンのカウンターでしたからネ。

 とはいっても、まあペルー戦ではうまく決定機を演出できなかったのに対して、この試合では、まさに決定的と呼べるチャンスを何度も作り出せたことは収穫でしたね。もちろんそれをゴールに結び付けられないのは問題だけれど、とにかく組織パスプレーを駆使して、決定的なクロスやシュートまで行けたことは、選手たちにとって重要なイメージアップになったはずです。

 そのチャンスメイクのコアになっていたのが小野伸二。守備的ハーフとして、ゲームメイクからチャンスメイクまで大車輪の活躍でした。とはいっても、皆さんご存じのように、小野は、ドリブルやタメなどの「個人プレー」でチャンスを作り出すタイプではなく、あくまでも組織コンビネーションを主導するなかでチャンスメイクするタイプ。この試合でも、彼によくパスが回されてくることで、気持ちよく周りの味方を使いつづけていましたよ。ゲーム立ち上がりには、大黒の決定的スペースへの飛び出しと小野の一発勝負パスが美しくシンクロしたり、右サイドをオーバーラップしつづけた宮本へ、ベストタイミングとコースのスルーパスを通したり(その後、宮本の決定的クロスが飛んだ)と、なかなかの見所も作り出したし、たまには自身がフィニッシュゾーンに入り込んでシュートにチャレンジしたりしました。前半21分には、小野が起点になった仕掛けの流れのなかで小笠原とアレックスのワンツーコンビネーションが決まり、最後は、押し上げていた小野が、アレックスからのクロスをダイレクトシュート! また後半6分には、自身がドリブルでセンターゾーンへ持ち込んでシュート! いや、ホントに良かったですよ、小野伸二。

 とはいっても、まだまだ中盤ディフェンスには不安が残る。福西という素晴らしい汗かき組織プレイヤーがいるからこそ、この守備的ハーフコンビがうまく機能する?! もちろん小野も、ボール奪取勝負テクニックは向上しているし、アタックする勇気も十分に持ち合わせているけれどね・・。とにかく小野は、素晴らしいゼネラリスト(多方面の能力を持ち、全体的な視点で判断・行動できる人)だということです。とにかく彼がリードした仕掛けが、ペルー戦で日本代表が演出した仕掛けよりも何倍も危険なものだったことは確かな事実なのです。

 さて本題。これだけチャンスを作り出しながら決め切れず、相手の一発カウンターに沈んでしまう・・。

 二試合ともに、ゴールを決めた相手を最後にマークしていたのは坪井でした。たぶん彼は、国内リーグ的な感覚でマーキングポジションを調整していたに違いない。でも相手は、国際レベルのスピードを持つ強者たち。ということで、最後の一歩が届かなかったということなんでしょうネ。とにかく事前に、フィニッシュスポットを明確にイメージし、爆発の準備を整えていなけば、肉を切らせて骨を断つ闘いに勝利することは叶いません。この「二つの失敗」が坪井の守備イメージを発展させたことを願わずにはいられません。何せ彼には、高度な守備イメージを実践できるだけの能力を持ち合わせていますからね。後はイメージをブラッシュアップすればいい・・そのためには、国際級の経験と失敗を積み重ねなければならないというわけです。

 さて一発カウンターにやられて二連敗を喫したジーコジャパン。私の質問に対するジーコ回答の骨子は、やはり「バランス」でした。あくまでも、人数&相互ポジショニングのバランスこそが最も重要なファクターだと言うジーコ。たしかに、W杯の地域予選では、それこそが勝負強さのバックボーンになります。もちろんそこでも、最後の勝負所ではしっかりとマンマークへ移行できなければなりませんけれどネ。そんな、ゾーンからマンマークへの移行や、動きまわる相手のマークの受けわたしが難しい。

 サッカーは、ある意味、常にバランスが崩れるチームゲームだとも言えます。大いなるリスクチャレンジがくり返されるダイナミックなボールゲーム。そんな主体的なリスクチャレンジこそが選手たちを発展させるのです。でも、そんなサッカーはリスクが大きい。だからこそ、高い守備意識とか、崩れたバランスを素早く取り戻すためのバランシング能力(バランス感覚?!)が問われるのです。でも、イタリアサッカーに代表されるような「究極のバランス維持サッカー」もあります。それは、勝負という視点では大変優れた発想です。その意味で、今のジーコジャパンは、イタリアサッカーを踏襲していると思うわけです。もちろん今回のバーレーン戦と北朝鮮戦でW杯の本大会キップ手に入れれば、次のコンフェデレーションズカップでのジーコは、確実に、自身がイメージする理想型に近づくサッカーへと舵を切っていくに違いありません。

 わたしは、この二試合での負け方は、刺激という意味でよかったと思っています。だからこそ、この上もなく貴重な学習機会。もちろん、この二試合でのカウンターによる失点イメージが選手たちをビビらせて(怖がらせて)しまっちゃ元も子もないけれどね。とにかくバーレーン戦へ向けて、身が引き締まったに違いない。

 



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