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05ナビスコカップ準々決勝の2・・この試合では、オシムさんの言う「集中力」を考察しなければ・・(ジュビロ対ジェフ、2-2)・・(2005年8月13日、土曜日)

今回はテレビ観戦だけれど、とにかく先週に引きつづいてオシム・ジェフが展開するアクティブサッカーのコノテーション(言外に含蓄される意味)を反芻し、堪能したくてチャンネルを合わせました。日本代表組(巻と阿部)は帰ってきたけれど、逆に、ストヤノフとハースという絶対的なコア戦力がケガで戦線離脱しただけではなく、羽生は出場停止というジェフ。それに対し、川口、茶野、田中、村井、福西、そして韓国代表の金といった日韓の代表組が帰ってきたジュビロ。さて・・

 この試合でのジェフ攻撃では、練習でケガをしたハースの不在が殊の外目立っていました。何せ第一戦では、彼がボールを持ってタメたときの「周りのダイナミズムの爆発」が美味しい見所でしたからね。でもこの試合では、そんな瞬間的な「ボールがないところでのアクション連鎖」がなかなか出てこない・・。

 とはいっても、対するジュビロの攻めも、どうもうまく機能しない。先週の試合後、山本さんに「このところ、プレシーズンマッチなどでジュビロを観る機会が多かったのだが、この試合(ジェフとの第一戦)も含めて、どうも今のジュビロのサッカーからは、以前の人とボールがよく動くという連鎖イメージが停滞していると感じるのだが・・」なんていう挑発的な質問をしてみました。ちょっと口元に笑みを浮かべながら、(代表やケガの)選手がもどってくれば再びジュビロのサッカーを展開できる・・といったニュアンスの言葉で切り返していた山本さんだったけれど、どうもネ・・。

 とにかく、以前のような爆発的な組織パスプレーでのチャンスメイクは目立たなくなってしまったジュビロ。それに対して、前田遼一の個人勝負コンテンツは発展していると感じさせてくれました。彼がボールを持って振り向いたときに放散される危険なニオイ。本格感テンコ盛りです。これからの彼の発展にも大いに期待しようじゃありませんか。でも、そんな高質な「個の勝負」に対し、うまく機能しない「組織」。さて・・

 もちろんそれには、ジュビロ選手たちのボールがないところでの勝負アクション(パスレシーブの動きや、マルチ機能を内包するフリーランニング!)が減退気味という背景はあるけれど、私は、逆に、ジェフ選手たちが展開する守備の機能コンテンツがハイレベルだからという要因の方に注目していました。それこそが、先週のゲームでオシムさんが言っていた「集中力」の本質(これについては、前回レポートを参照してください!)。ボール絡みのチェイス&チェック、その周りで展開される「予測ベース」のボール奪取アクションや忠実なマーキング・・等々。まさに、有機的なディフェンスプレー連鎖の集合体といったジェフの守備ブロック。そんな高質な汗かき組織プレーを観ながら、「やはりジェフ選手たちは、ボールがないところでの忠実な予測マーキングの重要性をしっかりと理解している・・それがあるからこそ、ボール絡みのチェイス&チェックアクションや、次のボール奪取勝負アクションにも勢いが乗る・・そしてそれこそが、オシムさんが言う、ディフェンスでの集中力の本質なんだろうな・・」なんてことを思っていた湯浅でした。

 この試合では、同点にされてからのジェフ守備ブロックのプレーコンテンツが注目ポイントだったわけだけれど、それが、まさにポジティブに充填されたというわけです。その視点で、先週の課題を効果的に「修正」したオシムさんのマネージメントに拍手です。

 それにしても、「2-2」になってからのジェフは、一体何本、決定的チャンスを外してしてしまったのだろうか・・。工藤が二本、林が一本、それに巻も・・。それもまた、オシムさんが言う、集中力を最高レベルにキープできていないからこその現象!? まあ、そういうことなんでしょう。一度オシムさんと、「決定力」という心理ファクターについてディスカッションしてみたいですね。私は、世界サッカー史に残るスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが選手たちにやらせていた、しつこい程の「反復練習」を体感していますし(ヘネス自身からも、そこでのキーポイントを直接聞かされた・・)、そのポイントについては、コンフェデレーションズカップ期間中に、デッドマール・クラーマーさんとも、同じ視点で意見が一致したモノです(そのコラムはこちら・・)。

 とにかく、ものすごくエキサイティングな展開になったジュビロ対ジェフの勝負マッチを観ながら、「こんなゲームだったら、オートバイを飛ばして磐田まで行ってもよかったよな・・」なんて思っていた湯浅だったのです。短いけれど、今日はこんなところでしょうかネ。明日はレッズ対エスパルスのエキサイティングマッチをスタジアム観戦する予定です。では・・

 



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