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05ナビスコカップ準々決勝の3・・すぐにでもアントラーズ追撃態勢を整えなければならないけれど、どうもまだ不安の方が先行する・・(レッズ対エスパルス、1-0)・・(2005年8月14日、日曜日)

「エスパルスとの準々決勝は、全体的にみればウチの順当勝ちだった・・」。試合後の記者会見でギド・ブッフヴァルト監督が、ちょっと力無い感じで主張していました。私も、それに基本的にはアグリーですが、そこには、今後のリーグ戦を闘っていくうえでの課題コンテンツが山盛りだったことも確かな事実でした。新戦力とのイメージコンビネーション不足・・強化ディフェンスを敷く相手と対峙したとき、どうしても攻撃の変化を演出できずに仕掛けが単調で寸詰まりになってしまうこと・・そこで、目先を変えてロングシュートを打つなり、アーリークロスを入れるなりのアイデアが不足していたこと・・要は、仕掛けのリーダーが不在ということ・・等々。

 まあ、シーズン中にこれだけ選手の出入りがあったのだから、「それ」も致し方ないのかもしれないけれど、とにかくこの時点でレッズが、これからアントラーズを追撃するために、できるかぎり全ての準備を理想的なレベルまでに整えておかなければならないことを思うと、ちょっとネ・・。

 この試合のレッズは、ドリブラーなしでスタートしました。田中も永井もいない。そして、マリッチをワントップに、ポンテと山田暢久がダブルチャンスメイカーを構成するといったイメージです。前半は、そのイメージがまったくといっていいほど機能しませんでした。もちろんそれには、例によってエスパルスが守備を強化してきたこともあります。危険なスペースをクレバーに消しつづけたり、そこを使おうとするレッズ選手を巧みにマークしてしまう経験豊富なエスパルスディフェンダーたち。その安定プレーに、レッズ攻撃陣は為す術なしといった体たらくだったのです。期待のポンテのパフォーマンスにもちょっとガッカリさせられましたよ。

 ポンテについては、一昨年シーズンの(レーバークーゼンでの)ダイナミックプレーが鮮烈に記憶に残っていますからネ。それについては、もう一度、スポナビの「このコラム」を参照してください。でも「それ」と比べて、まず全体的な運動量が足りないし、動きの質もまだまだ。私は、主に、ポンテのディフェンスへの入り方を観察していたのだけれど、全力ダッシュでボール奪取勝負に絡むというのではなく、どちらかといったら「アリバイ守備参加」といった趣なのですよ。ちょっとガッカリ。また攻撃でも、ボールがないところでの動き(スペースへ抜け出すパスレシーブの動きや、味方にスペースを作る動き等々)にも不満。もちろん局面でのボール絡みプレーでは、素晴らしい才能の一端を表現してはくれたけれどネ・・。まあ、この気候条件だからということもあるだろうけれど、前述したように、すぐにでもアントラーズ追撃態勢を100パーセント整えなければならない事情を考えたら不安の方が先行するのです。まあ、とはいっても、そこは、ドイツというフットボールネーションで最高レベルの存在感を発揮しつづけた百戦錬磨のトッププロだし、同年代で同じブラジル出身のアレックスのヘルプもあることだから(特に後半に魅せた二人のコンビネーションは見所満載だった!)、すぐにでも以前のスーパーパフォーマンスを蘇らせてくれると思うけれど・・。

 そんな不完全燃焼のポンテに対して、昨シーズン、ドイツ・ブンデスリーガ、ヴォルフスブルクでプレーしたマリッチは、ケガ気味だった昨シーズンの状態から徐々に回復しつつあるといったポジティブな印象を与えてくれました。ドイツでは、それなりに素晴らしいプレーを魅せていたマリッチですから、レッズで完全復活するというシナリオが見えてくる!? あっと、彼はもう32歳だから、引退までに、日本でもう一花咲かせるぞ!といった決意は感じられる・・といったところかな・・。センター&ポストプレーに長けたマリッチと、田中達也という「衛星ドリブラー」のコンビは、イメージさえシンクロすれば、かなりの破壊力を発揮してくれると思うけれど・・。

 「ポンテとマリッチの加入によって、攻撃陣のオプションが増えたし、健全な競争環境も整ったと思う・・」と、ギド・ブッフヴァルト監督。まさに、そういうことでしょう。選手のタイプと質によってサッカーコンテンツは変わってくるという原則。その意味でも、マリッチとポンテの加入を、「これまでプラスα」という方向へもっていかなければなりません。ギド・ブッフヴァルト監督のウデに期待しましょう。

 それにしても長谷部の存在感は高まりつづけています。高温多湿の気候条件に四苦八苦して足が止まり気味になっていたポンテも、彼を捜してボールをあずけていましたよ。もちろんそれは、長谷部に対する信頼の証。そんな優秀な長谷部のこれからのテーマは、何といってもホンモノのリーダーシップを高めること。ここで言う「ホンモノの・・」というフレーズがミソです。その背景に横たわる広範なファクターは、とてもここで言葉で表現できないけれどネ・・。とにかく、ホンモノのリーダーシップの基盤を構築するためには、様々な体感・体験を積み重ねることで「ポジティブなパーソナリティーを磨く」しかありません。もちろん、その絶対的なベースは優れたインテリジェンス。だからこそ長谷部に対する期待が高まるのです。ちょっと期待し過ぎかな〜〜・・

 最後に、後半のレッズが採ったフォーバックについて。そこでは、両サイドバック(平川と内舘)のオーバーラップの量と質が、その機能性を測るバロメーターだったけれど、かなりのレベルでクリアできていたと感じました。とはいっても、相手のエスパルスは一人少なかったですがネ。とにかく、強い相手とでも、このフォーバックを「うまく機能させることで」サッカーをより攻撃的なモノに変化させられるかというのもテーマの一つということです。相手や状況に応じてスリーバックとフォーバックを使い分けられる・・。それもまたステップアップの証なのです。

 



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