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05_ヨーロッパの日本人・・稲本潤一!!・・(2005年11月2日、水曜日)

稲本が所属するウエスト・ブロムウィッチ・アルビオンが、ホームでニューキャッスルに「0-3」で敗れたゲーム。にもかかわらずスカパーが事後的にビデオ放送するということは、久しぶりに先発フル出場を果たした稲本の出来が殊の外よかったということか・・なんて期待を込めて見はじめた湯浅でした。何せ彼は、今回の日本代表の東欧遠征でも久方ぶりの存在感を発揮したし、日刊スポーツでも、リーグカップの対フルアム戦で展開した攻守にわたる大車輪プレーが認められての先発出場だった・・なんていう情報が載せられてましたからネ。

 そしてゲームを観ながら、これはスカパーに感謝しなければ・・なんて思った次第。勝負エネルギーのタメと、その爆発。守備的ハーフとして、ディフェンスでの、そんなメリハリの効いた「徹底プレー」が目立ちます。勝負エネルギーのタメとは、もちろん次のボール奪取勝負ポイントに対するイメージ描写プロセスのこと。それが、次の、実効ある「爆発アクション」にスムーズに結びついていると感じられたのです。中盤でのバランサーとして、うまく中盤選手たちのポジショニング(スペース)バランスを取りながら勝負ポイントをイメージしつづけている・・なんていう表現ができるかもしれませんね。スッ、スッと移動しながら、勝負と感じた次の瞬間には、ベストタイミングの全力ダッシュでボール奪取勝負に入っている・・アタックを外されても、すぐに次のスポットに急行して相手パスをインターセプトしたり、相手のトラップの瞬間を狙ったアタックでボールを奪い返してしまう・・等々。全力でのチェイス&チェックとか、ボールがないところでの忠実なマーキングとか(必要に応じて味方最終ラインを追い越すような粘りのマーキング!)、はたまた協力プレスへの全力ダッシュでの参加など、忠実な組織ディフェンスプレーを基盤にしてね。

 それにしても、稲本のボール奪取テクニックには磨きがかかったね。その絶対的基盤であるスピードとパワーも十分だし、プレミアの強者たちのなかでも見劣りしないダイナミズムを感じますよ。いや、頼もしい。また攻撃でも、正確でタイミングの良い展開パスを繰り出すだけではなく(大きなサイドチェンジパスが秀逸!)、機を見計らった、最前線スペースへの飛び出しといった、まさに稲本の真骨頂といったプレーも披露してくれるんだからたまらない。カヌーとのワンツーを決めたり、三列目からの決定スペースへの飛び出しを魅せたり・・ネ。もちろん仕掛けプロセスをリードするなんていうシーンは希だけれど、最終勝負シーンにおいて「使われる選手に徹する」稲本は、格別の「実効」組織プレイヤーといえるでしょう。いやホント、頼もしい。

 とはいっても後半は、彼の悪い癖である「状況を見過ぎで流れに乗り遅れ、結局は足が止まり気味になってしまう・・」というネガティブサイクル状態にはまり込んでいるシーンが多く見受けられました。そんなときにこそ、自ら積極的にチェイス&チェックアクションを仕掛けていくべきなのですよ。要は、味方の積極的なボール奪取勝負をアクティベイト(活性化)するような汗かきディフェンスプレー。そうすれば、(稲本がリードするカタチで!)チーム全体のペースも上がってくるだろうし、そのことで、おのずと自分自身のプレーリズムを取り戻せるものです。積極的なプレーイメージが減退することでリズムを崩した場合、考えれば考えるほど混迷の度が深まってくるモノだからね。そんなときこそ、吹っ切れた汗かきプレーがモノを言うっちゅうことです。そんな「シークレット・メカニズム」については、彼が一番よく知っているはずだよネ。

 そんな後半だったけれど、全体としての稲本に対する評価は、このコラム前半のポジティブなものに落ち着くことは論をまちません。中盤の底(センターハーフ)でのバランサープレーに徹し、機を見計らった「必殺のオーバーラップ」を魅せる・・。日本代表でも、そんな稲本の安定した「徹底」プレー姿勢は、中盤パートナーたちに余裕を与え、それによって日本代表チームの「ホンモノの(自分主体の)守備意識」がより高揚していくと思っている湯浅です。それこそ、ジーコジャパンが「ホンモノの自由」を手に入れるための絶対的基盤なのです。




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