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05_ヨーロッパの日本人・・今週は、まず何といっても中村俊輔から・・(2005年11月20日、日曜日)

今いくつかの原稿に取りかかっているし、今日は「J」もあるから、中村俊輔と中田英寿のゲームは月曜日にまとめて観ることにしようかな・・なんて思っていたのですよ。ところが周りからのノイズがね・・。中村俊輔がゴールに絡む大活躍・・それに、世界最古のダービーの一つといわれるグラスゴー対決ということもあるし・・。ということで、ちょっと寝てからビデオを観はじめた次第(昨夜は別のことに集中していたから、ライブでは観られなかった)。

 セルティック側は、代表戦のために日本とヨーロッパを往復することに否定的だったということですが、この試合で中村俊輔が魅せた、チャンスを演出する「ココゾの勝負プレー」には、そんなネガティブマインドを一掃してしまうだけのアピールパワーがありました。また、攻守にわたる「ボールがないところでの汗かきプレー」といった積極的なプレー姿勢をベースに、徐々にペースアップしていったところにも本格感が漂っていた。たしかに、効果的にボールに触れるようになるまでに時間はかかったけれど、周りの「高まり」に取り残されてしまった前回のダービーと比べれば、格段の「存在感の深化」じゃありませんか。チームメイトたちも、時間の経過とともに中村を積極的に探すようになっていましたからね。そして彼がボールに触れば、前回のような「肉弾戦」ではなく、落ち着いたゲームになるというわけです。それこそ、日頃の実効ある「自己主張」の成果・・。

 それにしても中村は、セルティックが挙げた三点に対し、「絡み方コンテンツ」には違いはあったけれど、たしかに実効ある貢献をした。まず先制ゴールのシーン。そこでは、アシストしたマロニーを意識していた相手ディフェンダーの守備イメージを完全に「翻弄する」ボールコントロールを魅せました。要は、ほんの一瞬、左へドリブルするような仕種(しぐさ)をすることで、(パスが出た後の)マロニーのマークを意識していた相手ディフェンダーのアクションを逆方向へ引きつけたということです。そのことで、その相手ディフェンダーは、そこからの中村の(マロニー)へのタテパスに、まったく対処できなくなってしまったと・・。そんな、ほんの一瞬の機転にも才能がうかがえる。

 二点目の直接アシストプレーにはコメントの必要なんてありません。まさに天才のボールコントロール。そこで魅せた素晴らしいフェイント&切り返しと、次の瞬間に上げられた正確なクロスは観ている方の溜息を誘ったことでしょう。そして三点目のシーン。私にとっては、「それ」がもっとも印象的でした。まあ表面的には、相手からボールを奪い返して味方にシンプルに展開パスをつないだといったシーンだったけれどね。

 センターバックから横パスを受けたレンジャース左サイドのマレー・・そこへ中村俊輔がズバッと寄っていく・・同時に、マレーの右前でパスを受けられる位置にいたアンダニへ、中村のチームメイトであるペトロフも「ズバッ」とタイトマークへダッシュする・・そのペトロフの守備アクションが目に入ったのか、ボールを受けたマレーが、寄ってくる中村を置き去りにしようとドリブルに入る・・ただ中村は、そのアクションを正確に読んでいた・・スッと、マレーがドリブルしようとするコースに入り込み、スクリーニングでボールを奪い返し、そのまま素早く、上がってくる味方へファウンデーションの展開パス(もちろんノールックパス)を回した・・見事なカウンターチャンスの演出・・中村のボール奪取と、そこからのシンプルタイミングの展開パスこそが三点目を生み出した・・ってな具合でした。




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