トピックス


05_ヨーロッパの日本人・・今週も、まず中村俊輔から・・(2005年11月7日、月曜日)

「もっと引いてくれヨ〜!」。立ち上がりから、テレビのカメラマンに心の中で注文をつけていた湯浅なのです。とにかくテレビカメラの構図が「寄り」過ぎ。これじゃボールがないところのプレーが観られない・・サッカーはボールがないところで勝負が決まるボールゲームなのに、これじゃ一番美味しいシーンを楽しめない・・なんて、文句タラタラだったのですよ。でも、テレビ画面を見ながらハッと気づいた。そんなボール中心の狭い構図だけれど、中村俊輔の登場頻度が高いじゃないか・・もちろんそれは、俊輔が展開する動きの絶対量と攻守にわたる「プレー意志」がアクティブであることの証に違いない・・なんてネ。あっと・・テレビカメラの構図だけれど、フォルカークは小さなスタジアムですからネ、まあ「構図を引けない」のも無理ないのかもしれない・・。

 さて、前述した「プレー意志がアクティブである」という点ですが、それには大事な意味が込められています。画面に映し出される中村俊輔のボールがないところでのプレー内容が、「グラウンド上での自己主張」の順調な発展を如実に示唆している・・。その現象面でもっとも目立つのが、攻守にわたる強い意志を込めた全力ダッシュが、本当に頻繁に認められるというポイントです。以前は、常にテレテレというぬるま湯ジョギングのオンパレードでしたからネ。こちらはフラストレーションが溜まりに溜まったわけだけれど、その時代から比べたら、まさに雲泥の差じゃありませんか。

 また中村が展開するシンプルプレーも、チームの戦術イメージにとって、心理的&物理的に大きな効果を発揮していると感じます。大きく、それも緩急をつけたメリハリのあるフリーランニングをつづけた後の(忠実な汗かきプレーを基盤にした)パスレシーブだったとしても、瞬間的な判断で、より良いカタチでボールを持てる味方にダイレクトでパスをリターンしたりするのですよ。そして間髪を入れないパス&ムーブを繰り出す・・。俊輔にボールを預けた味方にしても、エッ、ボールを戻してくれるの・・ってな感覚を持つケースも多いことでしょう。それなのですよ。そんなシンプルプレーを、中村俊輔という才能タイプの選手がやることがチーム全体にポジティブな心理的影響を与えるのですよ。「そうだ・・しっかりとシンプルにボールを動かすことは大事なことだよな・・」という再認識を促すシンプルプレーだというわけです。そしてセルティック内の人とボールの動きが徐々に活性化していく。チーム全体のプレーリズムの活性化をリードする中村俊輔・・ってな具合かな。彼自身もそのことを体感しているはずだけれど、まあそれは、至福の瞬間だろうネ。何せ、彼の意図が、具体的な成果につながっているのだからね。とはいっても・・ネ、2点をリードして入った後半のサッカーについては、中村俊輔自身のプレーも、チーム全体のプレーもちょっとペースが落ちたけれどネ(再び、動きのない足許パスと個人プレー中心の組み立てと仕掛けになってしまった・・)。まあ、仕方ない。

 今日(月曜日)の夜中には中田英寿のゲームが中継されるから、それもレポートするつもりです。でも、二試合つづけてフル出場を果たした稲本のゲーム(ウエストハム対ウェスト・ブロムウィッチ戦)は中継なし・・。上り調子の稲本だから、そのプロセスを体感できないのは残念だね。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]