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05_ナビスコ決勝・・地道な努力が実を結んだ・・おめでとうジェフユナイテッド!・・(ジェフ対ガンバ、0-0、PK戦、5-4)・・(2005年11月5日、土曜日)

親愛なるイビチャ・オシム様。心から祝福いたします。トータルフットボールを志向する中で、選手たち全員に、攻守わたる(ボールがないところでの)汗かきプレーを深く浸透させる・・。その作業が簡単でないことは、私も深く体感しているつもりです。だからこそ自然に、敬意を込めた「おめでとうございます」という感情が沸き上がってきたと思うのですよ。もう一度。これまでの地道な努力が実を結んだことに対して、心から祝福いたします。

 ゲーム展開と、そこで私が思いを巡らせていたサッカー的なファクターの揺動はこんな感じだったですかネ・・。前半は互いに守備を安定させることをターゲットイメージにしているようで、互いに攻めあぐむ展開になる・・まあ、ダイナミックな膠着状態といっていい・・もちろん、前半20分あたりの両チームのチャンスメイクシーンはエキサイティングだったけれど・・それでも前半は、互いに忠実で安定した守備ブロックがうまく機能しつづけていることの方が目立つ展開という表現がふさわしい・・両チームともに、「マン・オリエンテッド」な守備イメージ・・もちろんマークは受け渡すけれど、受け渡す状況とタイミングは、どちらかと言えば「セーフティー&セキュリティー優先」・・守備ブロックは、互いに崩れる気配はない・・そんな展開のなかで、もっとも目立っていたが、両チーム最終ラインのリーダー・・ガンバではシジクレイ、ジェフではストヤノフ・・その一対一の強さ、その的確なカバーリング、そのクリエイティブな予測ディフェンスの確実さ・・本当に素晴らしい・・そんな、同じような戦術コンテンツの両チームだけれど、やはり前線のクオリティーでは、ガンバに一日の長がある・・フェルナンジーニョ、アラウージョ、そして大黒・・それが、全体としてのシュート数・決定機の僅差となって現れていた!?・・ということか・・

 ・・そんなガンバに対し、ジェフは、個の才能レベルで劣っているからこその「組織マインドの強さ」という武器がある・・ここぞのチャンスでの、相手ゴール前へ抜け出していく選手たちの「人数と勢い」には、それこそジェフの真骨頂だと感心させられる強烈なエネルギーを感じる・・もちろんパスでの最終勝負だけではなく、個の勝負でも魅せるけれど、やはりジェフの場合は、組織的な崩しが基本だし、それがもっとも危険だね・・それに対してガンバは、前線に才能がある故に、それが「諸刃の剣」になってしまっているという印象を強く抱く・・だからこそ、相手チームにとっては、対処ゲーム戦術を立てやすい・・『前線の三人をタイトにマークするだけじゃなく、ヤツらにパスも出させるな!』ってな具合・・これからリーグ優勝戦線を闘っていくうえで、西野監督は、相手の対処ゲーム戦術のウラを取っていかなければならない・・もちろんゲームの立ち上がりはオーソドックスに入るけれど、仕掛けが詰まり気味という展開に陥ったら、フェルナンジーニョやアラウージョが主導するカタチで、両サイドの二川&松下や守備的ハーフの遠藤&橋本と、積極的に「タテにポジションチェンジ」する・・とかね・・

 後半はガンバがゲームを牛耳っていた・・「拮抗していたけれど、主導権は我々が握っていた・・」・・そんな西野監督の見立てにはアグリー・・後半のガンバは、ジェフの何倍ものシュートを打った・・そこでは、ジェフが攻め上がったウラ(人数が揃っていない状況)を突いたというケースもあったけれど、それ以外でも、ガンバ選手たちが、積極的にロングシュートにチャレンジする姿勢をみせていたことも目立っていた・・遠藤が、アラウージョが、フェルナンジーニョが、危険なシュートを放ち、そのこぼれ球で決定機を迎える・・そんなシーンが連続する・・これはまさに、チームとしての意志が、その仕掛け戦術にあることの証明・・強固な守備ブロックと対峙するケースでは、たしかに有効だし、ガンバには、危険な中距離シュートを打てる選手も揃っている・・

 ・・とはいっても、たしかにシュートの絶対数ではガンバに軍配が上がるけれど、その実質的なコンテンツ比較では、大差ないというのが湯浅の評価・・ジェフは、基本的には我慢のサッカーだからネ・・我慢の後の一発勝負には、最大限のエネルギーを傾注できるということ・・そして試合の進行とともに、徐々にジェフの蓄積エネルギーが存在感を発揮するようになってくる・・特に延長後半では、ジェフの攻勢が目立ちに目立っていた・・それこそ、積み重ねてきた持久エネルギーの爆発ってなところ・・対するガンバは、一つひとつのアクションでエネルギー切れが明らか・・イビチャさんは、チームに対して我慢のサッカーをイメージさせていたらしいけれど、まさにイメージ通りのゲーム展開になったということ・・我慢に我慢を重ねるなかで、チャンスだと感じたら、次に戻るために大変なエネルギーを使わなければならないという厳しい現実を乗り越えていくジェフ選手たち・・延長後半では、そんな彼らの我慢が、ゲームの流れのなかで実を結ぶかもしれなかった・・でも結局は・・

 ・・ジェフはPKの練習も繰り返したということだけれど、そんな準備も見事に実を結んだ(ジェフでは一人も外さなかった!)・・イビチャさんも言うように、PKは、心理ファクターが大きく作用する(もちろん選手たちは、相手のPKでの癖などをす買うティングし熟知していただろうけれどネ)・・PK戦は、論理を超えたところで決められるかどうかというせめぎ合い・・そしてジェフは、そんな心理戦を制して自ら勝利をもぎ取った・・記者会見の冒頭でイビチャさんが言った、『選手たちは、キャリアのなかで一つの(大きな)物事を成し遂げた』という表現が脳裏に残る・・。おめでとうございました。




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