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05/06_チャンピオンズリーグ準々決勝の1・・天才リケルメという現象・・やっぱり、攻撃でのメインテーマは「変化とバランス感覚」でっせ・・(2006年4月5日)

昨夜、わたしの意識は完璧に睡魔に占拠されてしまいました。まぶたが自然と閉じてしまうんだから、どうしようもない。ということで、チャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグの第一日目はビデオ観戦ということにした次第。

 そして次の朝。8時ころかな・・、ゴソゴソと起き出してテレビのスイッチを入れたのだけれど、そのとき画面は「再放送」のビジャレアル対インテルを映し出します。もちろん私は、ライブでは「ミラン対リヨン」を予約し、その後にビジャレアル対インテルの再放送を予約していました。機械は「HDD」だから、そのまま「再生ボタン」を押せば、録画と再生を同時に進行させられる。要は、「ウラで」進行中のビジャレアル対インテルを「そのまま」録画しながら、テレビ画面上ではミラン対リヨンを観戦できるというわけです。でも、テレビ画面に映し出された最初のシーンを見たとき、ビデオのコントローラを持つ手がフリーズ。そして意識が、そのゲームに引きずり込まれていく・・。そのシーンとは、リケルメの魔法。

 天才、リケルメ。(ユース代表時代からリケルメを重用してきた)ペケルマンがアルゼンチン代表の監督に就任したことで、ビジャレアルだけではなく、母国代表でも仕掛けのリーダーとしてグラウンド上に君臨することになりました。それも、以前のように「局面でのマスターベーション」にはしるというのではなく、シュートを打つという、攻撃におけるチーム目的を達成するために、「個」だけではなく「組織」でも実効あるプレーコンテンツを前面に押し出すのです。

 以前は、「自らの仕掛けイメージだけが絶対的な基準」だったリケルメ。それがこのところ、確かな組織プレーマインドも感じさせてくれるようになっている。だからこそ、全体的なパフォーマンスが、本当の意味で発展している。やはり、天才の覚醒プロセスを体感することは、何物にも代えがたい大きな喜びです。日本人で言えば、(父親になってからの?!)中村俊輔しかり・・(ここ1-2週間の?!)アレックスしかり・・。

 以前のリケルメは、完全な独裁者(=裸の王様)だったよね。動かずに、味方からの足許パスを要求するばかり・・そして自分勝手なキープ&ドリブルで「マスターベーション」し、自分勝手なタイミングでスルーパスを入れたり、そのままゴリ押しのシュートを放ったり・・味方はリケルメの感覚に合わせるしかない・・。そんな彼がスペインへわたった。そして「そこ」でも同じようなイメージでプレーしようとした。でもそれじゃ活躍できるはずがない。彼のところで「組織と個のバランス」が完全に崩れてしまうんだからね。また相手チームにとっても、そんなリケルメへの「対処ゲーム戦術」を明確にすることができる。まさに「天才という諸刃の剣」っちゅうわけです。

 それが、この2-3年で大きく様変わりした「よう」です(スミマセン・・しっかりと彼を観察していたわけじゃないので・・)。攻撃では、ボールがないところでしっかりと動くようになったし、守備でも、少なくとも相手ボールホルダーに対する「緩いチェイス&チェック」も仕掛けるようになった(まあ、あの間合いじゃ、そこに「いるだけ」だけれど・・)。なかでも、もっとも大きな変化は、組織プレーのイメージがしっかりしてきたこと。要は、無為に持ちすぎる(ボールを無為にこねくり回す)ことなく、必要に応じてシンプルなタイミングでボールを展開するようになったことです。だからこそ、たまに魅せるキープ&ドリブルが抜群の実効レベルを発揮する。

 またチームメイトたちが、彼を「探し過ぎていない」ということも大事な要素です。以前だったら、とにかくボールを奪い返したら、全員がリケルメを探してボールを集めようとしていましたからね。だから相手チームは、彼のところでのボール奪取勝負をイメージしていればよかった。そんな、リケルメに関わるネガティブイメージが、ビジャレアルでもアルゼンチン代表でも、大きく様変わりしたのですよ。

 リケルメのプレーコンテンツに「変化」が出てきた・・もちろんそれは、個人プレーと組織プレー(ボールがないところでのアクションも含む!)がうまくバランスしてきたからに他ならない・・だからこそ、相手ディフェンスも、ボール奪取勝負イメージを分散させざるを得なくなる・・だからこそリケルメは、より良いカタチでボールにさわることができる・・だからこそリケルメは、チーム目的(シュートを打つこと!)を達成するために、自らの天賦の才を、より効果的に発揮できるようになっている・・まさに善循環・・。

 これで、もう少し忠実&アクティブにディフェンス参加したり、攻撃では、パス&ムーブも含むボールがないところでのアクションコンテンツを充実させていけたら、確実にリケルメは、今回のワールドカップで、歴史に残るスターの仲間入りを果たせる・・?! リケルメについて、「変化とバランス感覚」という視点で書いてみました。このテーマについては、今節のレッズについて書いた「J_レポート」もご参照あれ。

 さてこれから、血湧き肉躍る「ミラン対リヨンの観戦」をスタートします。テーマが見つかればレポートします。

 



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