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ワールドカップ最終メンバーについて簡単にコメント・・(2006年5月16日、火曜日)

私のHPへのアクセスがものすごい勢いになっている・・。

 100人の監督さんがいれば、100通りの代表チームができる・・。そんな事実については皆さんもご存じの通りです。だから、ジーコの最終選考についてコメントなんて・・とは思っていたけれど、まあ、簡単に印象だけでも書いておこうかなと思い直しました。要は、その印象を書き記しておくことは、後々、わたし自身にとっても貴重な情報になるかもしれないと思ったのですよ。ということで・・

 まず巻誠一郎について。私は、そこにこそ、ジーコの意志が反映されたと思っています。ブラジル人のジーコ・・テクニックが絶対的な基準のはずのジーコ・・それが、足許が比較的弱く、泥臭い粘り腰の選手を入れる・・。もちろん基本は、鈴木隆行という「選手タイプ」の世代交代(若く、勢いがあり、ツキにも恵まれた選手への交代?!)という意味合いなんでしょう。ジーコは、鈴木隆行を高く評価していましたからね。そこには、ゴールを挙げるには、あのようなハングリーさや泥臭さも(いや・・、日本の場合は、そのポイントこそが!)大事なんだというジーコからの(選手たちに対する)メッセージだと思うのです。まさに同感。たしかに巻には足技はないけれど、チャンスとなったら身体ごとボールをゴールへ押し込んでしまうという鋭い感覚と気迫をみなぎらせる。彼には、「ドイツの爆撃機」の再来を期待しようじゃありませんか。え・・? ドイツの爆撃機って・・?? それは、ドイツサッカーに歴史に燦然と輝くスーパーストライカー、ゲルト・ミュラーのことです。まさに泥臭いゴールゲッター。彼については、ポータルサイトでこの名前を入力して調べてくださいネ。

 さて、久保竜彦。彼が内包するポテンシャルからすれば、「世界」に最も近いストライカーだとすることに躊躇しません。皆さんも、私が、ず〜っと以前から彼を高く評価し、日本代表での活躍を期待していたことをご存じでしょう。でも今の彼は、身体的な問題を抱え、完璧にトップフィットすることへの希望を持てません。先日のキリンカップのプレーでも、明確に「心理・精神的な障壁」を感じました。要は、怖がっているのですよ。本当に微妙なところだけれど、そんな心理・精神的な障壁は、ギリギリのところへ飛び込んでいくなど、極限の勝負を挑んでいかなければならないストライカーにとっては致命的なブレーキだということです。ジーコも、巻の「勝負プレー姿勢」を体感し、逆に、久保が置かれている状況を「より鮮明」に意識させられたということなのかもしれません。

 次に中盤。遠藤と福西という「汗かき」をしっかりと取り込みました。アグリー!! それに稲本も入れている。いいじゃありませんか。とにかく、まだまだサッカーの世界地図では「中の上」という日本は、チーム内での明確なイメージ合意に基づいた、安定した「中盤の重心ペア」が必要なのです。ボランチなんていう「カッコいい」ものじゃなく、守備的なハーフコンビ・・。とにかく、中盤ディフェンスこそが「全て」なのです。フロンターレの躍進にしても、誰もが認めるとおり、そのもっとも多くの部分を、中村と谷口という守備的ハーフコンビが担っているのですからね。

 残念ですが、小野伸二は、守備的ハーフとして使うには危険すぎる選手です。要は、彼のところでは、ワールドカップに出場してくるような強豪が繰り出す、勢いに乗った攻撃を止めることは出来ないという厳然たる事実があるということです。もちろん、相手のチカラが低ければ十分に機能するし、味方の「守備の起点プレーがうまく機能したこと」で、インターセプトやタイミングの良いワンポイントアタックでボールを奪い返すというシーンはあるけれどネ。彼を使うならば、あくまでも「守備意識の高い上がり目ハーフ」というイメージです。彼にしても、後ろ気味で、前を向いたカタチでボールを持ちたいだろうしネ。そんな「得意なカタチ」に至るまでの「守備プロセス」での、クレバーなスペース潰しや、チェイス&チェックプレーについては、まったく問題ないからネ。でも、決して彼に「守備的ハーフ」という基本タスクを与えるべきではないというのが私の意見なのです。

 最終ラインについては、妥当な選択でしょう。そして最後にゴールキーパー。私は、ハイボール処理という評価ポイントで楢崎を推すけれど、川口の「レベルを超えたスピリチュアルな才能(ツキ?!)」も捨てがたいとも感じています。さて・・

 あっと・・、松井についても最後に一言。残念だけれど、やはり、「今の」攻守にわたるボールがないところでのプレーコンテンツレベルでは、チームにとってプラス効果はありません。たしかに才能はあるし、スマートなプレーはするけれど、ブラジル人のジーコは、そんなタイプの選手はゴマンと知っているし、そのプラスとマイナスについても熟知しているでしょう。それが「この結論」になったということです。松井は、決してマラドーナではないのですよ。だからこそ、彼の才能が惜しい。彼もまた、これからの選手ということです。本物の「ブレイクスルー」を期待して止みません。

 わたしは、今回の選手選考について、選手の、物理的&心理・精神的なポテンシャル&タイプなど、すべてのファクターで、非常にバランスの取れたものだったと評価しています。それでは・・




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