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2006_ヨーロッパの日本人・・中村俊輔と松井大輔・・・・(2006年11月5日、日曜日)

すごいネ、中村俊輔。

 攻撃でも、守備でも、まさに鬼神の存在感じゃありませんか。相手は、セルティックと首位を争うハーツだからね。そんな素晴らしいプレーがより光り輝くっちゅうわけです。

 よっぽど、数日前に完敗を喫したアウェーでのベンフィカ戦(そのゲーム内容)が悔しかったんだろうね。グラウンド狭しと走り回り、そして実効プレーを積み重ねていくのです。そこでは、ベンフィカ戦の後に自らが発信したコメントも、セルフ・モティベーションになっているのかもしれないね。ベンフィカ戦の後には、「もっと走らなければダメだ!」なんていう激しいコメントを出したということだからね。

 中盤の底で、ボールを持つ相手を追い込むチームメイトのレノンとスノ。そのチェイス&チェックに、右サイドから、自らの意志で参加していく中村俊輔。そして最後は、そこから展開されたタッチライン沿いの相手に対しても、全力ダッシュでチェックに向かうのですよ。味方のゴールライン近くまで戻っての全力ディフェンス。それも、流れのなかでだからね。

 また前線からのチェイス&チェックも本気。何度も、孤立した1対1の状況でボールを奪い返してしまったり、狙いすましたインターセプトでボールを奪い返してしまったり。特にインターセプトには、中村の守備センスが表現されていると感じます。センスのある読み。自ら「仕掛けパスの鬼」だからね、相手の仕掛けイメージが完璧に「見える」んだろうね。

 そんな、ディフェンスにおける縦横無尽の活動範囲だからね、次の攻撃でも、そのアクションゾーンが縦横無尽に高まるのも道理。中央でボールを持ち、魔法のコントロールでアタックしてくる相手を翻弄して素晴らしい展開パスを回したり、そのまま勝負ドリブルで突進していったり、はたまた、右サイドでボールを持った次の瞬間から勝負ドリブルをスタートし、そのまま何人もの相手を置き去りにして素晴らしいシュートを放ったり。フ〜ッ!

 この縦横無尽の(自由自在の)活動ゾーンは、これまで以上だよね。ストラカン監督は、ナカムラの基本ポジショニングは右サイド・・という以外の指示は出していないはずだから、このアクション・ラディウス(行動半径)の大幅な拡大は、まさに「中村俊輔の自己主張」と考えざるを得ないわけです。まあ、ツートップの一角であるミラーが右サイドへロービングしてくることが多いから(ミラーは右サイドからの仕掛けが好き)、中村とミラーで話し合っていたのかもしれないけれどね。

 そんな中村俊輔だから、攻守にわたって、ボールに絡む頻度が高まるのは必然。だから、観る者を魅了する「魔法」の存在感が極限まで高まるのも必然。もちろんその背景には、周りのチームメイトのアクション・ラディウスも(ベンフィカ戦から比べれば)大幅に向上したということもあります。

 中村がボールを持った次の瞬間から(いや、中村がパスを受けそうになった次の瞬間から!)全力フリーランニングをスタートするチームメイトたち。そのことも、基本的には「組織プレーの魔法使い」である中村のプレーを大いにやりやすくしているというわけです。魔法のトラップ&コントロールから繰り出される、魔法のタイミングとコースのスーパーパス。まさに、仕掛けイメージの有機的連鎖じゃありませんか。

 それにしても、スゴイ逆転劇だった。最後の最後まで全力で闘い通した(それでも逆転で負けてしまった)ハーツ選手に対して、最大限の賛辞を惜しまない湯浅でした。

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 さて、松井大輔。

 すごかったね〜、ルマン先制ゴールのシーン。左サイドで、大きなサイドチェンジパスを受けた松井が、魅惑的なボールコントロールでマーカーを翻弄して決定的クロスを送り込んだのですよ。まさにファンタスティックプレー。そして、ファーポストスペースで待ち構えるバングラのアタマに、まさにピタリと合ったという先制ゴール。また、後半35分の、PKを取ったドリブル勝負もよかった。変幻自在のドリブルだったからこそ、相手が足を引っかけざるを得なかったということだからね。そんなプロポケーション・ドリブルもまた、松井の高いポテンシャルの証明というわけです。

 そんな素晴らしい能力を持ち合わせている松井だからこそ、ポジショニング・バランス・オリエンテッドな(ポジションバランスを重視する)チーム戦術に「はまり込んで」いることが残念で仕方ないのです。守備でも、攻撃でも。

 ル・マンは、ゾーンバランスを(各自の受け持ちゾーンという意識を)重視するチーム戦術イメージです。要は、パッシブな「安定指向」。攻守にわたって自ら仕掛けていった方が、いなされて逆手を取られてしまう・・という発想なんだろうね。だから、どうも松井は、そのゾーンの(そんなチーム戦術的な発想の)虜になってしまっていると感じるのです。もっと自分から仕事を探してもいいんじゃないか。特にディフェンスで。

 観ていて歯がゆいのは、明らかに「そこ」にパスが来るという状況でも、「そこ」へ急行せず、自分のゾーンに居つづけて様子見という姿勢なのですよ。ほんの10メートルでもセンターゾーンへ移動すれば、インターセプトできたり、相手のトラップの瞬間でのアタックを狙えたかもしれないのに。

 そんな「待ちのディフェンス」だから、常に相手がボールを持ってからチェックに入るという後手後手シーンのオンパレードになってしまうのも道理。にもかかわらず、ドリブルで置き去りになってしまったり、完璧にマークしていたはずの相手に、スッとウラのスペースに入り込まれてパスを受けられてしまったり・・。とにかく、そんな守備での「受け身プレー姿勢」だから、次の攻撃も、同じように「待ちの姿勢」ばかりが目立ってしまうのも自然な流れだと思っていた湯浅でした。

 もっと、自分から仕事を探したり、主体的に「仕掛けていく」という姿勢を前面に押し出してもいいんじゃないのだろうか。守備においても、攻撃においても。それに実効がともなえば、監督だって何も言えないでしょう。もちろんそのためには、最低でもいまの二倍は運動量を増やさなければならないわけだけれどね。とにかく、ポジショニング・バランス・オリエンテッドの戦術サッカーに乗っかっている松井田から、運動量が少なすぎるよね。それが彼の「イメージ環境」になってしまったんだとしたら・・。

 まあ、クレバーに、効率的に・・なんていう「バランシング戦術サッカー」をつづけている方が、「勝ち点」という視点では可能性はより大きくなるかもしれないけれど、それじゃ、絶対に「有意義な発展」は望めないということです。

 そこで繰り広げられているサッカーは、(攻撃では)縦横無尽のポジションチェンジを織り交ぜたスムーズな組織プレー(複数の仕掛けイメージが有機的に連鎖しつづける組織プレー)というのではなく、局面の競り合いをブツ切り的に積み重ねていくといったイメージの方が強いよね。テレビの中継だって、とにかく「寄りの映像」ばかり。カメラマンやディレクターも、個の局面勝負ばかりに注目しているっちゅうことですか??

 とにかく、能力の高い松井が、「まあ、こんなものでいいさ・・」という意識になっていることが残念で仕方ない湯浅なのですよ。




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