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06_ヨーロッパの日本人・・今週は、堅実な「重心」プレーに徹した稲本・・(2006年3月19日、日曜日)

ホームとはいえ、相手は「あの」マンチェスター・ユナイテッド。そのゲームで先発フル出場を果たしたという背景には様々な意味が内包されているはずだとグラウンド上の現象を観察しはじめた次第。

 そしてすぐに確信する。よしっ!・・稲本は、中盤の底で(最終ラインの前で)、守備ブロックの重心の一人として機能しようという基本的なイメージだ(まあ、相手が相手だから、そうせざるを得ないという側面もあったけれどネ)・・そう、それこそが、W杯の本番においてギリギリの勝負を挑んでいかなければならない日本代表が、彼にもっとも期待するファンクションなのだ・・。

 相手攻撃のキッカケ選手(ボールホルダー=次のパスレシーバー)に対する「抑えアクション」・・それは、明確なディフェンスの起点の演出を意味する・・また、ボールがないところでの、次のボール奪取勝負を狙う効果的アクション(インターセプトや、相手トラップの瞬間でのアタック)・・決定的スペースを狙う相手フリーランニングの確実な抑え・・等々。そんな忠実プレーのなかで、チャンスを見計らった、実効あるボール奪取勝負を仕掛けていく稲本。それも、(稲本の基本ポジションによって)ライアン・ギグスやクリスチャン・ロナウドなどが直接的な相手になるシーンが多いにもかかわらず。頼もしい限りじゃありませんか。

 稲本が展開する「予測ベース」のボール奪取勝負アクションは、なかなかのものです。その時点でケアしていた相手を放り出してボール奪取勝負を仕掛けていくという判断にも、確信レベルの高揚を感じる。守備の目的は、言うまでもなく相手からボールを奪い返すこと・・その目的を達成するために、主体的な判断と決断で、リスクを負うことにも全く躊躇するところがない・・。それこそが発展するための唯一の「マインド・ベース」じゃありませんか。本格感・・。ギグスやロナウド、はたまたルーニーから効果的にボールを奪ってしまうシーンでは快哉を叫んでしまったりしてネ。

 もちろん、ボールの競り合いに負けてロナウドにブッちぎられたり、ボールを見た瞬間にウラに入り込まれたりなんていうネガティブシーンもあったけれど、それは、それで、いまの稲本だったら、効果的な学習機会として活用してしまうに違いないなんていう確信が持てるというわけです。

 後半の立ち上がりには、自らドリブルで仕掛けていったり、選手交代で、基本タスクが変わったことで攻めに転じるシーンが増えるけなど、より高い位置でプレーするようになったけれど、やはり彼の場合は、後方から、チャンスを見計らった「爆発」っちゅうのがいいよね。そう、2000年シドニーオリンピックや2002年ワールドカップのときのようにネ。




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