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2006_ヨーロッパの日本人・・今シーズンの立ち上がりは松井大輔から・・(2006年8月20日、日曜日)

ヘ〜〜、松井も(彼のプレーイメージも)順調に発展していたんだ・・。今日の未明に行われたフランスの「リーグ・アン」第3節、ル・マン対ヴァランシエンヌを観ながら、ちょっと感嘆していた湯浅でした。

 松井大輔については、イビツァ・オシムさんが言及していたことで(また彼が世代交代の旗手の一人であることで)、ちょっと関心が高まっていました。皆さんもご存じのように、いままで私は、松井のことを高く評価していたわけではありません。とにかく、攻守にわたるボールがないところでのプレー姿勢に(攻守にわたって主体的に仕事を探しつづける姿勢に)、あまりにも多くの課題を見ていたのですよ。

 ジーコ・ジャパンでも何度か出場したけれど、その都度、まず落胆が先に来たものでした。また、フランスリーグでのプレーコンテンツにしても、サイドに張り付きっぱなしなだけではなく、攻守にわたる主体的なリスクチャレンジ姿勢も感じられない。そんなだから、どんどんと彼に対する興味が薄れていくのも道理でした。でも・・

 この試合での松井は、良かったですよ。まず目に付いた立ち上がりのワンシーン。ル・マンが、ミスから相手にボールを奪い返される・・奪い返した相手は、そのまま超速のドリブルで突進していく・・そんな状況で、そのドリブラーに最後までプレッシャーを掛けつづけたのが松井大輔だった・・彼のミスでボールを奪われたわけじゃなかったけれど、状況的にに自分しかいないと意を決した松井は、全力ダッシュでプレッシャーをかけつづけ、結局ドリブラーを袋小路に追い詰めた・・ってな具合。なかなかインプレッシブなシーンではありました。

 それだけじゃなく、素晴らしいスライディングでボールを奪い返してしまうなんていうシーンも続出なのです。ちょっと驚き。オシムさんの日本代表では、特に守備意識が重要なファクターになるからね。もちろんボール奪取勝負シーンだけじゃなく、チェイス&チェックやボールがないところでのマークなども「ある程度」はしっかりとやっている。フムフム・・。

 攻撃では、彼のポジティブ特性であるスピーディーな勝負ドリブルや、それをベースにした「勝負の球出し」も冴えていました。とはいっても、やはりボールがないところでのプレーコンテンツには、まだまだ課題が山積み。もちろんその背景に、ル・マンというチームの特性があることは言うまでもありません。

 ル・マンは、個人の勝負能力を前面に押し出すような仕掛けを繰り出していくタイプのチーム。バングラとかグラフィテとか、ドリブルに優れた選手が揃っちゃっているからね。もちろんそれが「本物の武器」なのだから、活用しない手はないわけだけれど・・。

 そんなだから、「広く、素早く人とボールを動かす」といった組織的な組み立て「テイスト」は、ル・マンの攻撃からはあまり感じられないというわけです。まあ、だからこそ松井も、個の勝負能力を磨くことができるわけだけれどネ。

 とはいっても、日本代表が志向するのはコレクティブ(組織)サッカーだからね。広く、素早く人とボールを動かしつづける組織的な組み立てと仕掛け。そこでは、ボールなしのプレーの量と質という発想が決定的に重要な意味をもってくるというわけです。だから松井も、ル・マンでプレーしながらも、しっかりと「そのタイプのサッカー」もイメージしつづけなければならないというわけです。

 たしかに松井は、シンプルに展開パスを出し、次の瞬間にはパス&ムーブへ入ったり、自分がコアになったワンツーにトライしたりと、「より」組織的な仕掛け「も」イメージするようになっていると思いますよ。ル・マンにしても、個の勝負能力を「より効果的に活用する」ためにも、組織的な仕掛けプロセスを磨く必要があるからね。松井のトライ姿勢には大いなる価値があると思うわけです。

 とにかく松井には、「組織と個のハイレベルなバランス」というキーワードをル・マンに浸透させるという「目標イメージ」をもってチャレンジをつづけて欲しいと願っている湯浅なのです。




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