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2006_「J2」第7節・・徐々に、組織ファクターの充実傾向が見えてきたヴェルディ・・(水戸ホーリーホック対ヴェルディ、0-1)・・(2006年4月5日、水曜日)

フムフム、中盤ディフェンス(それに対するチーム共通イメージ)に修正の後が感じられる・・。数日前のレイソル戦では、ヴェルディの中盤ディフェンスに課題を見い出し、そのことを指摘したわけですが、このホーリーホック戦では、中盤ディフェンスにおける有機的なプレー連鎖のコンテンツが良くなっていると感じたのですよ。もちろんそれがあるからこそ、次の攻撃にも勢いが乗っていく・・。

 いろいろな表現方法がある中盤ディフェンスの機能性。わたしは、チェイス&チェックという守備の起点プレー、その周りで展開されるインターセプト狙いや協力(集中)プレス狙い、はたまたボールがないところでの汗かきマーキングなどの守備ファクターを、いかにうまく有機的にリンクしていくのかという表現(ボール奪取勝負のプロセス分析)が好きです。

 最終的には自由に個のイメージを組み合わせながら仕掛けていかざるを得ない攻撃とは違い(もちろん攻撃でも、組織パスプレーのイメージシンクロレベルを高揚させることは大事だけれどネ・・)、守備では、しっかりとした戦術プランを練り、選手たちが、そのイメージをいかに正確に、そして忠実に「トレース」していけるかという要素(プレー内容)によって全体パフォーマンスが決まってきます。前節のレイソル戦では、中盤ディフェンスでの「有機連鎖」がうまく機能しなかったヴェルディ。それがこのホーリーホック戦では、全員のアクションが、チーム戦術イメージに「ある程度は」乗りはじめていたと思うのですよ。

 でも、ディフェンスでの有機連鎖というポイントでは、ホーリーホックも素晴らしかったですよね。いや、ゲーム全体を通してそのポイントを分析したら、もしかしたらヴェルディを上回っていたかもしれない。スミマセンね、わたしは、ヴェルディを学習テーマにしているもので、対戦相手に対するコメントは、どうしても控え目になってしまうのですよ・・。とにかくホーリーホックは、その忠実でダイナミックな中盤守備(主体的なクリエイティブ守備・・)をベースに、徐々に攻撃にも勢いを乗せていきました。つまり彼らは、決して受け身のディフェンスを展開していたわけじゃなく、ボールを奪い返してからの攻撃を明確にイメージしながらボール奪取勝負を仕掛けつづけるという、攻撃的な積極ディフェンスを展開していたのです。

 そしてゲームは、どんどんと拮抗していく。あっと・・この「拮抗」という表現にはちょいと問題ありかもね・・。何せ両チームとも、受け身ではなく、次の攻撃を明確にイメージした「仕掛けディフェンス」を展開しているわけだから、「拮抗」という表現ではなく、どちらかといったら、ダイナミック・エキュイリブリウム(Dynamic Equilibrium = 動的な均衡状態)なんていう、カッコいい表現の方が似合ったりするかもね・・。

 でも、こうなったら、やはり勝負は「個のチカラ」で勝るヴェルディに有利に展開するのは道理でした。「攻守にわたる組織戦術レベルが同等ならば、雌雄を決する最後の僅差は、そのすべてが個の能力によってもたらされる・・」。世界中のトップコーチ連中は、異口同音に、そのようなニュアンスを語ります。だからこそ彼らにとっては、いかに「才能」に組織プレーを全力でやらせるのかというテーマこそがメインミッションになるっちゅうわけです。あっと・・蛇足・・。

 というわけで、最後は、平本のもの凄いキャノンシュートという「天賦の才」が雌雄を決する展開になりました。それにしても平本。あれ程の才能をもちながら、どうも低迷。ラモス監督のもとで、廣山のような「覚醒」があるのか・・。徐々に「組織的」にも充実する傾向が見えはじめているヴェルディ。組織と個のバランスというテーマも含め、様々な見所コンテンツがあります。面白い・・。

 



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