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06_ジーコジャパン(75)・・それにしても、本来の実力差が感じられるまでに時間が掛かったよね・・(日本vsフィンランド、2-0)・・(2006年2月18日、土曜日)

どうも皆さん・・スミマセン、アップが遅れてしまって。実は、ブロードバンドに慣れているため、今の今まで、どうしても「ピッチ」の無線アクセスに踏み切れていない湯浅なのですよ。ということで、この試合のレポートも、エコパに設置してある「公衆電話」からダイヤルアップでインターネットに接続して更新しようとしたわけです。ところが、その公衆電話の接続端子が壊れていた。もうこうなってはどうしようもありません。今更プレスワーキングルームに戻り、どこかのメディアの有線電話を借りるなんてことも面倒くさい。ということで、クルマでぶっ飛んで東京へ帰り、自宅からアップしようとしている次第なのです。では・・

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 この試合については、短く、短く、まとめることにします。何せ、シュートシーンが少ないなど、あまり見所が豊富なゲームではありませんでしたからね。

 前回のアメリカ戦では、相手に握られたペースを奪い返すという「意志」がまったく見られなかったことで、「完敗」という表現を用いました。押し込まれた状況からペースをアップさせるためには、積極的に(前から)ボールを奪い返しにいくディフェンスプレーを有機的に連鎖させるしかありません。それこそが、心理的な悪魔のサイクルから脱却するための唯一の効果的な手段なのです。そんな積極的な共同作業があってはじめて、ボールを奪い返した後の組織的な攻撃に(特にボールがないところでの全力ダッシュの量と質)に勢いを乗せることができる・・っちゅうわけです。

 そんなアメリカ戦での「消極ムード」ですが、このフィンランド戦の前半でも、そんな倦怠ムードが漂っていると感じたのですよ。たしかに状況は違います。フィンランドは、攻め上がってくるのではなく、守りを固めるというチーム戦術でゲームに臨んでいましたからね。でもグラウンド上の現象は、(協力プレスも含め)前からガンガンと主体的にボール奪取勝負を仕掛けていくという姿勢がみられないなど、アメリカ戦に相通じる「セルフモティベーション的な課題」があると感じていた湯浅だったのです。

 フィンランドがタテへ仕掛けてくる状況では、自動的にボール奪取勝負の競り合いになり、日本が効果的にボールを奪い返せるけれど、それ以外の守備プロセスは決して主体的に仕掛けられているわけではありません。自分たちのボール奪取勝負イメージを連鎖させるように、何人もの日本選手たちが組織的なディフェンス勝負を仕掛けていく(前からの勝負!)なんていうダイナミックな雰囲気は皆無なのですよ。これでは、次の攻めに、人数をかけた「組織的な勢い」を乗せられるはずがない。強い守備ブロックのフィンランドだからこそ、日本代表は、より人数をかけてウラスペースを突く組織コンビネーションを仕掛けていかなければならないのに・・。

 それでも、加地と村井が展開する両サイドからの仕掛けがうまく周りはじめたことで、徐々に日本のペースも(スピリチュアル・フォームも)アップしていきます。前半27分・・村井のワンツー突破からのドリブル&クロスが決定機を演出する・・そのとき思わず、「それだっ!」なんていう声が出た・・またその後も、加地のドリブル勝負からのクロスがチャンスにつながったし、前半33分には、中盤まで押し上げた中澤からのスルーパスが、走り抜けた久保にピタリと合ったというシーンもあった・・また前半41分には、小野伸二が、素晴らしいキープから絶妙のサイドチェンジ・スルーパスを決め、そのパスを受けた加地がそのままシュート(ラストクロス?!)に入るなんていう絶対的チャンスもあった・・。まあ最後は、ノルウェーの必死のディフェンスに阻まれたけれど、そんなチャンスに、徐々に日本代表のムードが高揚していったと感じていました。

 そして後半3分に久保がたたき込んだスーパーゴール。小笠原からの、ニアポストスペースへのラストパスも素晴らしかったし、そのスペースに走り込んだ久保も、まさに「ボールがないところの勝負師」の面目躍如といったところでした。そこから、やっと日本代表が「解放」され、ガンガンと「前から仕掛ける」ようになっていったというわけです。もちろんその絶対的なベースが、中盤ディフェンスの組織プレー内容(一つのプレーに参加している選手たちのイメージの連鎖状態)にあったことは言うまでもありません。そして「やっと」フィンランド二軍代表との本来の差が感じられるゲーム内容になっていったというわけです。

 この試合での小野伸二は、ホントに素晴らしかったですね。絶対的な運動量も十分だったし、攻守にわたる忠実でクレバーなプレーコンテンツにも、まさに「本場の香り」が漂っていた。彼のボールコントロール力とキープ力は抜群。それも、常に攻撃的な姿勢を貫きながらのボールコントロールやキープだからね、その価値が違う。ボール絡みで常にリスキーな勝負姿勢を前面に押し出す小野伸二。そして「そこ」に実効が伴っているからこそ、チームが本当の意味で勇気づけられるというわけです。最後の時間帯では前へ出てゴールを狙ったりして・・。彼も、この試合でのパフォーマンスに手応えを感じていたに違いありません。だからこそ、高まりつづけていた攻撃での「流れのダイナミズム」に乗って、自らもゴールを決めたかったということなんでしょう。まあ結局、ゴールという「分かり易く目立つ結果」は獲得できなかったけれど、どんなメディアも、彼の「実質的なプレー内容」をしっかりと評価しているに違いありません。それほど、この試合で小野伸二が魅せたグッドパフォーマンスは、分かりやすいモノだったのですよ。

 さて、今回のコラムの締めは、小笠原の「ミレニアム・ゴール」。完璧に意図されたゴール。相手GKのミスという側面もあったけれど、それが素晴らしいゴールであることには何の変わりもない。そして湯浅は思うのですよ。「あんな素晴らしい才能を恵まれているからこそ、惜しいよな・・」。一発チャンスシーンだけではなく、組み立て段階でも、もっともっとボールにさわり、もっともっとボール絡みでリスクにチャレンジしなければ・・もっともっと守備での(目立たない)汗かきに精を出し、もっともっとボールがないところでのパスレシーブやパス&ムーブに勢いを乗せなければ・・もっともっと・・。とにかく、このスーパーゴールによって、小笠原の天賦の才が、本当の意味で「開花」することを願ってやまない湯浅でした。

 



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